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国内株式市場見通し:3月最終週は需給の強弱材料混在でもみ合いか

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■米銀行不安くすぶり一進一退

今週の日経平均は週間で51.46円高(+0.19%)と小幅反発。週足のローソク足は上下にヒゲを伴った陽線を形成し、終値では主要な移動平均線の上方を維持した。

米地銀の経営不安が再燃するなか、週明けの東京市場は大幅に下落。スイスUBSが経営危機に陥っていたクレディ・スイス買収で合意したとの発表などもあったが、懸念払拭には至らなかった。一方、祝日明けは大幅に反発。イエレン米財務長官が中小銀行の保護で必要に応じた介入方針を表明したため金融システム不安が後退、買い戻しが強まった。ただ、その後は上値の重い展開が週末まで継続。米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果やパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の会見は概ね予想通りでタカ派・ハト派とも捉えにくい内容だったため、あく抜け感には至らなかった。また、米銀行の経営不安や景気後退懸念がくすぶっていたことも上値を抑制した。

■銀行の経営不安はピーク超えたか

来週の東京株式市場は一進一退か。今週末、経営に大きな問題はないはずのドイツ銀行のデフォルト(債務不履行)に対する保証料が上昇し、同社株価が一時急落するなど銀行の経営不安に由来する高いボラティリティー相場が続いている。ただし、ドイツ銀行が発表した劣後債の早期償還は本来売り材料でないはず。実際、市場の動きは非合理的と次第に理解され、週末の米株式市場は後半に持ち直している。今後も先行き不透明感はくすぶるだろうが、金融システム不安については目先の峠を超えたと考える。

米国では金融当局と政府らが協力し、保有債券を額面通りに評価した上で資金貸付を行う「バンク・ターム・ファンディング・プログラム」を設定。また、日米欧の6中央銀行によるドル資金の供給強化など流動性不安を払拭するための支援策が相次いで発表された。さらに、イエレン米財務長官も条件付きとはいえ、必要に応じた追加の預金保護措置の用意があると述べている。UBSによるクレディ・スイスの買収救済劇の際に無価値となって波紋を呼んだAT1債については、利回りが急上昇する中、欧州市場で6月、9月にまとまった償還が予定されており、今後も折に触れて金融不安が再燃する可能性はありそうだが、不安心理のピークは過ぎたと思われる。

21-22日に開催された米FOMCでは0.25ポイントの利上げが行われたほか、量的引き締め(QT)の継続方針が示され、2023年内の利下げを検討していないとする従来方針も維持された。利上げやQTの停止、年内の利下げが一部で指摘されていた事前予想よりはややタカ派な印象を受けた。一方、米FRBは利上げの一時停止について議論したことを認めたほか、銀行の経営不安がもたらす与信環境の引き締まりが利上げと同等以上の効果を生む可能性を指摘するなど、今後の状況次第ではハト派化する柔軟な姿勢も見せた。金融システム不安が台頭する前に大幅な引き上げが想定されていた2023年末の政策金利中央値も昨年12月から据え置かれ、利上げ停止が近づいていると推察される。

このように、金融システム不安がピークを過ぎたと考えられることに加え、FRBの利上げ停止期待が高まっていることもあり、今後は再びファンダメンタルズ(経済状態を表す各種指標)へと市場の関心が移っていくことが予想される。ただ、景気後退懸念に加えて、東京市場では需給悪要因もくすぶり、しばらくは上値の重い展開が続きそうだ。

3月期末に向けては配当・優待の権利取りを狙った個人投資家の買いのほか、株価指数連動型ファンドによる配当再投資目的の先物買い需要が1兆円超に上ると推計されている。また、金融機関の決算対策としての期末に向けた売りも間もなく一巡してくると想定される。しかし、日経平均が大幅反発した今週の祝日明け22日、ネット証券の売買代金ランキングでは日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信<1570>が売り越しとなっており、27500円水準では戻り待ちの売り圧力が強いことが確認された。また、17日時点での裁定取引に係る現物ポジションの買い残は1兆2286億円と引き続き高水準にあり、積み上がった裁定買い残の解消圧力が今後も上値抑制要因として働きそうだ。

さらに、信託銀行は3月第3週まで18週連続で現物株を売り越している。年金基金等のリバランス(資産配分の再調整)売りはそろそろ一巡してきそうだが、日経平均などがいまだ昨年末の水準を上回っている中、リバランス売りが月末いっぱいまで続く可能性もある。ほか、日経平均の新規採用銘柄と除外銘柄の入れ替えに伴い、日経平均全体としては約2000 億円超の換金売りが月末に生じると予測されている。4月に入れば、新年度入りに伴う需給好転が意識されそうだが、3月最終週は全体として需給はやや売り優勢になりそうで、注意したい。

個別では、半導体を中心としたハイテク株に注目だ。28日に米マイクロン・テクノロジーの決算が予定されている。年後半からの市況回復と米金利の先高観後退を背景に半導体関連株には強い動きが見られており、マイクロンの決算を受けてあく抜け感が一段と高まるかに注目したい。また、31日には中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)が発表予定。指標結果を受けて工作機械など中国関連株が動意づく可能性もありそうだ。

■3月都区部消費者物価指数、米2月PCEコアデフレーター

なお、来週は27日に2月企業サービス価格指数、29日に配当・優待権利付き最終売買日、31日に3月都区部消費者物価指数、2月有効求人倍率、2月鉱工業生産、2月住宅着工統計、中国製造業PMI、米2月個人消費支出(PCE)コアデフレーター、などが発表される。

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