板橋区の区議会議員が、こともあろうか地元の中華料理店に対して行った30人分の団体予約をバックレ、店に損害を与えたという疑惑が浮上しているようだ。
予約バックレの疑いを持たれているのは社民党所属の五十嵐やす子氏。報道によると中華料理店側は、宴会当日の約10日前に単独で来店した五十嵐氏から、貸し切り状態で30人利用、2時間4,000円コースの予約を口頭でお願いされたものの、当日の予約時間になっても来店せず、五十嵐氏の事務所にも連絡がつかなかったとのこと。その日のために人員を揃えていたのも無駄になったのにくわえ、用意していた食材の一部が廃棄になるなどの損害が生じたという。
五十嵐氏からは、予約日の翌々日に「予約キャンセルは連絡済みだ」と主張する連絡があったものの、電話をかけたという中華料理店の店長の携帯電話に着信履歴はなし。その後五十嵐氏は、携帯ではなく店舗の電話に連絡したと言い分を変えつつも、キャンセルの連絡をしたとの主張は曲げなかったという。
いっぽうで五十嵐氏側の言い分だが、予約からキャンセルまでの経緯、さらにキャンセルのした際の発信履歴が残っているかどうかを問われたのに対し、「無断で放棄したという事実はございません。事実がない以上、他の質問にお答えすることはできません」と回答したという。
過去には“逮捕”されたケースもある無断キャンセル
今回“予約バックレ”の被害に遭った中華料理店だが、東武東上線ときわ台駅から徒歩圏内にあり、いわゆる町中華として多くの地元民から親しまれている店のよう。
また同店は“子ども食堂”といった地域活動にも積極的に参画していたようで、そういった縁からか、五十嵐氏以外にも同店に通う地元区議は結構多かった模様である。
小竹向原駅に続く緑道でご挨拶❗️
子ども食堂のお手伝い
これまでの最多、55名の皆様に来店いただきました‼️ひきこもり支援講演会に参加❗️
茗荷谷クラブの方、板橋区発達障害支援センター長の講演
貴重な事例紹介もあり大変参考になりました❗️#板橋区議会議員 #子ども食堂 #長秀龍 #ひきこもり pic.twitter.com/HPk4AZHI8q— 板橋区 議員 寺田ひろし (@terada164) September 29, 2022
本日 #長秀龍 で、酢豚と、イカと青菜の炒め物をテイクアウトで頼みました!ビールと餃子は最高です!ぜひ!#中華 #ときわ台 #板橋区 #長秀龍 #中村とらあき #板橋区議会 #上板橋 pic.twitter.com/iP6r01SaFK
— 中村 とらあき(板橋区議会議員 自由民主党) (@torasanitabashi) May 16, 2023
そんな“地元区議御用達”といった店で発生した今回のトラブルなのだが、やはり焦点となるのは、五十嵐氏からの事前のキャンセル連絡が本当にあったのかどうか、という点。
そもそも居酒屋などの飲食店への予約バックレといえば、バカな大学生の専売特許といった印象も強く、古くは2016年に早稲田大学のとあるサークルが、新歓コンパの名目で80人の予約を入れるも当日バックレたことが、その店の従業員によるツイッターでのつぶやきによって明るみになったことが。
テレビのワイドショーでも取り上げられ、当該サークルのSNSが大炎上したこの件は、最終的には示談で決着したようなのだが、そのいっぽうで2019年には、東京・有楽町の居酒屋に17人分、合計22万1,000円分の予約を入れて無断キャンセルした50代男が、偽計業務妨害の疑いで逮捕されたという出来事もあった。
このように予約バックレは、その経緯がより悪質なものと認められれば、逮捕される可能性も無きにしもあらず……ということで、それだけに五十嵐氏側も頑なに「事前に予約キャンセルの連絡をしている」と主張していると考えられるところ。
とはいえ先述の通り、予約キャンセルの連絡先に関して言い分をコロっと変えている点、さらに自らの発信履歴は頑なに公表しないということもあり、SNS上の反応を見てみても、五十嵐氏の言い分はほとんど信用されていないというのが正直なところのようだ。
“無免許都議”と同じく長期戦になる可能性も?
板橋区では今年の4月16日告示・同23日に投票というスケジュールで区議会選挙が行われ、五十嵐氏は唯一の社民党候補として出馬。結果、3,200票余りという全体では24番目の得票数で4期目の当選を果たしている。
ちなみに、今回の件で中華料理店に口頭で予約したというのは、この選挙期間中の出来事で、さらに予約日は選挙後の4月29日だったということ。五十嵐氏としては、早々に当選祝いの宴の予約を入れる余裕ぶりだったのかもしれないが、逆に中華料理店側としてはまさか選挙活動中の代議士がバックレをかまし、祝日の書き入れ時に大穴を開けられるとは夢にも思わなかったところだろう。
いっぽう五十嵐氏側からのアクションとしては、今月12日に警察が店を訪れ、五十嵐氏側としては事態を穏便に済ませたいということで、5~6万円ほどの金銭を支払う意向があると打診してきた……といった話も。
なぜ警察が五十嵐氏側の使者として現れ、トラブルの仲介をしているのかという点もかなり謎なのだが、それ以前に30人利用4,000円コースの予約をおじゃんにしてしまったなら、その代金である12万円の支払いはマストだろうといったところ。にもかかわらず、その半額ほどの金でケリを付けようとしている振る舞いにも、批判が集まっているようだ。
こうなると、例え万が一逮捕といった事態に至らずとも、予約バックレという行為とその後の不誠実な対応が咎められ、辞職を求める声が高まるのは不可避といったところだが、そこで思い返されるのが同じく板橋区選出で都民ファーストの会に所属していた木下富美子元都議の存在。
都議選中などに無免許運転を繰り返していたことが発覚し議員辞職を迫られるも、その後数か月間に渡って体調不良などを理由に、議場など公の場に姿を現さない“雲隠れ”を続けたことで、世間からの顰蹙を買ったことも記憶に新しい木下元都議。
今回の五十嵐氏のケースも、所属する社民党唯一の議席ということもあり、議員辞職は何が何でも避けたいと、このまま説明責任を果たさず、ただただほとぼりが冷めるのを待つといった、いわゆる長期戦の方針を取る可能性も無きにしもあらず。しかし、図らずもそういった人物を議員に選出してしまった板橋区民としては、いい加減早く幕引きして欲しい……というのが、偽らざる本音だろう。
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