■ケアネット<2150>の今後の見通し
3. 弊社所見
2022年から2023年の2年間にわたり、製薬業界ではプロセス改革が本格的に展開され、同社をはじめとする製薬業界の周辺企業では、業界動向に適切に対応することが重視された。eプロモーションの売上高へのインパクトは、ROMIテストなどの統計調査によって徹底的に精査されたが、同社サービスは投下コスト以上のリターンを実現している。MRでは対面による営業を第一優先としつつも、医師に会えない場合はeプロモーションによるアプローチを試みるが、すべての医師がeプロモーションのコンテンツを見ているわけではなく、どのアプローチ方法も完璧ではないことが、コロナ禍を経て鮮明となった。
eプロモーションに対しては、医療情報サービス業界をけん引してきたエムスリーの失速により、今後の市場規模への悲観的な声もあるが、MRのアウトソーシングとしての視点では、成長の機会は多く存在する。製薬企業が新薬のシェア獲得にMRのリソースを集約するなか、医師に会えない状況への対策として医師と製薬企業をつなぐマッチングサービスが求められている。同社ではこれらの需要に対する解決策を提供することで、既存のCSOやeプロモーションとは異なる、完全なMRの業務委託を目指している。
取材や調査、番組出演、記事の投稿などを通じてこれまで1万人以上の医師と様々な接点を持ってきた同社は、MRでは医師に会えない顧客を支援し、既存事業においても継続的な改善を続けて業績を伸ばしている。また急激な市場環境の変化に伴い、KOLや専門医とのエンゲージメントを実現する新しいサービスモデルの開発を掲げており、これまでの企業買収や戦略的提携と相関している。既存事業が安定収益基盤として成長するなかで、新たなサービスモデルの確立により、成長加速が期待できると弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
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