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災害そっちのけで「カジノ法案」を急いだ安倍政権、裏にどんな利権があるのか?=斎藤満

今国会でカジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案が成立しました。世論調査でも国民の反対が強かったにもかかわらず、なぜ政府は成立を急いだのでしょうか。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

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プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

国民の反対を押し切って成立。カジノ利権が与党の政治資金に?

世論無視で通したカジノ法案

まさに、「与党の与党による与党のための政治」を象徴する法案が通りました。カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案が7月20日、会期ぎりぎりで参議院を通過、成立しました

通常国会で強行採決となればまた批判が出るので、会期を32日間延長し、審議時間を40時間とったとして強行採決批判を回避したかたちです。それでも個別具体的な問題はそっちのけで、大枠の法案だけでもなんとか通そうと、かなり急いだのは間違いありません。

このカジノ法案について、世論調査によると賛成は20%強で、60%以上が反対となっていました。採決前には、国会周辺で大規模な反対デモが繰り広げられました。

もはや、国会は国民の意思を代表する機関ではなくなりました。この法案に限らず、参議院定数6人増法案も、働き方改革法案も、世論調査では3分の2以上が反対するにも拘らず、十分な国会審議を経ないまま通過してしまいました。

誰のためのカジノ法案か

そこまでして法案を通した裏に何があるのか。これでいったい誰が得をするのか

少なくとも一般国民はこの法案に圧倒的に反対多数であったので、国民のための法案でないことは間違いありません。国民が反対しても、国家として必要で、正しいものなら国民の反対を押してでも通す必要があるケースもありますが、この法案に限ってはこの考え方も当たりません。

結局、冒頭に示したように、与党のための法案で、これによって与党が様々な利益を得ると考えられます。そのいくつかを紹介しましょう。

利益を貪る米国企業とトランプ大統領

まず真っ先に挙げられるのが、トランプ大統領です。

カジノ法案は以前にも提示されたことがありますが、国民の反発から、いずれも廃案に追い込まれました。ところが、トランプ氏が大統領に就任し、安倍総理が頻繁にトランプ詣でをするようになって、改めてこのカジノ法案が具体化するようになりました。

まさにこの1年余りの間です。洒落ではありませんが、カジノ法案はいわば「トランプ法案」の感があります。

トランプ大統領の最大の支援者がシェルドン・アデルソン氏で、彼はラスベガスでカジノを運営するサンズ社を経営するカジノ王です。先にシンガポールで北朝鮮の金委員長と会談を行った際に、マリーナ・ベイの彼のホテルが世界に知れ渡りました。

日本でカジノ解禁となれば、免許のない日本の業者は扱えず、おのずとこのアデルソン氏を中心に、米国の業者が乗り込み、利益を享受する構図になっています。建物、設備の設計などでも、米国業者が深く参画すると見られます。

Next: トランプが笑えば安倍政権は安泰? カジノ利権はやがて与党の政治資金に

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