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MRO Research Memo(4):休眠顧客の掘り起こし策に手応え

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■トピックス

1. monotaro.com事業の直近の市場動向と対策
MonotaRO<3064>の主要顧客は、製造業(構成比34.7%)であり、その景気動向は内閣府「機械受注統計」で把握することができる。2023年1月・2月の機械受注は累計で5兆341億円であり、前年同期比で3.4%減と足元減速傾向にあった。同社売上においても、主要3業種(製造・建設・自動車)の1社当たりの既存顧客売上が前年同期を下回り、インフレや国内外での需要減少など顧客企業を取り巻く環境は厳しさを増していたことが想定される。また、顧客層の中でもライトユーザー(休眠顧客含む)の注文率が低下する傾向が顕著になっていた。

約800万顧客のうち約500万顧客は事業者であり、そのうちの一定数は休眠顧客やライトユーザーである。同社では、これまでのコミュニケーション・販促活動が新規顧客獲得とヘビーユーザー向けに偏っており、ライトユーザーに手薄であったという課題に焦点を当て、第1四半期に解決策のトライアルを行った。その結果、掲載内容をパーソナライズ化(個別の顧客ニーズにマッチさせる)したチラシを作成して送付することにより、効率的に再利用開始や利用増を促進できることがわかった。ライトユーザーの復活コストは新規顧客獲得コストの半分程度であり、十分効果が見込める。2023年12月期は、ライトユーザーに、より販促予算を配分することで、費用対効果の高い売上拡大を目指す。この事例が示すように、外部環境の変化への機敏な対応力は同社の強みの1つと言えるだろう。

2. サステナビリティへの取り組み充実、情報開示を強化
同社では、創業以来、企業理念である「資材調達ネットワークを変革する」ことを目指して、資材調達プラットフォームの技術革新を継続し、本業を通じて社会貢献に携わってきた。そして、かねてより災害時の物資の提供、地域社会でのボランティア活動などの活動を行ってきた。2021年にはサステナビリティ委員会及び専門部会を設置し、優先課題の決定や具体的計画の立案や展開を積極的に行っている。直近の成果としては、TCFD提言に基づく開示(気候変動対策、2030年までにCO2排出絶対量を2020年比で50%削減することを目標とする)、サステナブル調達ガイドラインの開示、女性活躍推進企業としてのえるぼし認定(3つ星、2023年2月)、子育てサポート企業としてのくるみん認定(2023年3月)などが挙げられる。2023年3月には、同社公式サイト内のサステナビリティページをリニューアルした。これまで1ページで全項目をカバーしていたものを「環境」「社会」「ガバナンス」に再整理し、「TCFD提言に基づく開示」と「ESGデータ集」を新規開示した。ESGデータ集では、同社の管理指標を時系列で開示しており、取り組みが進捗していることに加え、透明性がさらに高まったことがわかる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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