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Jトラスト Research Memo(4):2023年12月期通期業績予想は、韓国の金利上昇等を踏まえ保守的な計画

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■業績見通し

● 2023年12月期の業績見通し
2023年12月期の連結業績についてJトラスト<8508>では期初の業績予想を維持し、営業収益115,000百万円(前期比39.5%増)、営業利益8,500百万円(同41.0%減)、税引前利益9,000百万円(同47.0%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益13,000百万円(同2.9%増)を見込んでいる。営業収益は初めて100,000百万円を超える過去最高更新を計画しているものの、営業利益は韓国の金利上昇等の影響から減益を予想する。

なお、この業績予想値には2023年2月に吸収合併したミライノベートの負ののれん発生益や、Nexus Bankの合併に伴う繰延税金負債の取崩し等の計上を暫定的に見込んでいる。また、2022年4月に子会社化したJトラストグローバル証券が展開する証券業務の業績は、経済情勢及び市場環境の変動による影響を大きく受けるため、業績予想値には含めていない。ただ、従来より同社グループの期初業績予想は保守的な傾向が強く、最終的には予想を超過達成する可能性が高いと弊社では見ている。実際、第1四半期決算の段階で、営業利益や税引前利益は早くも通期予想を上回るなど高い進捗率になっているが、同社では先行きの確実性を見極めたうえで修正することとし、現時点では業績予想を据え置いている。

セグメント別営業利益予想について、日本金融事業は保証業務と債権回収業務を中心に安定的な業績貢献を見込み、5,764百万円の利益(前期比46.6%増)を計画している。第1四半期実績は、TVCM等の広告宣伝費をはじめとする費用増と負ののれん発生益の剥落に伴い879百万円の利益に留まったが、今後はアパートローン保証の増加やカード・ショッピング債権を中心に大型債権購入による収益計上を見込む。韓国及びモンゴル金融事業は、韓国の中央銀行が物価の高騰を抑えるために2021年8月以降数回にわたって基準金利を引き上げていることに伴い、市中金利の高騰による預金金利上昇や韓国全体における延滞の増加を織り込んで1,432百万円の営業損失を予想するが、第1四半期の営業損失額は578百万円と計画値を10億円下回って着地した。預金の主力が1年定期であり2022年秋に集めた高金利預金の影響は時間の経過とともに剥落することから、事態の鎮静化に伴い2023年12月期第3四半期から黒字転換し、2024年12月期には正常化する見通しであり、従来どおりの安定的な収益貢献を見込んでいる。2022年12月期に黒字転換した東南アジア金融事業は、コロナ禍で緩和されていた監督当局による規制の厳格化に伴う企業の経営環境の悪化等に備えて貸倒引当金(損失評価引当金)を予め積み増しており、466百万円の小幅損失を見込んでいる。ただ、第1四半期には優良な貸出金の積み上げ、資金調達コストの抑制や経費の削減に伴い719百万円の黒字を計上しており、同セグメントが今後の成長ドライバーになるとの位置付けは変わらない。新設の不動産・再生可能エネルギー事業は、ミライノベートの負ののれん発生益や、不動産事業会社の事業規模拡大により8,846百万円の営業利益を予想するが、第1四半期段階で9,270百万円と通期予想を上回る利益を計上している。投資事業は2,213百万円と前期並みの営業損失を見込んでいる。ただし、Group Lease PCLらに対する訴えは進捗している。今後裁判が終結し、将来的に支払いが履行されれば営業利益を押し上げる要因になるし、裁判費用の大幅な減少が利益押し上げ要因になると期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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