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兵機海運 Research Memo(1):環境変化の荒波を総合力で乗り越え、2023年3月期も大幅な増収増益

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■要約

兵機海運<9362>は独立系海運会社である。神戸に本社を構え、神戸港・姫路港・大阪港をベースに、内航・外航の海上輸送、倉庫、通関・国際輸送の各物流サービスを提供している。鉄鋼メーカーが生産する鋼材の海陸一貫輸送が強みである。創業は1942年12月であり、2022年12月には創業80周年を迎えた。同年4月には、東京証券取引所の東証スタンダード市場へ移行した。

1. 2023年3月期の業績概要
2023年3月期の連結業績は、売上高で前期比14.3%増の18,387百万円、営業利益で同12.3%増の548百万円、経常利益で同16.5%増の609百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同23.2%増の442百万円と大幅な増収増益を達成した。内航事業の売上高は航海数及び取扱輸送量(トン)の伸び悩みによって微増にとどまったものの、その他の事業の売上高は揃って2桁伸長した。特に、外航事業の売上高は同59.1%増と急伸し、連結ベースでの2桁増収に寄与した。利益面に関しては、外航事業において在来船の運賃相場が高水準で推移したこと、円安によってドル建て海上運賃が大幅に増加したことなどが増益に寄与した。加えて、倉庫事業では、3棟目の危険品倉庫を増設した兵庫埠頭物流センターにおいて単価の高い危険品貨物の取り扱いが好調だったことも利益を積み上げた。これらにより、売上、各利益ともに期初の計画を上回って着地した。

2. 2024年3月期の業績見通し
2024年3月期の連結業績は、売上高で前期比13.0%減の16,000百万円、営業利益で同5.1%減の520百万円、経常利益で同9.8%減の550百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同9.5%減の400百万円を見込んでいる。売上高に関しては、ロシアのウクライナ侵攻や燃料価格の高騰、インフレによる欧米の主要中央銀行の利上げと金融システム不安、それらに端を発する景気の先行き不透明感などから前期比で減収の見込みとなっている。利益面に関しては、燃料油価格の高止まり、人件費や各種コストの上昇などを受け、減益の予想を立てている。

3. 同社の強み
同社の強みであるバランスの良い事業ポートフォリオと機動的な全方位営業により、同社の業績が堅実に拡大していくと弊社は考える。同社は、内航事業、外航事業、港運事業、倉庫事業の4事業で総合的な物流サービスを展開しており、バランスの良い事業ポートフォリオを構築している。この4つの事業を並行して手掛けていることで、会社全体としてリスクの分散が図れている。また、独立系海運会社であることも同社の特長となっている。海運業界には、荷主である企業系列の海運会社が多く存在しているが、これらの会社は荷主との取引関係が硬直的になりがちである。同社はどこの系列にも属していないため、機動的に全方位で営業活動が可能となっている。収益機会と見れば一気に経営資源を投入し、一方で危険を察知した場合はいったん立ち止まることができる。このように機動的な事業運営で稼ぐ力を高めていけることが同社の最大の強みである。

■Key Points
・2023年3月期は全事業が増収、特に外航事業が好調で利益の伸長にも寄与
・2024年3月期は世界情勢や経済の先行き不透明感を受け、減収減益予想
・バランスの良い事業ポートフォリオと全方位営業で、堅実な成長を見込む

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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