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国内株式市場見通し:イベント多く手掛けづらいが下値は堅いだろう

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■週央に波乱も週間では上昇

今週の日経平均は740.95円高の32265.17円で終え、9週続伸。週前半は株高の流れが続き連日でバブル後高値を更新。日経平均は5日、6日で980円超も上昇した。一方、7日は午前に高値を更新した後に急失速すると、600円近く下落するなど波乱の展開となり、8日も270円安と続落した。週末の株価指数先物・オプション6月限の特別清算指数算出(メジャーSQ)を前に短期筋の売りなどが強まったもようで、需給主導での荒い展開となった。ただ、週末は620円高と大幅に反発し32000円を回復、海外勢による旺盛な日本株買いが続いた。

■主要中銀イベントや米中経済指標など材料多数

来週の東京株式市場は一進一退か。今週は週半ばに荒い展開が見られたが、株価指数先物・オプション6月限の特別清算指数算出(メジャーSQ)を通過し、需給面での荒さは落ち着いていきそうだ。SQ日に500円超上昇して即座に32000円を回復している点からも日本株の先高観はなお健在とみていいだろう。日本取引所グループ(JPX)が8日に公表した投資部門別売買動向によると、外国人投資家は5月第5週(5月29日-6月2日)、現物で日本株を5298億円買い越し、買い越しは10週連続となった。買い越し幅は前の週(4096億円)から増加しており、海外勢による旺盛な買い意欲が引き続き下値を支えよう。

一方、来週は米国および欧州、日本の各国中央銀行による金融政策決定会合が開催される。週末までイベントが目白押しで、週を通して手掛けづらさが意識されやすいだろう。ただ、13-14日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)で予想通り利上げが一時停止され、ドットチャート(政策金利見通し)で示されるターミナルレート(政策金利の最終到達点)が前回3月時点から小幅な修正にとどまれば、あく抜け感は台頭しやすい。

また、FOMCの結果公表とパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の会見の前には米5月消費者物価指数(CPI)が発表される。物価関連の指標はすでにピークアウト感が鮮明になっており、今回も伸びの鈍化が確認されれば株式市場には追い風となろう。これらのイベントを無難に消化すれば、週後半は強含みの展開が期待できる。

週末にかけては日銀金融政策決定会合が開催されるが、大方の予想は現状維持であり、今週末には関係者の取材で今会合は現状維持の公算大との一部報道も伝わっているため、波乱の可能性は低いだろう。週末金曜の昼頃に発表される結果で現状維持が実際に確認されれば、植田総裁の会見前に株高に勢いがつく場面がありそうだ。

他方、米CPIの鈍化やFRBのターミナルレート明確化により米金利の先高観が薄れれば、ドル円は軟化が予想され、この点は日本株の上値抑制要因となろう。また、米S&P500種株価指数は8日、昨年10月に付けた安値からの上昇率が20%を超え、強気相場入りと見られている。強気相場入りとなった後も米株式市場が堅調な展開を続ければ、米株への一部資金回帰も想定され、日本株への資金一極集中は後退しよう。可能性は低いが、日銀が政策修正に踏み切れば、円高進行により日本株の利益確定売りが加速する可能性もある。

需給面では、東京証券取引所によると、6月2日時点の裁定残高がネットベースで1兆1828.55億円の買い越しとなり、前週(1兆838.94億円の買い越し)からさらに増加した。2021年以降のレンジ上限近くまで増加してきているため、引き続き裁定売り(現物売り・先物買い)の圧力が上値を抑制しやすい状況には留意しておきたい。また、JPXの投資部門別売買動向では、外国人投資家は5月第5週、日経225先物では2304億円の売り越しと、8週ぶりに売り越しに転じた。短期筋はすでに買い持ち高が膨れ上がっている状況といえ、今週半ばの急落からも分かるように、短期筋の売り向かう動きには注意したい。

ほか、中央銀行イベント以外で留意したいのは米中の経済指標だ。15日には中国で5月の鉱工業生産、小売売上高、固定資産投資、米国でも5月鉱工業生産、小売売上高、6月のニューヨーク連銀製造業景気指数、フィラデルフィア連銀景況指数などが発表される。中国では製造業を中心に経済指標の減速が月を追うごとに鮮明になっており、米国でも先週あたりから景況指標の悪化が目立ってきている。堅調とされてきた個人消費も、米5月ISM非製造業景気指数の予想外の低下で黄色信号が灯っている。米中の経済指標の結果次第では、中央銀行イベントを無難に消化しても、景気後退懸念が強まる形で予想外のリスクオフになる形も考えられる。

■5月工作機械受注、4-6月期法人企業景気予測調査、日銀金融政策決定会合など

来週は、12日に5月企業物価指数、5月工作機械受注、13日に4-6月期法人企業景気予測調査、米FOMC(-14日)、米5月CPI、14日に米5月卸売物価指数(PPI)、パウエルFRB議長の会見、15日に日銀金融政策決定会合(-16日)、5月貿易収支、4月機械受注、中国5月鉱工業生産・小売売上高・固定資産投資、欧州中央銀行(ECB)定例理事会、米5月小売売上高・鉱工業生産、米6月ニューヨーク連銀製造業景気指数、米6月フィラデルフィア連銀景況指数、16日に植田日銀総裁の会見、米6月ミシガン大学消費者信頼感指数、などが予定されている。

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