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リソー教育 Research Memo(10):託児と学童保育の「伸芽’Sクラブ」が成長エンジン

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■リソー教育<4714>の中長期成長戦略と進捗状況

5. 幼児教育事業の成長戦略と進捗状況
幼児教育事業には2003年に伸芽会を完全子会社化して参入した。伸芽会は創立・創業62年の老舗で、名門幼稚園・小学校へのいわゆる“お受験”の業界において、パイオニア企業であると同時にNo.1の合格実績を誇っている。

幼児教育事業における成長の取り組みは、既存事業であるお受験指導の「伸芽会」事業と、新規事業である「伸芽’Sクラブ」の2つだ。

(1) 伸芽会事業の進捗状況
伸芽会事業では関東エリア20教室、関西エリア3教室の合計23教室を展開している(2019年2月末現在)。お受験業界は、学力テストで合否が決まる中学や高校受験とはまったく様相を異にしている。知能や運動能力、行動観察など評価基準が多岐にわたっており、試験科目も学校ごとにバラバラとなっている。それゆえ、特定の幼稚園や小学校をターゲットにした小規模事業者や個人事業者が乱立している。また市場も東京都内が圧倒的に大きく、それ以外は神奈川・埼玉・千葉の3県と関西圏の一部に限定されている。そうした業界構造にあって23教室を抱える伸芽会は、実績のみならず事業規模の点でも業界No.1企業と言えるポジションにある。

お受験市場は少子化トレンドにもかかわらず、むしろ少子化ゆえに、今後も緩やかに拡大が続くと弊社では見ている。過去10年くらいの間に大学入試の多様化(推薦入試・AO入試の拡大など)が急激に進んだがそれは一般入試の競争激化を生みだした。また、2020年度からの大学入試制度改革は、その全貌が見えないこともあって、一般入試を避けるマインドが強まっている。こうした環境変化が大学系列の幼稚園・小学校へのお受験熱を高めている状況だ。一方、大学側でも学生の確保に向けた囲い込み戦略の一環で、系列幼稚園・小学校の強化を図っており、双方の思惑が一致した状況にある。これがお受験指導の拡大を予想する理由だ。

こうした市場環境にあっても同社は伸芽会教室の拡大には慎重だ。首都圏で20校を展開する同社は、地理的に進出可能な地域を埋め尽くした状況にあり、出店余地がないと判断しているためだ。増大する需要に対しては既存教室の増床などで対応していくと見られる。

M&Aによる成長は同社の選択肢にあると思われる。しかしながら、ことの性質上、個々の案件ごとに是々非々で判断していくことになるため、中長期の業績計画にはM&Aによる成長は織り込んでいないと見られる。

(2) 伸芽’Sクラブの進捗状況
伸芽会はヨコ展開(地理的展開)が難しいのは前述のとおりだ。そこで同社が取り組みを強化しているのがタテ展開(年齢層の拡大)であり、その具体的なプラットフォームが「伸芽’Sクラブ(しんがーずくらぶ)」だ。

伸芽’Sクラブは託児事業と学童保育事業の2つから成っている。

託児事業は1~3歳児を対象としており、お受験指導の伸芽会の1段前の年齢層を取り込む事業だ。その特長は、1)お受験対応型の長時間託児、2)共働き世帯へのお受験対応のソリューション提供(伝統的に、お受験は母親が専業主婦でないと合格は困難と言われてきた)の2つだ。現在首都圏で6校(2019年2月末現在)を展開しているが、開校と同時に満員・順番待ちという状況が続いている。

学童保育は保育所の小学生版とも言え、保育所ニーズと同様の背景から少子化が進行する現在にあっても成長が続いている。一般的な学童保育は児童福祉法を根拠とし、行政からの補助金が受けられるが、数少ない成長市場であることもあり、学習塾事業者など民間企業の参入も相次いでいる。同社はこの市場に“(中学受験を見据えた)進学指導付きの長時間学童保育”を特長・差別化要因として参入している。2019年2月末現在で首都圏に13教室を開設しており、託児事業同様、順調な成長が続いている。2020年2月期は4月に池袋東口校、5月に学芸大学校を開校しており、通期では5校の開校を計画している。

弊社では伸芽’Sクラブの教室数は中期的に現状の約3倍、すなわち60教室程度への拡大は十分可能だと考えている。伸芽’Sクラブが既存の伸芽会の対象年齢を前後に拡大する位置付けと考えれば、首都圏20校の伸芽会教室に託児・学童を併設する形での出店が1つの基本形になってくると考えられる。また、TOMAS(現状83校)への準備期間という位置付けからのアプローチでもやはり60教室という数値は十分理にかなうと考えている。実現するうえでのハードルは、市場性よりも不動産物件の確保にあると弊社では見ている。

(3) 幼児教育事業の収益性
幼児教育事業については重要なポイントは収益性ポテンシャルだと弊社では考えている。幼児教育事業はその高い利益率で中期成長戦略の中で重要な役割を果たすと期待される。このように考える理由は、幼児教育事業が伸芽会、伸芽’Sクラブともに、集団指導であるということにある。集団指導と個別指導とを比較した場合、同じフル稼働状態にあるならば本質的に集団指導の方が収益性は高い。講師1人当たりの生徒数(すなわち収入)を考えれば明白だろう。

ポイントは教室の高稼働率をどのように確保するかにあるが、お受験指導の伸芽会については明確で合格実績の実現・維持にあると言える。一方、伸芽’Sクラブも、突き詰めていけば伸芽会やTOMASにおける合格実績がカギとなると弊社では見ている。伸芽’Sクラブの特長・位置付けが伸芽会・TOMASの生徒の早期囲い込みであるためだ。

幼児教育事業セグメントの2019年2月期の営業利益率は16.7%に上った。これは一過性の現象ではなく、伸芽’Sクラブ事業が軌道に乗ってきたことの結果の表れと考えている。今期以降も伸芽’Sクラブの新規開設が続くため、一足飛びに利益率が20%超えとなることはないと見ているが、そのポテンシャルは十分にあるというのが弊社の評価だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)


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