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TKP Research Memo(4):市場創造型の事業展開により高い成長性を実現。2種類の収益モデルも強み(2)

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■事業概要等

4. 周辺事業
他の貸会議室ビジネスを行っている企業との差別化要因の1つに、周辺サービスの展開が挙げられる。ティーケーピー<3479>は、料飲、オプション、宿泊などの提供を通じて、顧客の幅広いニーズに応えている。料飲については、ケータリング、弁当、カフェ、レストランから成り、特にケータリングや弁当は貸会議室での懇親会など食事を伴う用途展開に欠かせない周辺サービスである。駅に近いシティホテルでは宿泊施設はあるが会議室や食事を提供するための大規模キッチンを設けるだけのスペースがないことが多い。同社がケータリングや弁当事業として抱えることで、駅にアクセスしやすい物件においても会議室のスペースさえあれば食事の提供や懇親会会場にも転用が可能なことは特筆すべきだろう。また、同社は、幅広いオプションも提供しており、それには、同時通訳システム、テレビ会議システムの提供、研修コーディネート、映像・音響・照明機材の設置・運用、オフィス家具や機材レンタルなどがあり、顧客の利便性を高める内容となっている。また、BPO事業(コールセンター等)や、メジャースの子会社化(2017年9月)によりイベントプロデュース事業(イベント運営の支援等)にも参入している。

さらには、顧客からの要望により宿泊も提供しており、研修旅行や社員旅行の際などに使用されている。直営施設として、リゾート型セミナーホテルである「レクトーレ」(10拠点)、ハイクラスなリゾート型セミナー旅館の「石のや」(伊豆長岡温泉旅館)、都市型リゾート宿泊施設の「アジュール竹芝」の3ブランドを展開する他、フランチャイズとしては、ホテルと会議室のハイブリッド施設として「アパホテル」(7拠点)、コンパクトホテルと会議室のハイブリッド施設の「ファーストキャビン」(2拠点)の2ブランドを展開しており、ホテル・宿泊研修事業は合計5ブランド21拠点を展開している。

昨今は大企業であっても、宿泊施設を自社で保有していることは少なく、また保有していてもコスト上、運営が難しいことが多い。同社はそのような企業ニーズを取り込み、リピート率の向上を狙う。また、高級旅館として有名な「石亭」は稼働率の低さから経営不振に陥っていたが、同社が「石のや」としてリブランドし、平日の法人需要を取り込むことで、経営を改善するなど資産の有効活用の観点からもメリットが多い。加えて、貸会議室だけでなく、食事・機器・宿泊場所・交通手配までワンストップで一連のサービスが提供され、顧客にとって利便性の高い内容となっているのが、同社が幅広い顧客に支持されているゆえんと言える。

5. 顧客
同社の貸会議室の年間利用企業数は約35,000社に上るが、そのうち約2,000社が上場企業となっており、上場会社の半数以上が利用している。裾野の広い顧客基盤を有する一方、売上上位500社で売上高の50%を構成しており、大手企業を中心とした上位顧客の構成比(利用頻度及び利用単価)が高い構造と言える。ヘビーユーザーに対してはVIP営業担当者の積極的な提案・細やかな対応により顧客の深掘りを図る一方、単発利用のライトユーザーについてはコールセンターやクラウドスペースを活用したオペレーションで効率化を図っている。また、既存顧客が売上高の約85%を占めており、高いリピート率を誇る。一方、日本リージャスは大手外資企業を中心とした顧客基盤を有しており、今後は相互送客によるシナジー創出にも取り組む。

6. 収益構造
2020年2月期第3四半期(累計)におけるサービス別売上高構成比(日本リージャスを除く)は、「会議室料」が49.0%、「オプション」が9.9%、「料飲」が18.9%、「宿泊」が13.1%、「その他※」が9.1%となっており、「会議室料」が最も高い構成比となっているが、「料飲」や「宿泊」が「会議室料」に次ぐ稼ぎ手となっている。施設のグレード別では、フラッグシップの位置付けのガーデンシティPREMIUM(GCP)とガーデンシティ(GC)が合わせて37.7%を占めるほか、スタンダードのカンファレンスセンター(CC)が30.2%、ライトユーズのビジネスセンター(BC)が5.3%、スター貸会議室が0.6%、宿泊・研修施設が16.2%、その他※が9.9%となっており、上位3グレードだけで約68%に達する。また、上位グレードの伸びに連動して、「料飲」等の周辺サービスが拡大する構造となっており、高付加価値化が同社戦略の方向性となっている。

※その他には主に子会社等の売上が含まれる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)


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