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桑山 Research Memo(6):厳しい宝飾市場だが、大手の競合先はほとんどない

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■事業概要

5. 業界と桑山<7889>のポジション
日本のジュエリー市場は、1990年の資産バブルの崩壊と2008年のリーマン・ショックという2つのショックをきっかけに、3兆円から1兆円へと縮小した。その上、少子高齢化や未婚率の上昇で市場が伸びず、小売ではパイの奪い合いが激しくなっている。このような市場のため市場規模を大きく戻すには至らないと思われるが、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けての国内消費の活性化、及びインバウンド、ブライダル、モチベーションの3つの需要に期待が集まる。

インバウンド需要は、訪日外国人による需要である。一時中国人観光客による「爆買い」がニュースとなり、宝飾品市場に貢献したこともあるが、中国の関税強化や円高の影響などにより2016年に需要が沈静化した。チャネル別では、特に百貨店において影響が大きかった。しかし、日本政府観光局(JNTO)によると、2016年の訪日外国人は2403万人で前年比21.8%増と強い伸びを示し、2017年はそれをさらに上回るペースで伸びているもようである。このため、特に東京オリンピック・パラリンピックへ向けて、インバウンド需要は徐々に回復していくと考えられている。

ブライダル需要は婚約指輪と結婚指輪が中心である。厚生労働省の人口動態統計(年間推計値)によると、2016年の婚姻組数は62.1万組と前年比で1.4万組も減少した。こうした基調に合わせるように、ブライダルジュエリーの需要も減少している。しかし、宝飾品市場においてブライダルジュエリーは一定の規模が期待できるため、多くの企業が競い合う状況となっている。同社にとっては、高度なCNC技術を生かした結婚指輪やダイヤモンド素材の調達力で、強みを発揮できる市場である。

モチベーション需要はクリスマスやバレンタインといった、気持ちの高揚を伴うイベントなどによる需要である。資産バブルの崩壊以後、長年、消費市場全体が低迷を続けている。このため、小売やメーカーがこぞって消費を盛り上げようと、何かにつけてイベント化をはかり、今や月に1度は大きなイベントが催されるようになった。一方、結婚記念日や誕生日など「○○記念日」や「自分へのご褒美」など、消費者個々人へのアプローチも抜け目ない。業界全体のマーケティングの腕の見せ所だが、メーカーブランドの非常に少ないジュエリー業界では、小売に依存したマーケティング戦略となる。

現在、こうした需要を取り込もうと小売市場で戦っているのが、百貨店の1階に出店しているような小売専門店であり、その多くが同社の取引先である。ということは、同社製品が各店の店頭に並んでいるということになるのだが、多くがOEM/ODMであるため同じものが売られているわけではない。同社の製品力の凄さに驚くばかりだが、小売段階でのシェア取り合戦に違いはない。

同社は原則として小売をするつもりがない。取引先と直接競合してしまうし、作るノウハウと売るノウハウは異なるという認識を持っているからである。ジュエリーは多品種少量で嗜好品かつ買い回り品である。このため資産としての所有欲求以上にシーンやストーリーが購買動機となる。そうなると店頭での接客や内外装、商品の打ち出し方など販売特有の技術が必要となる。同社がこの分野に入らず、メーカーに徹する理由である。中国でもOEM/ODM製品を香港や中国本土の大手ジュエリーチェーンに販売しているが、同様の考え方で小売に参入しないのである。

国内にジュエリーメーカーは400社弱あると言われている。ジュエリーの製造小売(メーカーであり専門店チェーンでもある)は、国内ではツツミ<7937>とAs-meエステール<7872>くらいだろう。彼らとは取引先を競い合う関係ではなく、メーカーと小売という取引先の間柄である。一方、ジュエリー市場の川上において競合とされる比較的大手のメーカーは光・彩<7878>やナガホリ<8139>、クロスフォー<7810>となるだろうが、光・彩はパーツが主で製造品目の範囲が異なるため競合は少ない。ナガホリは一部製造をやっているものの主力が卸売と直販であるため、これも業態としてやや異質である。クロスフォーは、勢いはあるものの、ダンシングストーンという特殊なカテゴリーのジュエリーを製造している。3社とも規模感で同社に劣る。

むしろ、日々競合しているのが、宝飾産業の集積地甲府にあるような、小規模のファッションジュエリー専業メーカーやフットワークのいい企画会社である。これらは品目においてピンポイントで競合することがある。特にOEM/ODMで競争が激しくなることがあるが、小規模ゆえ企画力や製造力が安定しないという欠点がある。国内400社弱のジュエリーメーカーのうち、8割が10人以下の小規模企業である。100人以上の企業は10社もなく、その10社とも業態が違うと言うことができる。大手の競合先はほとんどない。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

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