fbpx

【第4回】「変動金利型」と「全期間固定金利型」への借り換え。どうなればどちらが得なのかをシミュレーションしてみた

政府・日銀による経済政策「アベノミクス」が継続すると、いずれ住宅ローンの金利が上昇する可能性が高い――こう説明されても、現在変動金利型の住宅ローンを借りていて「じゃあ、将来の金利上昇リスクを抑えるために、いまのうちに長期間の固定金利型の住宅ローンに借り換えよう」という人は、意外に少数派かもしれません。

その理由は、一般的に変動金利型よりも、当初固定金利型、全期間固定金利型の方がローン金利は高いからです。現在、住宅ローンに占める変動金利型で借りている人の割合は5割を超えており、変動金利型から借り換えようとすると、目先の返済額が増えてしまいます。借り換えに二の足を踏んでしまうのは、当然と言えなくもありません。そこで今回は、この先、どれくらい金利が上昇すると、変動金利型から全期間固定金利型への借り換えが得になるのかをシミュレーションしてみたいと思います。

変動金利型、全期間固定金利型、それぞれに借り換えた場合をシミュレーションしてみた

5年前の2010年に、変動金利型で3,000万円を、元利均等返済方式で、期間30年で借りた人がいたとします。当時の変動金利型の金利は、メガバンクの最優遇金利が適用された場合で1.075%でした。その後、変動金利型の基準金利は現在まで変わっていませんので、ずっと1.075%が適用されているとします。その場合、総返済額は約3,511万円です。そして、毎月の返済額は約9万8,000円で、現時点での残りの返済額は約2,564万円となっているはずです(残りの返済期間は25年)。この人が借り換えをするケースを考えてみましょう。

2015年9月現在、(1)主要都市銀行の変動金利型の最低金利0.775%(マネーボイス編集部調べ)に借り換えるパターンと、(2)全期間固定金利型の金利1.540%(住宅金融支援機構の【フラット35】において、取扱金融機関の提供する金利で最も多い金利)に借り換えるパターンとを比較します。借り換えには別途諸費用が発生します。

パターン(1)

【シミュレーションする借り換えプランの条件】
借入額2,564万円/期間25年/元利均等返済方式/ボーナス払いなし

変動金利型(0.775%)に借り換えて、それ以降、金利が変わらなかった場合を想定。毎月返済額は約9万4,000円。総返済額は約2,821万円。

パターン(2)

【シミュレーションする借り換えプランの条件】
借入額2,564万円/期間25年/元利均等返済方式/ボーナス払いなし

全期間固定金利型(1.540%)に借り換えた場合。毎月返済額は約10万3,000円。総返済額は3,090万円。

(1)と(2)を比較すると、毎月返済額では約9,000円、総返済額では約269万円、変動金利型の方が有利となっています。しかし、変動金利型の場合は今後金利が上昇していく可能性も当然あります。そこで、今度は(3)借り換えた変動金利型の金利がその後上昇するパターンと(2)全期間固定金利型に借り換えるパターンを比較したいと思います。今後、変動金利型の金利がどのくらい上がると、変動金利型と全期間固定金利型の差はなくなるのでしょうか?

パターン(3)

【シミュレーションする借り換えプランの条件】
借入額2,564万円/期間25年/元利均等返済方式/ボーナス払いなし

変動金利型(0.775%)に借り換えて、3年目から金利が0.5%上昇し、4年目でさらに0.5%上昇した場合、毎月返済額は1~5年目が約9万4,000円、6年目以降が約10万6,000円、そして、総返済額は約3,116万円となります。変動金利型は6か月ごとに適用する金利が見直されますが、毎月返済額は5年間一定です。したがって、その間に金利が上昇した場合、返済額に占める利息部分が増え、その分、借り入れた元金の減るペースが遅くなります。実際に返済額が増えるのは、6年目以降になります。

(2)(3)を比較すると、当初5年間の毎月返済額は、変動金利型が約9,000円有利になりますが、6年目以降は、全期間固定金利型が約3,000円有利になります。そして、総返済額では、全期間固定金利型の方が約26万円有利になる計算です。したがって、このシミュレーションに限った場合、3年以内に、合計1%以上金利が上昇すると全期間固定金利型が有利、上昇幅が1%未満に留まってそれ以降上昇しなければ変動金利型が有利、ということがいえそうです。

ただし、これはあくまでも単純な仮定に基づいたひとつの目安です。次に日銀が政策金利を引き上げるときは、過去の事例からも0.25%ずつといった小刻みに動く可能性が高く、また、日銀が金融政策の目標通りに、2016年前半に2%のインフレ率を達成できるかどうかも不明です。それに、25年という長期にわたる返済期間では、金利は上昇と下降を繰り返す方が自然でしょう。変動金利型と全期間固定金利型のどちらが得だったのか、ということは、結局、返済が終わってみなければわかりません。

とはいうものの、政府・日銀の2%というインフレ目標が定着すれば、現在0.1%の政策金利は、過去のケースから考えても、1%程度は上昇すると考える方が無難です。

民間金融機関の住宅ローン金利推移
image04
出典:住宅金融支援機構「民間金融機関の住宅ローン金利推移」より一部引用

そうなれば、変動金利型の金利は日銀の政策金利にほぼ連動するため、1%程度上昇することになります。上記グラフの通り、過去の金利推移を見ると、1%以上変動することはめずらしいことではありません。もし、2%、3%と上昇することになれば、ローン返済の負担がどんどん重くなり、ライフプランが破たんしてしまう可能性もあります。金利の変動を予想するのは、金融機関のプロでも難しいこと。金利がほぼ過去最低水準のいま、将来の金利上昇リスクを回避するために、全期間固定金利型ローンに借り換えることは、賢明な選択のひとつといえるでしょう。

フラット35への借り換えは今がチャンス!

詳しくはこちらへ

文/松岡賢治
金融ライター、ファイナンシャル・プランナー。シンクタンク、証券会社のリサーチ部門(債券)を経て、96年に独立。
企画/制作 まぐまぐ

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらTwitterでMONEY VOICEをフォロー