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安江工務店、主軸の住宅リフォーム事業が堅調 子会社の業績も寄与し、通期は増収増益に

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2019年2月20日に日本証券アナリスト協会主催で行われた、株式会社安江工務店2018年12月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料 質疑応答パートはこちら

1-1.事業概要【会社概要】

山本賢治氏:本日はご多用のなか、ご出席くださいまして、誠にありがとうございます。ただいま司会の方からご紹介いただきました、安江工務店の山本と申します。本年1月1日に社長に就いております。初めての決算説明会でございますので、不十分なところが多々あるかと思いますが、進めさせていただきたいと存じます。

本日は、去る2月12日に発表いたしました、2018年12月期の連結会計年度の決算についてと、そのほかをご説明申し上げます。

はじめに事業概要です。毎回申し上げておりますので、ご高承かと思いますけれども、あらためまして、初めてご出席くださっている方もいらっしゃるかと存じます(ので、ご説明いたします)。

弊社の会社概要から簡単に触れてまいりたいと存じます。会社名は株式会社安江工務店。代表取締役社長は私、山本賢治でございます。設立は1975年6月で、創業は1970年でございます。

2017年2月に、東京証券取引所・JASDAQスタンダード市場および名古屋証券取引所市場・第二部に上場させていただいております。資本金は、昨年末で2億4,477万円ほどとなっております。従業員数は168名、グループ合計で臨時従業員を含んでおります。

所在地は名古屋市中区栄に本社を置いております。こちらには本社機能を置いておりまして、登記上の本店は名古屋市天白区島田にございます。店舗は、今ほど申し上げましたとおり、登記上の本店の天白店、千種店、中村店ほか、全12店舗という展開となっております。営業店で12店舗ということで、本社は含んでおりません。

事業内容は、住宅リフォーム事業、新築住宅事業および不動産流通事業ということで、事業の主軸は、のちにまた詳細に触れますけれども、住宅リフォーム事業です。現在、住宅の総合リフォームを主軸として営業を行っている上場会社は、当社のみと認識しております。

関係会社は、神戸にございます株式会社N-Basicで、2017年9月にグループ化いたしました。事業内容はリフォームでございます。もう1つ、2018年5月にグループ化いたしました熊本市の株式会社トーヤハウスは、新築、リフォーム、その他不動産と、安江工務店と同じ事業構成となっております。

1-2.経営理念

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次に、4ページの「1-2.経営理念」でございます。経営理念といたしましては、グループ全体で「全従業員の物心両面の幸福を追求するとともに、社会の公器として地域に貢献すること」と掲げております。

目指すべきゴール、私たちのミッションといたしましては、「すべてのお客様に安らぐ『住まい』を提供し、一生涯のおつきあいをする」となっています。

この中には2つポイントがあります。1つは、二重鍵かっこで囲ってあります「住まい」というところです。この「住まい」は、私どもの理解としましては、ハードとしての家・ハウス、そしてソフトとしての家庭・ホームが重なっているもので、それが「住まい」です。片方が欠ければ「住まい」とは言えないということを共通認識としております。

もう1つは「一生涯のおつきあいをする」です。これはのちほど触れますが、リピートのお客さまに支えられて事業を展開させていただいているというところにも結び付きます。

1-3.事業概要 【事業内容】

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続いて5ページ、事業内容です。こちらはざっくりと申し上げます。先ほど申し上げました住宅リフォーム事業は、総合リフォームです。総合リフォーム事業は、リペアのような簡単なメンテナンスから、二世帯住宅化(も含み)、マンションでいえばリノベーションなども含む大規模な増改築まで、総合的に対応できるというところです。

そのほか、新築住宅事業のセグメントでは、注文住宅を取り扱っております。一方で、これもまたのちほど触れますが、不動産流通事業は、現在のところ事業構成比は8パーセントと、割合は低いですけれども、こちらでは今期から建売を展開していく計画でおります。

セグメント別の構成比率の円グラフにつきましては、「グループ全体でのセグメント」での表現でございます。

1-4.事業概要 【安江工務店グループ会社】

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グループ3社の概要でございます。安江工務店は、先ほど申し上げましたように、名古屋を中心に愛知県を商圏としております。そのほか、N-Basicは神戸市を中心に展開しておりまして、トーヤハウスにつきましては、熊本市を中心に事業を展開しております。

2-1.2018年12月期 連結決算 【サマリー】

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(説明会の)メインのところですけれども、今期の決算の内容についてご説明を申し上げます。お手元の資料のとおり、前期比で申し上げます。

売上高は47億8,100万円で、前期比26.6パーセント増加、営業利益と経常利益は2億2,000万円で、営業利益につきましては前期比123.7パーセント増と、2.2倍になっております。経常利益につきましては(前期比)167.7パーセント増で、2.6倍となっております。

結果、当期純利益は1億4,000万円で、前期比165パーセントアップということです。既存店が堅調に推移し、新店の稼働や子会社の寄与によって、売上高は過去最高を達成いたしました。

配当につきましては、従来予想として開示しておりました1株当たり43円を、1円増配いたしまして44円とする見込みでございます。

(スライドの)下の表のところは、今ほど申し上げましたとおりですけれども、直近の業績予想と比較しまして、売上高で9.6パーセント上振れ、純利益で17.4パーセント上振れて着地しました。

2-2.2018年12月期 連結決算 【セグメント別】

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次に、3つの事業セグメントでご覧いただきます。売上高は、住宅リフォーム事業で前期比15.8パーセント増、新築住宅事業で83.1パーセント増、不動産流通事業で22.9パーセント増となり、全事業において、前期に比べて増収増益となりました。

とくに、主軸としております住宅(リフォーム)事業におきましては、問い合わせ数が16.8パーセント増加しました。この内訳で、とくに顕著なのがインターネット経由での集客で、(その部分が)大きく伸びております。また、2018年5月に子会社化いたしました熊本のトーヤハウスの業績寄与も1つの要因でございます。詳細は、グラフをご確認いただきたいと存じます。

2-3.2018年12月期 連結決算 【四半期ごとの推移】

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10ページが、四半期ごとの推移でございます。(スライドを)ご覧のとおり、第4四半期に売上高が大きく傾斜し、その結果、利益もそのほとんどが第4四半期で出ている状況でございます。

ここの理由ですが、弊社は、問い合わせをいただいてのパッシブ型の営業をしています。お客さまのニーズ、日本人の文化や特徴といえるかと思いますけれども、12月期の決算でございますので、第4四半期に家をきれいにして、きれいになったおうちでお正月を迎えたいといった志向が強く、(その傾向は)今年に限ったことではございません。

2-4.2018年12月期 連結決算 【貸借対照表】

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続きまして、11ページは、連結決算の貸借対照表の概要でございます。かいつまんで申し上げますと、流動資産は19億9,600万円、前期比2億8,800万円の増加でございます。固定資産は11億200万円。こちらものれんが発生したところが大きく、1億5,300万円増加しております。資産の部といたしましては、合計で30億9,800万円となり、(前期比)4億4,200万円の増加となりました。

流動負債の合計は12億5,400万円で、こちらは(前期比で)3億円ほど増加しております。固定負債は、子会社取得を借入で行ったため、長期借入金が増加いたしました。その結果、固定負債は4億3,600万円という結果になりました。純資産の合計は14億700万円で、7,600万円増加いたしました。以上が概要となります。

2-5.2018年12月期 連結決算 【キャッシュフロー】

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キャッシュフローの状況は、ご覧のとおりでございますので、ご確認いただけると幸いでございます。

3-1.2019年12月期 連結業績予想 【サマリー】

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続きまして、現在走っている期である2019年12月期の連結業績予想でございます。14ページをご確認いただきたいと存じます。

概要といたしまして、売上高は49億5,400万円、前期比で3.6パーセント増加を予想しています。こちらの要因といたしましては、昨年期の途中の第3四半期から連結いたしましたトーヤハウスの通年での寄与、それから既存エリアでのシェア率を向上させる施策を従来どおり推進していくということであります。

その結果、営業利益は2億4,000万円で、前期比8.9パーセントの増加を予想しています。これにつきましては、原価の低減と業務効率の向上によって、経費を削減して達成するという予想でございます。この結果、経常利益につきましては、前期比8.4パーセント増の2億3,800万円で、当期純利益は(前期比)6.9パーセント増の1億4,900万円を予想しています。

3-2.2019年12月期連結業績予想 【設立からの業績推移】

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15ページには、会社を設立してからの業績の推移を記載しております。棒グラフは、左軸の売上高、オレンジ色の折れ線グラフは右軸の経常利益を表現しています。ご覧のとおり、2018年12月期に続きまして、2019年12月期も連続して、過去最高の売上高の更新を目指しています。

3-3.2019年12月期 連結業績予想 【セグメント別】

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16ページは、セグメント別の連結業績予想でございます。冒頭より申し上げていますとおり、(弊社は)リフォームを中心としています。この結果、(スライドの)左側の売上高は、従来どおりリフォーム事業で約70~75パーセントの売上構成比となる見込みでございます。(スライドの)右側の積み上げ棒グラフは営業利益を表していますが、こちらもリフォーム事業で、だいたい80パーセントから85パーセントの構成比で推移しています。

4-1.住宅リフォーム市場規模 【市場全体】

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住宅リフォーム市場の状況をまとめさせていただきました。釈迦に説法で、ご高承のことと存じますが、しばしお付き合いいただきたいと存じます。

住宅リフォーム市場についてですが、新築住宅着工戸数は年々減少しています。しかしながら、各種行政・民間の予想では、リフォームの市場規模は2020年までは現在とほぼ同じ水準で推移するとされています。新築から中古へと志向がシフトしていく中で、その市場環境が整備されていき、「中古住宅+リフォーム」というスタイルが今後増加していくと考えられます。

とくに、安江工務店のございます愛知県は、自動車産業が非常に好調な地域でございますが、住宅リフォーム市場の環境は良好であると判断しています。(スライドの)右下にございますけれども、東京・神奈川は人口が多いということで、1位・2位の市場規模となります。人口でいきますと、次(の3位)に大阪が来るはずなのですが、市場規模としては愛知県が3番目と予想されています。

4-2.住宅リフォーム市場規模 【シェア率】

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こうした状況を踏まえまして、この住宅リフォーム市場におけるシェア率という観点で、もう少し踏み込みます。全国でのシェア率の1位は、大手ハウスメーカー。一部上場の会社ですけれども、シェア率は2.1パーセントと見られます。2位もやはりハウスメーカーさんですけれども、リフォーム市場の占有率は1.9パーセントです。

ここで申し上げたいのは、2.1パーセントの市場占有率を取りますと、トップになれる。(つまり)大小さまざまな事業者が存在している業界であるということです。これを愛知県にブレイクダウンしていきますと、愛知県の市場規模は4,400億円という見込みでございます。

(スライドの)下段の中ほどの表に、市区町村とシェア率がございます。この市区町村は、私どもの出店エリアでの当社のシェアを記載しており、2パーセント以上のところを抜き出してあります。ちなみに、2パーセント以下のシェア率のところは新店でございます。

ここで申し上げたいのは、2パーセントの市場占有率を取っていくことを目指してまいりますということです。そうしますと、市場規模が4,400億円ですので、愛知県内だけ、つまり安江工務店のリフォーム事業だけで88億円の売上を立てることができるマーケットが存在しているということです。そして、近い将来、この88億円に向かってそれを達成していく計画を持っているということでございます。

4-3.住宅リフォーム市場規模 【市場の分化】

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次に、住宅リフォームの市場ということで、こちらも釈迦に説法かと存じます。大きく分けて3つのカテゴリーがございまして、全体で6.8兆円といわれています。3つのカテゴリーというのは、建設会社あるいは住宅メーカー系のリフォームの事業、私どものようなリフォームの専業店、そして、数年前から台頭してきましたホームセンターや家電量販店さんによる、古くなった住宅設備機器をリフレッシュする、置き換えるというリフレッシュ工事のカテゴリーであります。

この(スライドの)真ん中に位置する私どもは、表の中で上に記載の建設会社・ハウスメーカー系の分野と、表の中で下に記載のホームセンター・家電量販店さん等の分野に、どのように押し広げていくかというところについてです。

上に対しては、スピード対応を行うことと、細かいところに気がつく顧客対応力です。49年の歴史でノウハウを構築してまいりましたので、これをもって対抗していきます。下に対しては、リフレッシュ工事に関しまして、単品と単品を取り替えるリフレッシュ工事から、総合的に新しく心地よい住まいを提供していくという複合工事の提案、そして上場企業であることの安心感を訴求していきます。これが当社の強みと認識して、今後はこのように展開してまいります。

4-4.住宅リフォーム市場規模 【市場の分化】

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少し余談になりますけれども、専門機関が一般のユーザー・消費者のみなさんに、「リフォームをどういったところに頼みますか?」という調査を行い、その結果を記載させていただいています。

赤く囲ってあるところが、「別の工務店や別の住宅メーカー」ということです。実際にお客さまご自身のお住まいを建てられたハウスメーカーや工務店ではなく、リフォームを専門とする工務店を選ぶ方が多いということで、私どものような専門業者を選んでいただく傾向が強いことが見てとれるかと存じます。

(スライドの)下の横棒グラフですけれども、リフォームの施工会社を探す方法ということで、「以前から付き合いがあった業者」ということで、つまりリピートです。初めての業者だけで、安いところを狙って渡り歩いていくという消費傾向は見受けられず、安心できる業者にリピートで頼んでいます。あるいは、その安心感を共有できる知人からのご紹介ということで選んでいただくことで、まさに情報を獲得するルートとしまして、私どもが注力しているところがこちらでございます。

5-1.今後の戦略 【事業エリアの深耕・拡大】 ※愛知県内

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今後の戦略といたしまして、24ページが、事業エリアの深耕と拡大です。愛知県内とありますが、こちらは安江工務店で展開していく策でございます。

深耕策といたしましては、従前どおりドミナント戦略を強化してまいります。これは、1店舗あたりの営業エリアをより狭めるものです。当社にとっては、営業効率が高まりますし、お客さまにとっては、より近いところから出向いていきますので、時間が早く、スピーディに対応してもらえるという安心感(があります)。まさに、地域にとって、住まいのかかりつけ医と認めていただけるような展開で、超ドミナント戦略で地域一番化を進めてまいります。

引き続き、新商圏への拡大という策でございます。こちらもよくご理解いただいているかと思いますが、私どもは店舗を開設いたしました。しかし、人員をそこに配置するだけでは商売は成り立ちません。なぜなら、サプライチェーンを構築しなければなりません。具体的には、大工さん、塗装屋さん、左官屋さん、基礎屋さんといった職人さんのネットワークを、その地域で構築しなければなりません。

したがいまして、飛び地で展開するのは簡単ではないという状況下にあります。そこで、現在まで商圏を地続きで拡大してまいりましたが、今後につきましても、安江工務店につきましては、地続きで商圏を拡大してまいります。

こちら(のスライドに)地図がございます。都市圏から見ますと、愛知県は、三河と尾張で、尾張はすでに完全に商圏として取り込んでいます。三河地域は、6年前に豊田店を開設いたしまして、一昨年に岡崎店を開設いたしました。

2019年から2020年に、人材(の採用)が予定どおり進みましたら、豊橋エリアに出店する計画でございます。これにより、愛知県内の10万世帯以上……人口にしますとおおむね25万人ぐらいになります。この6都市すべてに出店できれば、その結果、愛知県内における当社の商圏の人口カバー率は約95パーセントに到達いたします。

5-2.今後の戦略 【住宅リフォーム事業 地域一番店戦略】

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続いてが、「地域一番店戦略」ということで、詳細は本日、折に触れてご説明申し上げています。(スライドの)右側にございますラッピングバスが非常に好評でございます。分析しますと、やはり公共交通機関に全面広告を展開するところで、安心感・信頼度を増しているのかなと思います。社会的信用度が高まっていくと見て取れまして、地域・社会に貢献できる企業として一番店を目指していきます。

5-3.今後の戦略 【M&A、アライアンス戦略】 ※愛知県外

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次に、愛知県外になります。愛知県以外につきましては、先ほど申し上げました事情で、当社といたしましてはM&A、あるいはその他のアライアンス戦略を取ってまいります。1年に1社ずつ、グループの会社を増やすことができていますので、今後についても、同様のペースで進められればいいなと考えています。

当社の課題といたしましては、人材の確保・育成に時間を要するところです。これはどうしても建設業という特性として、労働集約性が高く、一人ひとりが持っているノウハウ、知識、スキルといったものに依存する度合いが非常に強いです。共有化に取り組んで、現有社員の教育にも力を入れていますけれども、まだまだでございます。

また、先ほど申し上げましたサプライチェーンの確保の必要(性も課題であります)。それから、出店スピードを維持・向上していくというところもです。一方で、M&Aを検討するにあたっての相手先、あるいは提携を検討するにあたっての相手先の課題といたしましては、これもご多分に漏れず、高齢化・後継者という現象が、各地域にございます。また、IT投資に手が回らない、購買力で不利な立場に置かれているという課題を抱えております。

これを解決するということで、(双方が)手を結ぶことによりまして、事業エリアの深耕・拡大を一気に図ることができ、各社で持っているノウハウを共有できます。また、人材も確保でき、サプライチェーンもあらためて構築する必要もないということです。当社にとっては出店費用を削減でき、グループ全体にとっては規模の経済を働かせて、購買力を強化することができるというメリットを享受してまいります。

そんな中で、当社グループといたしましては、西日本にベルト状の商圏を展開していきたいと考えています。

また、先ほど申し上げるのを忘れましたけれども、店舗の展開では、商圏的には豊橋地域への出店をもって、愛知県ほぼ全体をカバーすることになりますけれども、その後も深耕策として店舗と店舗の間に新しい店舗を出店して、これまでおおむね30分かかっていた客先への移動時間を、15分、10分と縮めていき、2パーセントのシェアと申しましたが、これを3パーセント、4パーセント、さらには5パーセントと高めていく。そういった施策を継続してまいります。

5-4.今後の戦略 【オリジナル商材での差別化】

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次が、26ページです。オリジナル商材につきましては、従来から当社では、自社開発のオリジナル商材「無添加厚塗りしっくい」や、当社で海外から直輸入しています「コーラルストーン」というサンゴ石があります。これは、サンゴが化石化した石で、最近は外壁のみならず、室内にも多用されるようになってまいりました。

それに加えまして、この2月に開設いたしましたものを「工房」と呼んでいます。「オンリーワンの住まいづくりを、お客さまと一緒に成していく」というコンセプトのもとで、ご希望によってDIYも取り入れながら、オリジナルのアイテムを制作しています。(スライド中央の)写真が、表札です。(その右)隣の写真が、ニッチにマガジンスタンドを取り付けてあるものです。(そして、一番)右側の写真が、「工房」と呼んでいる場所でございます。

こういったように、お客さまに寄り添ったと言いますか、お客さまとともにお住まいを作り上げていく姿勢を、大切にしていきたいと考えています。

5-5.今後の戦略 【特化したデザイン・専門化】

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商品といたしましては、(スライドの)左上がリノベーションの商品「beaux‐arts:ボザール」というもので、アメリカの西海岸のデザインに特化したブランドでございます。(スライドの)左下の「外装を専門に取り扱う部門」は、専門化ということでございます。

総合リフォームでよく言われるのが、「総合的で、何でもできるということは、何もできないということじゃないか」と揶揄されます。しかし、「何でもできます」「何でも強いです」というところをPRしていくこともあって、外装を専門に取り扱う部署を2年あまり前に立ち上げました。

当初計画しました、受注率を向上させるというところで、案件は発生するのですが、どうしても受注するための力が弱いという課題を抱えていました。こちらにつきましては、受注率、契約率が計画を上回って飛躍的に向上したという結果がすでに出ています。こちらについても、さらに拡大・推進してまいります。

(スライドの)右側は、業界団体等をはじめとするリフォームコンテストです。10年連続で受賞しており、優秀賞・最優秀賞に入っています。こういったリフォームのデザイン力・提案力をさらに磨いていくためにデザインチームを組成いたしまして、さらにその力を向上させてまいります。

5-6.今後の戦略 【新築住宅事業 ブランド力、拠点を活用】

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新築住宅事業につきましては、こちら(のスライド)に愛知県の地図がございますけれども、各事業所の他に宿泊型のモデルハウスを、一宮市と名古屋市の緑区の2ヶ所に設置しております。当社の住まいに宿泊していただくことで、実際に(住心地を)肌で感じていただくことができる。しっくいを標準仕様としていることで、「臭いが吸収されますよ」といったところをアピールします。

豚キムチや焼肉といった臭いの発生するご夕食をお作りいただき、朝起きられたときに「(臭いが吸収されるのは)本当だね」と(感じていただきます)。どちらのモデルハウスも道路に面していまして、夜間でも自動車の行き来があるのですが、「それらの音も気にならなかった」と実感していただけるようになっています。さらに2020年には、岡崎市にモデルハウスをオープンする予定です。

5-7.今後の戦略 【新築住宅事業 注文住宅ラインナップ】

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続きまして、今後の戦略です。新築住宅事業ですが、冒頭に少し触れましたとおり、従来の2つの商品に加えまして、コンセプト商品として、この春に2つの商品を投入いたします。

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(資料の)表紙に大きく「r-cove*」と記載してあります。「これは何でしょうか?」というところに触れずにここまでまいりました。またあらためて、近いうちに発表させていただくことになりますけれども、「r-cove*」は、当社グループの共通したブランドとして、今後はこれを全面に押し出していく計画でございます。

その際に、同時に発表させていただくことができるかと存じますが、新築の新商品「LÄMPÖ」と「BEDFORD」についてです。注文住宅でございますが、完全な注文住宅で、新しいコンセプトのもと、ここに記載しておりますので、ご確認いただければ幸いでございます。この4商品をもって、さらに展開していきます。

5-8.今後の戦略 【不動産流通事業 中古住宅再生と建売事業】

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不動産事業についてですが、従来のように中古住宅を仕入れる、あるいは仲介する過程で発生する建築のニーズ……リフォーム、リノベーションといったニーズを喚起していきます。これは、提案して請け負う形態もございますし、買取案件であれば、リフォーム・リノベーションを施して再販するビジネスとなります。

さらに、オーナーチェンジ物件と言いまして、分譲マンションを賃貸に出されているケースです。これをオーナーさんから買い取りまして、いずれ賃借人が出ていかれた際に、リフォーム・リノベーションを施します。あるいは販売した後に請け負うかたちもあります。物件そのもののキャピタルゲインに加えて、リフォーム・リノベーションでの売上も取っていくというビジネスです。

こちらについては、3年前より取り組んでいますが、1つのユニットと目指している保有戸数に達してまいりましたので、その事業性をさらに高めていきたいと考えています。

新しい取り組みといたしましては、こちらも冒頭で少し触れましたけれども、唯一、新築住宅で増えていく傾向が見られる分譲住宅の分野に、不動産の事業部門で取り組んでいきます。今期に関しましては、すでに始動しており、販売も開始しています。これにより、初年度は6棟の販売を計画しています。

5-9.今後の戦略 【30代から40代前半の顧客をインターネットで獲得】

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31ページでございます。先ほども少し触れましたが、インターネットの集客が好調でございます。(スライドの)左下のグラフにあるとおり、2013年3月期から本格的に取り組み始めました。2018年12月期までの6年間で、引き合い、問い合わせの件数が4.8倍と増えています。こちらも新聞の折込を中心に集客してきたところがございます。ご高承のように、新聞の購読者はどんどん減っていますし、高年齢化しています。

そこで、若年層にそれを訴えていき、ニーズを喚起していくという観点から、インターネットでの集客にさらに注力してまいります。

6.配当政策

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最後に、配当政策でございます。こちらもすでにご案内申し上げましたとおり、2018年12月期につきましては、43円の予想を1円増配して、44円といたします。さらにと申し上げたいところですけれども、差し当たって、2019年12月期の予想は44円で、据え置きとさせていただきたいと存じます。今後につきましては、業績の見通しを勘案しました上で、安定的な配当を行うことを目指しています。

配当性向につきましては、中長期的に25パーセントから30パーセントをめどといたしまして、株主さまへの利益還元を図ってまいります。

7.OB顧客からの高いリピート率

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最後の35ページに、参考資料といたしまして、当社の特徴でありますOBのお客さま……過去にご契約をいただいた方からの繰り返しのご発注(について記載しています)。リフォームやリノベーションと耳にしますと、「1回ぽっきりの発注かな」と受け止められやすいのですが、実際にはそこでずっと、1つの住まいで暮らしていく上で、メンテナンスが必要でございます。

そういったところで、大なり小なり、おうちに関するさまざまなお悩みごとに対応させていただくということで、過去のお客さま、リピーターのオーダーを大切にしています。新規のお客さまばかりを追いかけていきますと、どうしても広告宣伝費が非常に重く、負担になってまいります。新規のお客さまとリピートのお客さま、あるいは紹介のお客さまの割合を半々で維持していく。そういう方針の下、今後も効率のいい集客を行ってまいります。

安江工務店の2018年12月期の連結会計年度の決算について、ご説明申し上げました。ありがとうございました。

質疑応答:消費税増税の影響について

安江工務店、主軸の住宅リフォーム事業が堅調 子会社の業績も寄与し、通期は増収増益に

質問者1:SMBC日興証券のアマノと申します。今年の秋に導入される消費税(増税)の影響についてお聞かせいただきたいと思います。資料の15ページ目に、過去の売上高と営業利益が載っていますが、前回の(増税の)時は、非常に厳しい利益になったというようなご実績が描かれています。今回の2パーセントアップによって、どれぐらいのマイナスの影響を想定されていますでしょうか。

また、先ほどご説明がありましたように、第4四半期に業績が集中するというところで、どのように収益がずれてくるのかと、その対策についてお聞かせいただければと思っています。

山本:前提といたしましては、最近になり、どうやら10月の消費税率改定が見送られるのではないかということが、まことしやかに報じられるようになってまいりました。もう1つは、2パーセントの税率アップということで、景気への影響は大きくないのではないかという予測もございます。

そこを前提といたしまして、結論を申しますと、2019年12月期の業績予想につきましては、消費税アップ(による影響)は織り込んでおりません。

理由は2つございます。1つは、増税直前の駆け込み需要と増税後の反動減です。これはスパンの切り方をもってすると、でこぼこはあっても結局同じになってしまう。確かに5パーセントから8パーセントに改定された時には、「でこ」の部分はそれほどでもなく、「ぼこ」の部分の穴を埋めきれないという結果でございました。

当社に限ったことではないと承知しておりますけれども、今回に関しては、おそらく予想のとおり、2パーセント分の改定ということで、駆け込み需要の山をもってして、反動減のへこみを埋めることができるだろうと思います。

もう1つとして、当社の事業はリフォームと新築がございます。リフォームはおおむね3ヶ月で、案件の発生から売上までが1回転いたします。つまり、1年間で4回転ぐらいしているということです。

一方で、新築はご高承のように、期首受注残がその期の売上になる。期首を迎えた段階で、当期の売上見込みはほぼ確実に見えているという状況でございます。

ここで申し上げたいのは、リフォームに関しては、その波は比較的タイムリーに表れてくる一方で、新築に関しましては、消費増税前の駆け込み需要の受注は、リフォームが反動減に陥っている時に(新築が)売り上がってくるという、補完する作用が前回もございました。

そもそも増税があるのかないのかというところの議論からになるかもしれませんけれども、結論といたしましては、今期の予想にはその影響は織り込んでおらず、飲み込めるという見込みでございます。

質問者1:ありがとうございました。

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