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NHKが仕掛ける「ネット受信料の罠」とは? この出来レースをぶっ潰せ=立花孝志

金田法務大臣の「意見書」はデタラメだらけ

A4用紙で51枚にも及ぶ法務大臣の意見書には、我が国の放送法制の沿革や諸外国の放送制度、公共放送の社会的使命について書かれています。この意見書では、はっきりと「放送法64条は憲法違反ではない」と書かれています。そしてその根拠として、何度も何度も同じ趣旨の記載があります。それは、「NHKの放送がなくなると、災害時に、国民は生命、身体、財産を守れない」という趣旨です。

具体的には「NHKには、地震、津波、台風などの天変地異が発生した場合や、我が国の領土や国民に対する、武力や化学兵器等による内外からの攻撃があった場合に、NHKを受信することができるテレビを通じて、国民に時々刻々と変化する状況に関する情報を正確かつ具体的に提供し、国民は自らの生命、身体、財産等を最大限守るために適切な行動をとることができるようにするという重大な社会的使命がある」としています。

つまり法務大臣は、「NHKは国民の生命、身体、財産を守ってくれているのだから、憲法で保障されている『契約の自由』や『NHKを視聴したくない自由』の侵害にはあたらず、放送法64条は憲法違反ではないから、テレビを設置した国民はNHKと契約しなさい」と言っています。

しかし、冷静に考えてみて下さい。今は平成29年・西暦2017年ですよ。「いつの時代の意見なのですか?」と法務大臣に聞きたくなるのは、私だけではないでしょう。

NHKの情報で国民は守れない

まず、地震や津波を一番早く伝えてくれるのは、テレビではありません。もちろん、現在はJアラートと連動したスマートフォンなどの携帯電話が、1番早く地震や津波やミサイル発射の情報を伝えてくれます。

※参考:Jアラート(全国瞬時警報システム)は、通信衛星と市町村の同報系防災行政無線や有線放送電話を利用し、緊急情報を住民へ瞬時に伝達する日本のシステムである。2004年度から総務省消防庁が開発および整備を進めており、実証実験を経て2007年2月9日から一部の地方公共団体で運用が開始されている。対処に時間的余裕がない大規模な自然災害や弾道ミサイル攻撃等についての情報を、「国から住民まで直接瞬時に」伝達することができるという点がJアラートの最大の特長である。住民に早期の避難や予防措置などを促し、被害の軽減に貢献することが期待されている。

災害時に国民が求める情報は、早さと正確さがあればよいというわけではありません。情報の「きめ細かさ」が必要になります。例えば、羽田空港にいる人は、どこの避難所に逃げればよいのか? 東京駅にいる人はどこに避難すればよいのか? 新宿のデパートで買い物をしている人はどこの避難所に逃げればよいのか? という、きめ細かな情報が必要です。そのようなきめ細かな情報は、いまや携帯電話が伝えてくれますが、NHKのテレビ放送は伝えてくれません。

そして、災害時にもっとも気になる情報は、家族や知人の安否確認です。子どもは無事か?どこに避難しているのか?など、家族や知人の安否確認は、災害時には欠かせません。これも、NHKのテレビ放送ではできないことです(ちなみにNHKは、Jアラートシステムには参画していません)。

ほかにも、不条理なことだらけです。地震が発生すれば、停電が起こります。停電すると、NHKのテレビは映りません。また、津波が来れば、通常は家を出て高台に避難します。外に避難すれば、NHKのテレビは視聴できません。携帯電話ならば、停電時でも屋外でも視聴することができます。また、仮に災害時にテレビの情報が必要だとしても、今は、テレビはNHKだけではなく、民間放送のテレビを視聴すれば充分に満たされる時代です。

つまり、今の我が国においては、災害時にNHKがなくても何も困らない反面、スマートフォンなどの携帯電話がなければ、国民の生命、身体、財産が守れないことは明白です。このような時代に、NHKがなければ災害時に国民の生命、身体、財産が守れないと考えている法務大臣は、時代錯誤が甚だしいと言えます。もちろん、この考え方は法務大臣ひとりだけではなく、自民党・公明党・民進党・共産党・維新の会所属の国会議員の大半も同じなのです。

Next: なぜ国会議員は理不尽なNHKの受信料制度を守ろうとするのか?

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