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【第8回】「全期間固定金利型」ローンの本当のメリットとは?

前回までのあらすじ(前回を見る
賃貸マンションに住み、マイホーム購入を考え始めたご一家。前回は「10年固定型」ローンについての注意点をFPさんに説明してもらいました。今回は、住宅ローンのタイプのひとつ「全期間固定金利型」について解説します。

登場人物

夫パパさん(35歳) 電機メーカーに勤めるサラリーマン。長男(6歳)と長女(1歳)の2人の子供を持ち、長男の小学校入学を機に、マイホーム購入を決意。

 

妻ママさん(33歳) 子育て真っ盛りの専業主婦。夫とは職場結婚。育児から解放されれば、働くことを考えている。

 

FP5FPさん(35歳) ファイナンシャル・プランナー。元OL。

 

 

全期間固定金利型は最初に総返済額がわかるのが最大のメリット

夫今までのお話の内容は、変動金利(半年型)と当初固定金利型はおすすめしない、ということでした。となると、残っているのは全期間固定金利型だけですね。

 

FP5はい、私がおススメするのは全期間固定金利型です。返済終了までの全期間の金利が固定されるタイプです。

 

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金利が一定というメリットは分かりやすく、私も全期間固定金利型がいいとは思うんですけど、やっぱり金利が高いという印象が強いです。

 

FP5

全期間固定金利型には、いろいろなローンがあり、固定期間によっても金利が変わってきます。期間が長くなるほど金利は高くなり、銀行が提供しているものだと、固定期間30年で2%を超えてきます。変動金利(半年型)の0.775%と比べてしまうと、約3倍の水準になってしまい、どうしても金利が高いというイメージは否めません。

 

sbi002そういえば、借り入れ可能金額を試算してもらったことがあるんですけど、変動金利(半年型)よりも、かなり少ない金額になりました。

 

FP3実は、私が全期間固定金利型をおすすめする理由は、お得がどうかという視点からではありません。そもそも住宅ローンとは、何を選んだらいちばん得をするのかは、返済を終了してみないと分からないものだからです。私自身は、10年、20年という期間では、将来的に金利が上昇していくという予想をしているものの、実際に上昇するかは不明です。もし、現状の金利水準が続けば、変動金利(半年型)がいちばんお得だった、ということになります。

odoroki-mなるほど。

 

FP3

また、2、3年後に金利が上昇した後、10年後に金利が低下したとすると、固定期間10年の当初固定金利型がお得になりますし、金利が上昇して長期間そのままになった場合、全期間固定金利型が有利になります。返済が終わったときに、初めてどのローンがお得だったのかが判明するわけです。

 

【住宅ローンの金利推移】

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1990年代後半以降、日本の経済はデフレ下にあったため、市場金利は低い水準で安定的に推移していた。その結果、変動金利(半年型)、当初固定金利型(10年)の「基準金利」(優遇される前の金利)は、同じく、落ち着いた動きが続いた。しかし、それ以前へさかのぼると、1年間で1%以上変動する状況はひんぱんに起きていた。金利は、いったん動き出すと、変動幅は少なくないことに留意したい。(データ出典:住宅金融支援機構『フラット35』-「民間金融機関の住宅ローン金利推移」より一部抜粋)

 

f06aたしかにそうですね。でも、そうすると、どんなポイントでローンを選ぶのがよいのか、分からないのですが……。

 

FP5住宅ローンのお得度は、返済が終わってみないとわかりません。しかし、全期間固定金利型だけは、あらかじめ総返済額がわかります。つまり、この先、どんなに金利が上昇したとしても、返済額が変わることはありません。全期間固定金利型は、このメリットが大きいのです。

 

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もう少し詳しく教えてください。

 

FP2ローンの場合、金利上昇によって返済額が増えるリスクを、「金利上昇リスク」といいます。変動金利(半年型)は、金利が上昇すると返済額が増えるため、借り手がリスクを負うことになります。当初固定金利型も、固定期間が終了したときに金利が上昇していればその後の返済額が増えるため、やはり借り手がリスクを負っています。一方、全期間固定金利型は、金利が上昇しても返済額は増えないので、借り手は金利上昇リスクを負っていません。

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金利上昇リスクは誰が負担しているのですか?

 

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貸す側が負っているといえるでしょう。期間30年の全期間固定金利型を2%で借りた人がいたとします。もし、10年後に住宅ローンの金利が2.5%に上昇していた場合、その時点で借りる人に比べて0.5%分の金利を得することになります。一方、銀行などの貸し手は、金利が2.5%に上昇した時点で貸すよりも0.5%分の金利を損していることになるからです。貸す側は、将来、どんな金利が上昇しても、当初の金利で貸し続けなければなりません。

 

sbi005全期間固定金利型と、変動金利(半年型)および当初固定金利型は、内容的にローンのタイプが違うということですね。

 

FP3そうなんです。私が全期間固定金利型を薦める理由は、将来の金利上昇リスクを回避できるから。何千万円もするマイホームは、ほとんどの人にとって人生で最大の買い物でしょう。高価な買い物だからこそ、金利上昇リスクを無視すると、返済に行き詰まる可能性があり、ひいてはライフプランの破たんにつながる可能性があります。金利上昇リスクは放置できないのです。したがって、私は、住宅ローンは、お得がどうかで選ぶのではなく、リスクを回避できるかどうかで選ぶべきだと考えています。

妻今まで、そういう風に考えることはありませんでした。

 

FP3変動金利(半年型)や当初固定金利型より高い分の金利は、リスク回避のためのいわば〝保険料〟だと思ってください。

 

妻

そういう視点だと、全期間固定金利型のイメージがずいぶん変わりますね。

 


文/松岡賢治

金融ライター、ファイナンシャル・プランナー。シンクタンク、証券会社のリサーチ部門(債券)を経て、96年に独立。

◎第8回目のポイント
「金利上昇リスクが回避できる住宅ローンを選ぶべし」

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