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LINE・決算質疑応答全文 出澤社長「7,100万人のMAUの量・各コンテンツの質は、圧倒的に我々の強み」

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2017年10月25日に行われた、LINE株式会社2017年12月期第3四半期決算説明会・質疑応答の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料


ターゲティング精度の向上とCPM増加の関係について

質問者1:野村證券のナガオでございます。まず1点目は、広告単価・CPMに関してお尋ねします。もう少し具体的に、どういったターゲティング精度の向上がCPMの増加につながったのかを教えてください。

いくつかご説明いただきましたけれども、とくにどういった商材がよかったのかといった点と、今後の見通しについても、合わせて教えていただけますでしょうか?

出澤剛氏(以下、出澤):ご質問ありがとうございます。まず、CPMの向上に効いた具体的な取り組みで言いますと、まず新規商品が非常に有効にワークしました。「First View」という、タイムラインの最上部限定で共有されるような広告。そういったところが、単価を押し上げる要因になりました。

あとは、ターゲティングの精度で言いますと、「Look a Like」という商品で、類似したユーザーに広告を表示させるという部分も実装できまして、こういったところも効いてきたというところです。

今後の見通しで言いますと、従前から申し上げているとおり、このCPMに関しては3つの要因があります。CPMだけではなくて、このパフォーマンス広告の向上という意味で言うと、掲載面の拡大・ターゲティング精度の向上・セールスの拡大があると思います。

まず掲載面で言いますと、「LINE NEWS」が、とくに非常に好調にインプレッションを伸ばしているところもあります。この(2017年12月期)第3四半期では、動画サービスであるとか、「LINEマンガ」であるとか、そういったところにも掲載を拡大しています。あとはインベントリとして、動画広告の比率を高めていくことを実施しています。

次に、ターゲティングの精度で言うと、時間が経つにつれ、ターゲティングの精度は自動的・学習して向上していくものです。あるいは、ユーザーの行動を追っていくことで向上していくものですので、経年で上がっていく部分もあります。新規機能も今いろいろと仕込んでいるところですので、そこも順調に進捗をしています。

また、セールスの面では、先ほど(決算説明の際)ご紹介した、地方の拠点を作って拡大していくこと。海外にも拡大していくところもありますし、既存のお客さまから、さらにブランド広告主へのアプローチを強めているところ(があります)。

その一方で、SME(中小企業)のお客さまへのアプローチを、費用面も含めて強めているところもありますので、お客さまの数も増えて実際にビディングされていくと(いうことです)。それによってCPMも向上していきます。

我々は、日本においては7,100万人という圧倒的なMAUがあります。そこで日々(サービスを)使っていただいているということで言うと、他社を圧倒する質・量ともに兼ね備えたデータがあるというところが、基本的な強みだと思っています。このCPMの向上は、今は想定どおりに進んでおりますし、我々としては手応えを感じているところでございます。

質問者1:ありがとうございます。2点目の質問です。AIスピーカー(スマートスピカーの「Clova WAVE」に関して、サービス面の今後の発展性について、どのようにお考えなのかを教えてください。

機能面では、ラジオ・Googleカレンダーの読み上げ・アプリによる音楽再生等、いろいろと充実し始めています。例えば、eコマースや「LINEデリマ」(LINEで注文ができるデリバリーサービス)と接続する。

そういったところを踏まえた、今後のサービス面での発展性を、どのようにお考えなのでしょうか?

舛田淳氏:ありがとうございます。このAIについては、私舛田から回答させていただきます。

まず、サービス面においては、今は順次開発を進めているところでございます。Clova WAVEに関して重要なのは、LINEが使えること・音楽が聴けること・家電が操作できること。これらを、まず第一にやるべきことだと考えて、今進めております。すでに(Clova WAVEは)正式販売しておりますが、この3点に関しては、非常に高い評価を得ていると考えております。

そして、その次になりますけれども、例えばClova経由で、まさに日用品が注文できる・フードデリバリーができる。例えばピザが頼める、タクシーが呼べる。こういったところについては、まさに今現在、パートナーシップも含めて準備をさせていただいております。これが(2017年の)年内、そして(2018年の)年始と、順次出ていく予定でございます。

さらに、サードパーティ向けのスキルをつなぎこむものについては、来年の上半期中には公開をすることで、今考えております。

LINE NEWSへの動画広告導入時期について

質問者2:JPモルガン証券のモリです。私からも2点、お尋ねします。

1点目は、LINE NEWSに関して。(2017年)11月から動画広告を導入されるということでした。従来からのイメージより、やや早い導入なのかなという印象を持っています。このタイミングでの導入は計画どおりなのかもしれませんが、その背景を教えてください。

例えば、ユーザーエンゲージメントが想定以上に上がってきたのでしょうか? ユーザーエンゲージメントの状況を、アップデートしていただければと思います。

また先ほど、動画広告全体のインベントリを増やしていますというお話がありました。現状の運用型の中で、動画広告の構成比は、どれぐらいのアップサイドがあるとお考えでしょうか?

出澤:ご質問ありがとうございます。LINE NEWSの動画広告導入のタイミングというところで、(ユーザー)エンゲージメントとの関連性(があるのか)というご質問だったと思います。

まず、LINE NEWSのエンゲージメントです。開示させていただいているのは、MAUの推移というところですけれども。それに対してインプレッション数は、それ以上の比率で上がっているというのが現状でございます。1人あたりの見てくださるニュースの数が増えているというのが、足元の現状です。そういう意味で、エンゲージメントは増加の傾向にあるという状況です。

その意味で、今回の動画広告の導入は、コンテンツサイド等の進捗も含めた、予定どおりの導入ということになります。

また、動画比率は、開示していないという状況でございますけれども、今までLINE NEWSが動画対応をしていなかったというところで言いますと、そこが一気に上がっていくというところになります。

今のタイムラインにおいては、やはり動画広告によるインプレッション数の向上が、非常に顕著に出ております。LINE NEWSにおいても、同じようなことが想定できると考えております。

質問者2:ありがとうございます。2点目が、マーケティング費用の考え方について。今回はかなり、前年同期比で減っています。基本的に、ゲームの売上がやや弱かったので、それに応じて落としたと理解すればいいのでしょうか?

LINEショッピング・LINEデリマも、かなり積極的なポイント施策を行っているように見えます。ゲーム以外のところは今後、まだ積極的に増やしていくと考えるべきでしょうか?

前回まで、オペレーティングマージンは約10パーセントを目安にしていると、ご案内があったと思います。広告が好調なことを踏まえて、このあたりに変化があるかについても教えてください。

黄仁埈氏(以下、黄):マーケティング費用に関しまして、お答えいたします。たしかに、今期(2017年12月期第3四半期)では若干の下がりを見せましたけれども、今後は商品のさまざまなプロモーションをかけていく予定であります。

そのためマーケティング費用に関しましては、通期で言いますと、だいたい140億円から150億円程度の見込みを持っております。

ターゲットといたしましては、売上の約10パーセント程度のオペレーティングマージンで、コントロールをしようと思っております。

広告・ゲーム・スタンプを筆頭とする既存事業のマージンは、現在の水準を維持するものとしております。ただし、AIプラットフォームの始動にともない、積極的にこれから先取りをしようというところもあります。Clovaに搭載されているスマートデバイスなども展開していくという関係で、2017年12月期第4四半期には、ネガティブなインパクトもあると予想しています。

質問者2:ありがとうございました。

関連会社のロスは、第4四半期にも影響する?

質問者3:質問が2つあります。まずは、関連会社のロスについての質問です。

今回、(関連会社のロスが)16億円から19億円に増加していると思いますけれども、こちらの原因を教えてください。第4四半期でのトレンドは、このまま続くのでしょうか?

2つ目の質問は、あるアドホック会社の方から、「Facebookがビデオを0プレミアムで提供し始める」という話を耳にしました。こちらについて、LINEへの影響を伺いたいです。

黄:まず1つ目のご質問にお答えします。関連会社のロスにつきましては、約19億円あります。大半は、SNOWへの投資に起因するものです。また、その他の関連会社に関わるものでもあります。

出澤:Facebookの動画広告の件に関して言うと、個別の内容に関しては正確に把握をしていないので、現状はその他の状況について回答します。

現状、LINEの運営を担っているパフォーマンス型広告のシェアが、日本国内において急速に伸びているという状況です。それはやはり、LINEの7,100万人のMAUがいて、その多くの方に毎日使っていただいていると(いう状況です)。

非常に長い時間使っていただき、さらにスマートポータル上のさまざまなコンテンツを使っていただいています。そのため、お客さまの趣味・趣向に対する把握ができているというところもあります。そういう意味では、その量と質というところは、圧倒的に我々の強みでございます。

日本におけるFacebookのユーザーさんは多いんですけれども、我々の(LINEユーザー)がさらに多いという状況でございます。その点を持って、今我々としては、シェアの拡大が進んでいるという認識でございます。

質問者3:関連会社のロスにつきまして、第4四半期のトレンドについて、もう少しCFO(黄氏)の方からご説明いただけますでしょうか?

黄:こちらに関しましては、それぞれの関連会社のパフォーマンスやPLによるものですので、毎四半期ごとに上下するというかたちになっております。今回の要因といたしましては、SNOWで大きなロスを記録したというところにあります。

CPMは引き続き上昇するのか?

質問者4:ゴールドマン・サックス証券のスギヤマです。2点お尋ねします。まず、第4四半期のパフォーマンス広告のCPMについて、少し考え方を伺えればと思います。

今後、動画広告のスタートや、LINE LIVE等の在庫の開放もあると思います。季節性を考えると、12月は強い季節になっていくと思いますので、CPMについては引き続き、上昇を見込んでいいものでしょうか? もしくは、広告掲載面の拡大もあるので、第4四半期については在庫の拡大のほうが大きくなるのでしょうか?

出澤:はい。ご指摘いただきましたとおり、掲載面が拡大するときは、調整のフェーズが入ります。それにより、いったんCPMが上下するというところは、ご指摘いただいたとおりです。

そういう意味で、四半期単位でCPMの比較をするのは、少し難しいと認識しております。

四半期単位での比較は難しいですけれども、先ほどもご説明したとおり、さまざまな面でCPMの拡大・広告効果が上がるような仕組みを行っております。ある程度のスパンでいうと、CPMは確実に上がっていくというところでやっています。

もう1つ言えるのは、パフォーマンス広告全体の売上という意味では、インベントリも拡大しております。それぞれ各面においては、CPMの最適化・向上施策に入っておりますので、そこは増加のトレンドが続いていくという見通しでおります。

質問者4:ありがとうございます。2点目は、コンテンツについて。LINEマンガや「LINE MUSIC」等の、ノンゲームの決済高の上昇が非常に顕著かなと思います。現状のコンテンツの売上の中に占める、ゲームではない部分はどれぐらいでしょうか? ゲーム外の成長が、コンテンツのビジネス自体を牽引していくようなタイミングであるのかという質問です。

出澤:まず、ゲーム以外のコンテンツの比率でいいますと、10パーセント前後というところでございます。ただ、ゲームに関しては、かなりこの(2017年)第4四半期から来年(2018年)の第1四半期に関して、新規のタイトルの準備をしています。

とくに、来月(2017年11月)リリースを予定・事前登録も開始しております、『デスティニーチャイルド』というタイトル。こちらに関しては、韓国でセールスランキングナンバーワンをとっているタイトルで、非常に今仕上がりを期待しているところでございます。

それ以外にも複数、わりと有力なタイトルがこれから出てくるということで、ゲームに関してもここからまた拡大基調になるという目論見で、準備を進めているというところです。

ゲーム以外のコンテンツに関しては、非常に順調に進んでおりますし、積上型ビジネスの構造になっております。今後も、成長が続いていくという見込みをもっております。

海外のMAUの成長について

質問者5:ドイツ証券の者です。最初の質問は、パフォーマンスアドに関してです。日本以外のお話をお聞かせください。台湾とそれ以外の国につきましては、パフォーマンスアドが導入されていないのでしょうか? そうであれば、いつぐらいから導入される予定でしょうか?

出澤:まず台湾に関しては、すでに導入が始まっておりまして、今いろいろとチューニングをしているところです。実際の収益貢献も始まっております。タイに関しては、今まさに準備中というところです。

質問者5:日本以外でのMAUの成長について、お尋ねします。今後の動向はどうなっていくのでしょうか? また、今後日本以外での投資などを計画しているのでしょうか?

出澤:LINEでいいますと、従来からお伝えしている4ヶ国での運営というところで、進行しています。その後、とくに変わりません。直近の動きでいきますと、LINE LIVEをドイツで展開することを決定しました。

あるいは、日本以外の地域でSNOWのMAUが上昇しているという状況もございますので、そういった取り組みを含めて海外展開を、4ヶ国以外で広く展開するということもみているという状況です。

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