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【中国の視点】新型肺炎:世界の製造業に打撃、経済損失はSARS上回る

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世界の製造業は中国・武漢市発の新型肺炎の感染拡大で大きな打撃を受けている。製造業が受ける経済損失は現時点では予測不能だが、2003年のSARS(中国南部の広東省を起源とした重症急性呼吸器症候群)を大幅に上回ると予想されている。

武漢市には半導体、自動車、医薬などの生産工場が集積しており、陸運や水運という交通の結節点でもある。米フォーチュン誌が発表した世界トップ500企業の中で230社は武漢に投資しているという統計は出ている。中でも世界の自動車大手は武漢やその周辺に大きな拠点を構えている。

新型肺炎の感染拡大を受け、武漢市の工業団地の生産や同市の経済活動が停止。自動車産業など世界の製造業に与える衝撃は現時点では予測できない状態だと専門家が言う。調査機関IHSマークイットは最新リポートで、新型肺炎の流行に伴う中国の生産停滞を受け、世界の自動車生産台数が通年で170万台が減少すると予測。1-3月期の生産台数は前年同期比で15%減少するとの見方を示した。また、新型肺炎の流行に伴う消費者の購買能力の低下を受け、向こう数カ月の自動車販売台数が一段と落ち込む恐れがあると警戒されている。

自動車産業のほか、電子部品・半導体産業も大きな打撃を受けると指摘されている。中国は世界最大の電子部品の生産国であり、中でも武漢市や江蘇省、広東省3地域は世界のスマートフォンの70%の生産を担っているという。今回の新型肺炎の流行はスマートフォンとその川下産業に大きな衝撃を与えると警告されている。

市場調査会社ストラテジー・アナリティクスは、新型肺炎の流行を受け、今年の世界と中国のスマートフォンの出荷台数が、それぞれ従来予想を2%、5%下回るとの見方を示し、1-3月期の中国の出荷台数は前年比で30%減少すると予測した。

エコノミストは、現在の中国の製造業がすでにハイテク製造分野に突入しており、2003年(SARSが発生した年)のTシャツやスポーツウエアなどローエンド製造業と比べ、新型肺炎が経済に与えるダメージが2003年を大幅に上回ると指摘。また、中国経済が消費主導の経済に移行しており、新型肺炎がもたらす景気の悪影響が現時点では試算できないと強調した。


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