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【第1回】「家賃並みの返済額で大丈夫」って本当?

長男が小学校に入学するのを機に、マイホーム購入を考え始めたファミリー。週末の物件探しを始めて、すでに半年が経過。ついに、「これは!」という新築マンションに巡り合い、購入を真剣に検討することになりました。しかし、物件の価格が、当初の想定金額よりもオーバーしているため、心配になり、夫婦でファイナンシャル・プランナー(以下、FP)のところに相談にやってきました。はたしてご一家は無事思い通りの返済プランが組めるのでしょうか……。

登場人物

夫パパさん(35歳) 電機メーカーに勤めるサラリーマン。長男(6歳)と長女(1歳)の2人の子供を持ち、長男の小学校入学を機に、マイホーム購入を決意。

 

妻ママさん(33歳) 子育て真っ盛りの専業主婦。夫とは職場結婚。育児から解放されれば、働くことを考えている。

 

FP5FPさん(35歳) ファイナンシャル・プランナー。元OL。

 

 

 念願のマイホーム購入!家賃と同じ感覚で払えると思いきや……

夫来年完成予定の新築マンションで、手の届きそうな物件が見つかりまして。物件価格は5000万円前半です。マイホーム購入の頭金として貯めているお金が600万円くらいあります。4500万円程度のローンを組めば、買えそうなんですが。

 

妻今、住んでいる賃貸マンションの家賃が約12万円なんですね。それで、家賃くらいのローンだったら払っていけるかなと考えていて、見つけた物件は、だいたい12万円を少しオーバーするくらいの支払いになりそうなんです(と、ローンのシミュレーションが掲載されている不動産会社のチラシを渡す)。

 

FP5“毎月の家賃並みのローン支払い額で買えます”というヤツですね。なるほど、やはり変動金利で借りることが前提となっていますね。失礼ですが、パパさんの年収はおいくらですか?

 

夫600万円ちょっとです。

 

sbi006うーん、それだと、やっぱりこのローンは借り過ぎになりますね。

 

sbi007借り過ぎ!?

 

FP2このシミュレーションには問題がたくさんあります。最大の問題点は借り過ぎていること。現在、メガバンクの変動金利は、年0.775%と過去最低水準で、たしかに、返済が終わるまでに金利が変わらなければ、借入額4500万円を月々12万円ちょっとの支払いでローン返済を終えることができます。しかし、35年という返済期間中、ずっと現在の低金利が続く保証はありません。可能性としてはほぼ無いと言ってよく、むしろ、金利は今後上昇すると考えた方が無難です。

sbi004どのくらい上昇するのでしょうか?

 

FP5金利の予測は難しく、たとえ短期間であっても、経済や金融の専門家でも当たらないものです(笑)。ましてや35年となれば、予想はつきません。ここでは、変動金利と比較するために、2%と3%でシミュレーションをしてみましょう。毎月返済額を12万円程度としたときに、それぞれの金利でいくら借りることができるのか、を試算したものです。

【住宅ローン金利別 借入総額と毎月返済額】(金利は35年間変わらないと仮定)
表※元利均等返済、ボーナス返済なしの場合

FP5例えば、金利が2%だとすると、月12万2565円の支払いで、借入総額は3700万円になります。0.775%の変動金利よりも、800万円少なくなる計算ですね。

 

sbi0022%や3%を前提条件とすると、4500万円を借りるには、月々の返済額を増やさないとダメなんですね。

 

FP2それはいちばんしてはいけない考え方です。この2%、3%というのも、金利の上昇をかなり控えめに見た数字です。また、そもそも、毎月返済額の12万円が妥当な水準かどうかを、考えてみなければなりません。

 

妻雑誌なんかには、年間の支払額は年収の25%が目安、といったことが書いてありますけど。

 

FP3一般的によく言われる“年収の25%”を、鵜呑みにしてはいけません。年収は、手取りの金額をベースで考えるべきです。年収600万円のサラリーマン世帯であれば、税金や社会保険料が給与から差し引かれて、手取り収入は500万円程度になるはず。500万円の25%となれば、年間のローン支払額は125万円。毎月の支払額は10万円ちょっとになりますね。

 

sbi002手取りは500万円ないかもしれません。

 

FP5購入するのがマンションであれば、管理費や修繕積立金が必要になりますので、毎月の支払額が10万円であっても、住居費トータルで考えると、年収の30%を超えてくるでしょう。ローンを組む人の年齢や頭金、家族構成などによって条件は変わってきますから、これはあくまで一つの目安ですが、年収600万円の世帯なら住宅ローンの借入額は、3000万円程度が限度ではないでしょうか。

妻意外と少ないんですね。

 

FP3住宅ローンの借り過ぎは、家計の破たんにつながります。それだけは避けなければなりません。まず、自分がどのくらいのローンを借りられるのか、その金額をきちんと把握すべきです。それが、住宅ローンの正しい借り方の第一歩です。

 

文/松岡賢治
金融ライター、ファイナンシャル・プランナー。シンクタンク、証券会社のリサーチ部門(債券)を経て、96年に独立。

◎第1回目のポイント
「変動金利によるシミュレーションは借り過ぎになる傾向がある」

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