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コラム【アナリスト夜話】:『新型肺炎で金融市場も悪化』は本当か(マネックス証券チーフ・アナリスト大槻奈那)

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中国では新型肺炎の影響で延長されていた春節休暇が終了し、今日から企業活動が再開します。しかし、企業の経営難などの影響が本格化するのはこれからとして、当局等の警戒感は高まっています。

先週、北京市は、大手銀行に対し、中小企業向け貸出を20%以上増やすよう求め、返済が困難な企業への既存貸出については、「新型肺炎の影響を十分に配慮するべき」と伝えました。銀行にとってみれば、苦しい企業への返済猶予は自分の首を絞めますので、一時的には大きな不安材料です。

しかし、重要なのは、むしろその後の資産価値の上昇ではないかと思っています。
SARS流行後の2003年後半、中国では、広範な金融緩和を行った結果、銀行の貸出残高が前年比21%増加し、固定資産投資もプラス27%と、高成長軌道に戻りました。そしてその後、不動産価格の急騰が始まりました。

今回も、中国人民銀行は特別貸付資金供給を本日から開始し、今月20日には政策金利を引き下げると見られています。中小金融機関にやや不安はあるものの、全国平均の不良債権比率はSARSの頃の10分の1以下で、圧倒的に健全になっています。このため、金融緩和の効果は、素直に市中貸出の増加として現れやすくなっているといえます。

だとすると、一時的な谷を経た後は、資産インフレが再燃する可能性が高いと考えられます。将来的な地理的リスク回避の意味から、海外資産の購入意欲も高まるかもしれません。

4年前、成長都市の代表格だった武漢市を視察した際、平日夜にも関わらず巨大ショッピングモールは祭りかと思われるような盛況ぶりでした。映像でみる現在の街の閑散ぶりには胸が痛みますが、早期の復活を祈ります。

マネックス証券 チーフ・アナリスト 大槻 奈那
(出所:2/10配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋)


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