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トランプの「取扱説明書」より鮮明に、ソレイマニ司令官殺害から見る中東力学【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】

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大統領自身の気質を中心に見ると、トランプは多分タカ派に押し切られたか、そのオプションを「気に入ってしまった」と考えられる。行動決定のときには、「慎重案」「今までだと常識的な落としどころ」、そして「過激なオプション」を提示するのがスタンダードと思われるが、トランプの気分で過激なオプションを採ってしまった節がある。米国が「傷つけられた」と見たら、トランプは「自分自身が傷つけられた」と結び付け、「彼自身だったらやりたがることを国家規模でやる」として、派手な反撃をしたくてうずうずしていたのだろう。

トランプの行動様式は「感情的」「画面に映し出されたものによって印象が非常に左右される」「おだてに弱い」「派手な力を見せることが好き(タカ派の意見が魅力的に映ってしまう)」ことから、「安定的に不安定」であると考えられる。物事を「ただの取引き」と見ていることも考慮すると、非常に行き当たりばったりで、大統領自身の長期戦略が「あからさまに強力な偉大なるアメリカ」というビジョン以外にないことが、この殺害劇以前の行動で見られる。逆に、トランプを動かす方法(取扱説明書)がある意味わかりやすくなった。現実的な考えとしては、トランプに憤るのではなく、いかにして国益のため、トランプの印象と感情をコントロールするかに力を入れた方がよい。ここまでわかりやすい人間であることをむしろ喜ぶべきなのだろう。ただし、この「わかりやすい」ところが彼の人気であることを、一つの時代の警鐘、来るべき混乱の象徴として観るべきだとも考える。

筆者の印象だが、トランプは周りのサポートがないと本当の意味で自信を持って決断を下すことができない小心者の可能性があり、強く言われると逆に押し切られてしまうという部分がある(特に「取引」の場において)。しかし、トランプから一度敵に認定されたら面倒であるため、可能な限りマン・ツー・マンでトランプをまくしたてて、こちらに有利な言説をひたすら取っていくという戦略が基本的なやり方になると思う。

地経学アナリスト 宮城宏豪
幼少期からの主にイギリスを中心として海外滞在をした後、大学進学のため帰国。卒業論文はアフリカのローデシア(現ジンバブエ)における経済発展と軍事支出の関係とその周辺の要因についての分析。大学卒業後は国内大手信託銀行に入社。現在、実業之日本社に転職し、経営企画と編集(マンガを含む)も担当している。歴史趣味の延長で、日々国内外のオープンソース情報を読み解いている。

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