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日本触媒、上期業績は増収増益 機能性化学品・持分法投資利益の上振れが要因

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2018年11月9日に行われた、株式会社日本触媒2019年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお届けします。IR資料

2019年3月期第2四半期決算説明会

五嶋祐治朗氏:本題に入る前に足元業績の概要をお伝えいたします。2018年度上期は、原料高騰のなか、営業利益131億円と、5月発表値120億円を上回りました。

下期はさらなる原料高が続きますが、2018年度通期は、2017年度比で経常利益、純利益の増益を狙っていきます。

主要製品のうち、アクリル酸、アクリル酸エステルは、当面タイト感が続くため、インドネシアにてアクリル酸年産10万トンの設備増設を先日決定いたしました。

SAPはこの夏稼働を始めましたベルギーでの年産10万トン設備の償却負担が増えますが、コスト削減である「SAPサバイバルプロジェクト」の進捗や数量効果により、収益は足元から今後にかけ、改善していきます。

SAP以外の基礎化学品、機能性化学品も堅調であり、需要増に対応する増設を進める製品を増強していっております。SAP一本足からの脱却を着実に進めていると言えます。

新規製品につきましても、具体的な筋道が見えてきておりまして、楽しみなところであります。

1.概要

資料に沿い、本日はこのような内容で説明を進めてまいります。まず、2017年度から取り組んでおります後半中期計画「新生日本触媒2020 NEXT」の概要については、すでに何回かお話ししておりますので、資料のとおりとさせていただきます。

2. 重要課題に対する施策①

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こちらは経営計画の数値目標であります。重要課題に対する2つの施策のうち、SAP事業の競争力強化の進捗について、原料のアクリル酸とSAP、それぞれの需要動向や、当社のアクションから説明いたします。

アクリル酸につきましては、世界需要約630万トン、年率5パーセントほどの成長を想定しており、順調に需要が伸びていく見込みであります。

とくに近年、アジア圏においてアクリル酸の需給バランスは非常にタイトであり、当社としてしっかりこの状況に対処すべく、インドネシアにて約10万トン/年設備増設を先日決定いたしました。この設備は、2021年に商業運転開始(予定)です。

SAPにつきましては、世界需要約290万トン、年率5~7パーセントの成長を想定しており、こちらも堅調に需要が伸びていく見込みであります。

供給側の増設計画に関しては、このように限定的でありまして、2020年に向けて需給バランスは引き締まる方向と見ております。

このように、SAP事業の競争力強化を進めるにあたり、アクリル酸、SAP市場とも引き続き高い成長を示すものと見ております。

2. 重要課題に対する施策②

日本触媒、上期業績は増収増益 機能性化学品・持分法投資利益の上振れが要因

一方、当社グループにおきましては、アクリル酸、SAP垂直統合の強みを活かし、また、有力顧客との関係を強化することで、安定的に成長するSAP市場において、売上・利益を確保していきます。

昨年度より本格的に取り組んでいるコスト削減策「SAPサバイバルプロジェクト」は順調に進捗しており、これをより一層進め、利益をしっかり増やしていきたいと考えております。

アクリル酸事業では、先ほど触れましたように、インドネシアでの10万トン設備の投資を決定いたしました。また、この夏商業運転を開始したベルギーのアクリル酸10万トン設備は順調に稼働し、稼働率も上がってきています。これらをあわせ、当社グループとしてアクリル酸年産100万トン体制に進むことになります。

以上、SAP事業の競争力強化につきましては、順調に施策が進行するなか、次期SAPプラントについてもあわせて検討を進め、アクリル酸、SAP、事業トータルで競争力強化を推し進めてまいります。

2. 重要課題に対する施策③

日本触媒、上期業績は増収増益 機能性化学品・持分法投資利益の上振れが要因

次に、新規事業・新規製品の創出加速については、それぞれ資料に示した方針で進めております。

まず医薬品領域では、創薬支援事業の確立を目指し、ベンチャー3社と資本提携するなど、ペプチド医薬、核酸医薬への参入を進めております。

2. 重要課題に対する施策④

日本触媒、上期業績は増収増益 機能性化学品・持分法投資利益の上振れが要因

設備に関しては、国内有数の規模を誇る中分子原薬合成施設を吹田に建設中です。これらにより、すでに設置済みの医薬合成研究所とあわせ、当社としてミリグラムからキログラムスケールの医薬原体、治験薬の受託合成体制が整うことになります。

次に化粧品領域では、化粧品素材事業の確立を目指し、昨年7月に化粧品事業準備室を立ち上げたのち、早期の事業化へ向け、本格的に活動を開始しました。

その一環として、先日ニュースリリースしたとおり、フランスの天然素材大手GREENTECH社と協業すべく、準備を進めております。そのほか、株式会社ナノ・キューブ・ジャパンとも事業提携を進めています。

いずれも両社の持つ材料と技術とのシナジーにより、従来にはない化粧品素材を開発し、早期の市場参入を目指してまいります。

2. 重要課題に対する施策⑤

日本触媒、上期業績は増収増益 機能性化学品・持分法投資利益の上振れが要因

次に、モビリティ領域では、各種塗料や粘接着剤の環境対応力強化が期待できるメチレンマロネート類の事業化を目指しています。技術確立もほぼ終わり、サンプル評価においてもお客さまから高い評価を得ています。

設備について、パイロット設備の建設を米国にて検討中であります。そのほか、AOMAや高次シラン材料についても、それぞれの特徴を活かし、早期の事業化を期待を持って進めております。

なお、領域ごとに注目製品をご紹介いたしましたが、これらはあくまで現時点でのターゲット領域であり、今後当社としてマーケットイン思考を進めるなかで、他の領域への展開も十分あり得ると考えております。

2. 重要課題に対する施策⑥

日本触媒、上期業績は増収増益 機能性化学品・持分法投資利益の上振れが要因

新規製品の創出加速については、これら注目される既存製品について、その進捗を説明いたします。

リチウムFSI「イオネル®」は、車載用リチウムイオンバッテリーの高温保存安定性およびサイクル寿命と低温入出力特性を両立させることができ、広い温度範囲で性能向上と耐久性に貢献いたします。

需要拡大に向け、本年4月、約300トン規模の設備にて、本格的に市場投入を開始いたしました。性能面でも、大手電池メーカー含め、お客さまから非常に高い評価を得ております。

さらにコストダウンを継続しながら、2021年頃には、能力を倍以上増強する必要があると考えております。

光学材料用アクリル樹脂「アクリビュア®」、ジルコニアナノ粒子分散液「ジルコスター®」、これらもニッチ製品の特長を活かし、販売は堅調に推移しております。

界面活性剤「ソフタノール®」は、その高い浸透力、低粘度による扱いやすさ、そして良好な生分解性を特徴として、洗剤の液体化に伴い大きく需要が伸びております。

昨年秋、川崎のプラントを3割以上能力を伸ばし、4万トン/年に増強しましたが、さらなる旺盛な需要に応え、BCP対応強化を目指し、タイでの新設を検討中です。

これらの増強により、「ソフタノール®」は年間売上100億円を超える製品に成長すると見込んでおります。

そのほか、本年1月にプレスリリースしましたが、当社の特徴ある機能性化学品である「VEEA」「エポクロス®」「エポミン®」についても、旺盛な需要に応えるべく、順次設備増強を進めており、早期の利益貢献を期待しております。

3. 持続的成長に向けて

日本触媒、上期業績は増収増益 機能性化学品・持分法投資利益の上振れが要因

後半中(期)計(画)の進捗として、最後に持続的成長に向けて取り組んでいる内容を説明いたします。

人と組織の活性化においては、仕事革新委員会の活動を進めており、働き方改革の施策等を進めております。

また、社会からのより一層の信頼獲得、グループ経営の強化については、サステナビリティ経営を目指すべく、推進委員会を立ち上げて活動を進めており、また、弊社グループの企業理念「TechnoAmenity」のもと、ESG対応の強化も進めております。

4. 2018年度 上期業績

日本触媒、上期業績は増収増益 機能性化学品・持分法投資利益の上振れが要因

最後に、業績動向について説明いたします。2018年度上期業績は、売上高1,774億円、営業利益131億円となったほか、経常利益・当期純利益とも5月8日発表値と比べ増収増益を確保しました。機能性化学品の収益や、持分法投資利益の上振れがその要因であります。

5. 2018年度 通期見通し

日本触媒、上期業績は増収増益 機能性化学品・持分法投資利益の上振れが要因

2018年度通期業績見通しは、経常利益・当期純利益の増益を確保する見通しを立てており、2020年の目標達成に向け、着実に利益を確保していく予定であります。

6. 利益還元策

日本触媒、上期業績は増収増益 機能性化学品・持分法投資利益の上振れが要因

最後に、利益還元策についてです。従来の方針と変わらず、中長期的水準の向上を目指した配当を行ってまいります。

今期は1株当たり中間配当80円、期末配当80円の合計160円と、昨年度に引き続き、過去最高配当額を継続する予定であります。配当性向は26.0パーセントを予定しております。

以上で私からの説明を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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