【今週の概況】
■ドルは伸び悩み、米大統領選通過で円売り縮小
今週のドル・円は伸び悩み。週前半に151円30銭まで下落したが、11月5日に行われた米大統領選でトランプ氏が勝利する見通しとなったことから、米長期金利は上昇し、6日のニューヨーク市場で154円71銭まで米ドル高・円安が進行した。しかしながら、トランプ氏の勝利を想定した米ドル買い・円売りは7日までに一巡。また、7日に開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で0.25ptの利下げが決定され、12月以降も追加利下げが行われる可能性は残されており、米長期金利は低下したことを受けてリスク選好的な米ドル買い・円売りは縮小。8日の東京市場で米ドル・円は152円台半ばまで反落した。
8日のニューヨーク外為市場でドル・円は152円34銭まで売られた後、152円86銭まで反発した。この日発表された11月ミシガン大消費者信頼感指数速報値は予想外に上昇し、景気見通しの改善が示されたことから、リスク回避の米ドル売りは縮小した。米ドル・円は152円60銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:151円30銭-154円70銭。
【来週の見通し】
■ドルは伸び悩みか、日本の円安牽制が重石に
来週のドル・円は伸び悩みか。米大統領選でトランプ前大統領が勝利し、減税により企業業績や消費の拡大が期待され、米国経済の持続的な成長も予想されることから、リスク選好的なドル買いが大幅に縮小するとの見方は少ないようだ。11月6-7日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25ptの利下げを決めたが、次回12月は緩和見送りの可能性がある。ただ、財務省の三村財務官は7日、為替相場で円安が進行していることを受け「投機的な動向も含め、極めて高い緊張感を持って注視する」と述べている。市場参加者の間では「1ドル=155円を超えて米ドル高円安が進行した場合、円安是正を狙った為替介入が実施される可能性がある」と警戒されており、ドルの上昇は小幅にとどまりそうだ。日本銀行は金融正常化を推進する方針を維持しており、金融市場の安定化が見込まれる場合、12月に追加利上げに踏み切るとの見方が浮上していることもドルの上昇を抑える一因となり得る。
なお、11月15日発表の日本の7-9月期国内総生産(GDP)は前期比年率、前期比の成長率とも前回(4-6月期)を下回る見通しだが、市場予想を下回った場合、利上げ時期は後ずれするとの観測が強まり、リスク回避的な米ドル売り・円買いは縮小する可能性は残されている。
【米・10月消費者物価コア指数(CPI)】(11月13日発表予定)
11月13日発表の米10月消費者物指数(CPI)は前年比+2.6%、同コア指数は+3.3%と予想される。上昇率が市場予想を上回った場合、ドル買い要因となろう。
【米・10月小売売上高】(15日発表予定)
11月15日発表の米10月小売売上高は前月比+0.3%の見通し。市場予想を下回り、米国経済のソフトランディング期待が低下すれば、ドル売り要因になりやすい。
ドル・円の予想レンジ:151円00銭-154円00銭
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