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利下げラッシュの9月【フィスコ・コラム】

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9月は主要国や新興国の中銀定例会合が集中し、政策金利の引き下げや一段の緩和方針を打ち出す見通しです。米連邦準備理事会(FRB)は2会合連続の利下げが見込まれ、各国の金融政策もそれに追随しそうです。


来月に中銀の定例会合が予定される主な国・地域はオーストラリア(3日)、カナダ(4日)、スウェーデン(5日)、ロシア(6日)、ポーランド(11日)、トルコ、欧州(12日)、アメリカ(17-18日)、イギリス、日本(18-19日)、ノルウェー、南ア(19日)、メキシコ(26日)など。7月にはニュージーランド、タイ、インド、アメリカが利下げを決定し、米中貿易戦争の影響による経済減速懸念で世界的に緩和の流れに傾いています。


特に注目されるのが、FRBと欧州中銀(ECB)。FRBは7月末に続き2会合連続で政策金利を引き下げる公算で、連邦公開市場委員会(FOMC)でさらにハト派寄りの見解が示されるか注目されます。ECBは来年半ばまで政策金利据え置きの方針を改め、先月の理事会で引き下げ前倒しを示唆。ドイツの国内総生産(GDP)がマイナスとなるなど域内経済の低迷は鮮明で、量的緩和(QE)も含め追加緩和に舵を切るとみられます。


主要国のなかで英中銀やカナダ銀行(中銀)は金利据え置きが予想されるものの、イギリスはジョンソン政権の発足で「合意なき」欧州連合(EU)離脱への思惑が広がっており、中銀が政策対応を迫られています。また、主要国のなかでは唯一利下げに距離があるとみられていたカナダも、アメリカに続き長短金利差の逆転現象で景気の先行きにやや不安が広がり始めました。理事会では今後の政策スタンスを緩めざるを得ないでしょう。


一方、新興国の場合、米中摩擦が景気回復のマイナス要因となる反面、金融緩和による景気の下支えで相殺される可能性もあります。ECBとほぼ同じ時間帯に政策発表するトルコ中銀は、連続利下げに踏み切るか注目されます。エルドアン政権からの執拗な利下げ要請を跳ね返していた総裁は更迭され、新総裁の下での7月会合では大幅な利下げを決めました。ただ、政治圧力による政策決定なら、市場は混乱を余儀なくされそうです。


南ア準備銀は7月に5会合ぶりに政策金利の引き下げを決めたばかりですが、最大の貿易相手国である中国の成長鈍化を受け、南アの1-3月期GDPはマイナスに転落し、過去10年で最悪の水準に落ち込みました。また、経営難に陥った国営電力会社に対する政府支援をめぐり格下げ懸念が強まるなか、通貨ランドは下落。政府・与党からは政策対応を求められており、一段の緩和観測もあるようです。


各国が金融緩和を進めれば円に上昇圧力がかかりますが、日銀はどのようなスタンスを示すでしょうか。量的にも質的にも緩和は限界で、手段の乏しくなった日銀を見越してさらに円買いが強まると指摘されます。アメリカが貿易戦争の主役であるにもかかわらずドルが「安全通貨」として買われ、ドル・円は下支えされていますが、心理的節目の100円が徐々に視野に入り不穏なムードが広がりつつあります。
(吉池 威)


※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。


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