年金だけで何とかしようとするのは無理な時代になってきている。とすれば、十分な金融資産を持たない人には「定年」という概念など意味がなくなってしまったと気づくべきだ。高齢者は老後を支える金融資産を持っていない限り、死ぬまで働かなければならないということなのだ。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』)
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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。
年金はもう増えない。支えるべき若年層が減り、さらに貧困化へ
ゆっくりと先進国からすべり落ちる日本
日本は少子高齢化を今もなお本気で解決しようとしない国である。
そのため、2020年には女性の半数が50歳超え、2024年には全国民の3人に1人が65歳以上となる。もはや解決不能の「高齢化社会」に突入していく。
高齢化社会の問題点は山ほどあるのだが、あまり指摘されない大きな問題点は、高齢者が増えれば増えるほど「イノベーションが生まれにくい国になる」ということだ。
高齢者は新しい技術や社会動向にまったく関心を持たないし、新しい技術が目の前にあっても使おうとしない。
日本の高齢者がいまだに紙の新聞や紙の書籍を読み、テレビを朝から晩まで見て、スマートフォンに抵抗を示し、キャッシュレスも拒絶する光景を見ていると、日本がなぜ世界の最先端から遅れる国になったのかが分かるはずだ。
日本はイノベーションが生まれず、イノベーションが育たず、現状維持に汲々とする国になったのだ。そうであれば、もう日本は「先進国」を維持するのは難しいというのも理解できるはずだ。
現に、日本はIT技術者が不足するようになり、もう次世代のパラダイムシフトを切り拓く人工知能の研究からも出遅れているし、斬新で魅力的なハードウェアを生み出す能力もとっくになくなってしまっている。
結局、日本は少子高齢化を放置して、ゆっくりと先進国からすべり落ちる。
リストラされた人々は不真面目だったのか?
日本企業が活力を失うと共に、日本では貧困がじわじわと広がっている。
若年層や女性に正社員の道がなくなっていき、中高年もリストラの対象になっている。そして、高齢者や母子家庭が生活保護受給に落ちている。
そのため、日本の底辺では住所すらも持てないであがく人たちも増えていこうとしている。
ここでよく考えて欲しい。こういった状況に陥ってしまった彼らは、真面目ではなかったのだろうか。日本では貧困に落ちていく層が激増しているのだが、彼らは遊びほうけ、好き勝手なことをして、適当に生きていたから困難に陥っているのだろうか?
昨今では東証一部上場企業から新興企業まで、ことあるごとに社員をリストラしている。では、これらのリストラされた人たちは、真面目ではなかったのだろうか。
そんなことはない。みんなまじめにやってきたのだ。
しかし、どんなに真面目であっても、日本の社会そのものが停滞し、凋落すればそれだけ不運に巻き込まれてしまう人が数百万、数千万人の単位で生まれて来る。
少子高齢化を放置した日本は、まさに不運の人を大量に生み出しているのである。