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NYの視点:2019年の米国経済成長、トランプ就任以降最低の伸び、政府目標も下回る

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米商務省が発表した10-12月期国内総生産(GDP)速報値は前期比年率+2.1%と、予想通り7-9月期と同水準の成長を維持した。消費が冴えなかったが、居住住宅投資や貿易が相殺。居住住宅は+5.8%と、第3四半期の+4.6%を上回る伸びを記録しGDPに21ベーシスポイントプラスに寄与。2年ぶりのプラス寄与となった。住宅ローン金利の低下が奏功した。輸出は1.5%ポイント寄与と、個人消費支出の1.2%ポイント寄与を上回った。貿易は赤字が大幅に縮小したため、成長に148ベーシスポイント寄与した。政府の支出や住宅投資が拡大する一方で、企業の設備投資は3四半期連続で鈍化。

10−12月期個人消費速報値は前期比+1.8%と、7-9月期+3.2%から鈍化し、予想+2.0%も下回り1−3月期以来の低い伸びにとどまった。可処分所得は+1.5%と、前四半期の+2.9%から鈍化。急激な消費の鈍化は賃金の伸びが鈍化したことや年末商戦の遅いスタートが影響した可能性が指摘されている。来週2月7日に米労働省が発表する1月雇用統計において、賃金動向に注目が集まる。

米国経済の7割を占める消費の低迷は景気の先行見通しを悪化させた。米連邦準備制度理事会(FRB)も28日‐29日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)の声明の中で、消費の判断を前回の「強いペースで拡大」から「緩やかなペースで拡大」へ下方修正。パウエルFRB議長も会見で、12月終わりの消費のペース鈍化に言及している。

10−12月期の消費の著しい鈍化は輸入の低迷に一致。純貿易の大きな寄与で、成長の強さが過剰に印象づけられた可能性には警戒感が強い。不安が残ると同時に、貯蓄率が7.8%から7.7%へ低下。最新の消費者信頼感指数の上昇から、消費の鈍化が一時的にとどまる可能性も指摘されている。今後は消費の鈍化が一時的にとどまるかどうか判断していく。

2019年の成長は2.3%と、2018年の2.9%、2017年の2.4%の伸びを下回り、トランプ大統領就任以降、最低の伸びにとどまった。2019年のPCEは2.6%2018年の3%ペースを下回った。トランプ政権は目標にしていた3%成長がまだ達成できずにいる。このことはトランプ大統領が、FRBに利下げ圧力をかける理由となっている。


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