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「合意なき離脱」は不可避か【フィスコ・コラム】

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イギリスの欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)は政権が代わっても混迷から抜け出せず、先行きが懸念されています。ポンドは足元で「合意なき離脱」回避への期待感から持ち直していますが、政治情勢を先読みするとやはり最悪シナリオは不可避のようです。


ポンドの回復基調が鮮明になっています。対円では8月に一時126円と、3年前の124円に迫ったものの、最近は節目の130円を上回る水準で推移しています。対ドルでは9月はじめに2000年以降の最安値を更新しましたが、その後は持ち直しました。イギリス下院でのブレグジット延期法案の可決、ジョンソン政権による総選挙の早期実施提案の否決がその背景にあります。


ちょうど香港の「逃亡犯条例」撤廃や米中貿易協議の10月開催など懸念を弱める要因と重なったこともあり、ポンド・円がクロス円をけん引した格好です。その後もポンドは回復基調を維持しており、一段の上昇さえ見込まれています。ブレグジットが10月末から3カ月延期される公算となったほか、議会が10月中旬まで閉会され、離脱問題がいったん棚上げされていることもポンド買いを支援しています。


しかし、ブレグジットの行方はなお不透明で、ポンドの回復基調がさらに続くようには思えません。総選挙が絡んでいるためです。ジョンソン首相は9月に入って総選挙実施を議会に2度提案しましたが、「合意なき離脱」の阻止を優先した野党の反対や棄権によりいずれも大差で否決されました。とはいえ、強硬離脱が遠のいたことで野党内にも有権者の判断を仰ごうとの機運が生じる可能性があります。


その際には年内の総選挙実施が見込まれます。ジョンソン首相は10月末離脱に関する国会運営で失敗が続いていますが、直近の支持率調査をみるとメイ政権を大きく上回り、労働党との差も拡大しています。やはり労働党のコービン党首による左派的な政策は受け入れにくいとみられ、このまま選挙にもつれこめばジョンソン首相の態勢立て直しにつながるでしょう。


情勢調査による各党の支持率をみると、労働党と自民党が連立を組めば保守党を上回ります。ただ、保守党がブレグジット党と連携すれば与党は維持できます。もっとも、自民党は過去に保守党との連立政権を形成した経緯があり、今度は労働党との連携となると政党としてのスタンスが問われそうです。また、リベラルな自民党と左派主導の労働党とは政策的に相容れないと思われます。


今後の流れとしては、10月中下旬に議会再開でジョンソン首相が総選挙の実施を提案し、可決されれば年内にも行われる公算です。世論調査では食料や医薬品の不足、物価高騰や燃料供給の支障などに関する不安は根強いものの、強硬離脱への支持は決して少なくなくありません。現在の中途半端な状態に蹴りをつけようとするリーダーシップに支持が集まるシナリオの方が本命と言えそうです。


選挙後のジョンソン政権は、そうした民意を背景にブレグジットに突き進むと考えられます。労働党の党首交代など急展開がなければ、ポンドの回復はあと1カ月程度かもしれません。

※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。


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