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ユミルリンク Research Memo(1):メールの大規模・高速配信を武器に増収増益を安定して継続(1)

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■要約

ユミルリンク<4372>は「価値の高い情報サービスの創造と提供を通して社会に貢献し、常に期待される企業を目指す」という企業理念の下、1999年に創業した会社である。同社の事業領域は、スマートフォンの登場によって近年成長が著しいデジタルマーケティング市場である。そのなかでも特に同社はメールマーケティング(メールを使って行うマーケティング活動)とSMSマーケティング(SMS:ショートメッセージサービスを利用して行うマーケティング活動)の領域において、大規模・高速配信などの強みを持つ「Cuenote® FC」、国内キャリア直収型を強みとする「Cuenote® SMS」などのメッセージングソリューションを展開している。顧客は自治体、EC企業、電気・ガスなどのインフラ企業、新聞・出版業、観光業、金融業、流通・小売業など幅広く、多くの企業のデジタルマーケティング及びDXを支援している。「Cuenote®」シリーズの契約数は2,000件を超え、東京証券取引所プライム市場・スタンダード市場上場企業をはじめとする大手企業に採用されている状況だ。

同社の従業員数は112名で資本金は273百万円(2022年12月末時点)。東京本社に加えて、大阪支店、北海道オフィス、福岡オフィス、沖縄オフィスを構え、日本全国で積極的にビジネスを展開している。主力の「Cuenote® FC」「Cuenote® SMS」以外にもメールリレーサーバーを提供する「Cuenote® SR-S」、Webアンケート・フォームを簡単に作成することができる「Cuenote® Survey」、災害時にメールやSMSなどで従業員の安否を確認する「Cuenote® 安否確認サービス」を提供している。加えて、2022年5月には認証サービス「Cuenote® Auth」を新たにリリースした。本人認証に対する顧客ニーズが高まっていることを受けて、新たに製品開発を行った格好だ。新たなプロダクトをラインナップに加え、成長をさらに加速させている。

1. 2022年12月期の業績概要
2022年12月期の業績は売上高が前期比13.1%増の2,181百万円(うちストック売上が2,132百万円、スポット売上が48百万円)、営業利益が同25.7%増の520百万円、経常利益が同30.6%増の520百万円、当期純利益が同25.3%増の359百万円となり、前期比で大幅な増収増益を達成した。売上高に関しては、8期連続の増収、営業利益に関しては4期連続の増益を達成した。継続して業績を拡大してきていることが見て取れる。

好業績の要因は、主力のメール配信システム「Cuenote® FC」とSMS配信サービスの「Cuenote® SMS」が前期から引き続き好調だったことだ。「Cuenote® FC」は、ポストコロナやDXといった潮流のなかで顧客が抱えるメールアドレス数が増加し、配信規模が拡大したことにより、高価格帯プランが好調だった。加えて、自然・人為的災害に備えた堅牢な配信システムを提供する「ディザスタリカバリプラン」が引き続き顧客からの支持を集め、ネット銀行や大手ISPなど、ミッションクリティカルな顧客への導入が進んだ。「Cuenote® SMS」は、市場が普及期にあるなかで、SMSの有用性が市場に認識され、ニーズが好調に推移した。運輸業、ECサイト運営顧客が配信数を押し上げたほか、2022年5月に市場投入した「Cuenote® Auth」が配信数の底上げに寄与した。その他、第2四半期の特定顧客の大規模配信も業績拡大に寄与した。大口顧客が配信数を増やすなか、平均利用額も前期比10.5%と伸長した※。

※SaaSビジネスの多くは顧客から月額利用料を徴収するサブスクリプションモデルをとる。送信数などにより料金プランが数パターンあり、Eコマースやデジタルマーケティングが普及するなかで、高価格帯の料金プランに移行する傾向にある。

2. 2023年12月期の業績予想
2023年12月期の業績は、売上高で前期比10.1%増の2,400百万円(うちストック売上が同10.3%増の2,351百万円、スポット売上が同0.2%増の48百万円)、営業利益で同10.4%増の575百万円、経常利益で同10.5%増の575百万円、当期純利益で同10.3%増の396百万円を見込んでいる。売上高に関しては、9期連続の過去最高、営業利益に関しては、5期連続の過去最高更新を計画している格好だ。インターネット、SNS、スマートフォンなどの普及によりデジタルマーケティング市場がさらに拡大するなど、好調な外部環境の継続が想定されるなか、主力製品である「Cuenote® FC」、「Cuenote® SMS」の新規顧客開拓に注力していく方針だ。2022年12月期に同社売上の83.3%を占めたメール送信サービス市場の2021~2026年度のCAGRは8.0%、同期間のSMS送信サービス市場のCAGRも14.8%と急伸が見込まれている。こうしたなか、デジタルマーケティング拡大に伴い顧客が保有するメールアドレス数が増えていることに加え、金融などのミッションクリティカルな顧客層によるSaaSサービスの導入も順調に拡大しており、大規模・高速配信、サービスの安定性、信頼性、サポート体制に強みを持つ同社のサービスに対する需要は好調に推移しそうだ。これらの外部環境の追い風とそのなかで発揮される同社の競争優位を考慮すると、業績予想の達成は十分に期待できると弊社は考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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