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神戸物産 Research Memo(1):業務スーパーの快進撃続く

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神戸物産<3038>は農畜産物の生産から製造加工、小売販売まで自社グループで行う食の製販一体企業として国内トップ企業である。食品スーパーの「業務スーパー」をFC展開するほか、外食事業や再生可能エネルギー事業も行っている。店舗の徹底的な「ローコストオペレーション」と自社商品の開発・生産技術力、輸入商品調達力を強みとし、顧客ニーズに合う商品をベストプライスで提供し続けることにより成長を続けている。

1. 2019年10月期の業績実績
2019年10月期の連結業績は、売上高で前期比12.1%増の299,616百万円、営業利益で同22.4%増の19,239百万円といずれも過去最高を更新し、会社計画(売上高281,900百万円、営業利益16,500百万円)を上回って着地した。主力の業務スーパー事業が新規出店効果に加えて既存店向けの出荷実績の伸長により、売上高で同11.6%増の264,171百万円、営業利益で同22.4%増の21,038百万円と好調に推移したことが主因だ。業務スーパーの店舗数は前期末比32店舗増の845店舗と計画を7店舗上回った。特に、関東直轄・九州直轄エリアの新規出店が好調だった。また、直轄既存店向け商品出荷額が前期比7.1%増とここ数年で最も高い伸びを見せたことも特筆される。業界全体の既存店の伸びは同約1%減で推移しており、「業務スーパー」の強さが際立つ格好となっている。テレビ番組で同社のPB商品が特集で取り上げられ認知度が向上したことに加え、タピオカドリンクブームもあって、来店する客層が広がったことが要因と見られる。

2. 2020年10月期の業績見通し
2020年10月期の連結業績は、売上高で前期比4.1%増の311,800百万円、営業利益で同5.5%増の20,300百万円を見込む。「業務スーパー」の店舗数は前期末比30店舗増の875店舗、直轄既存店向け商品出荷額は前期比2〜3%増を想定している。2019年10月の直轄既存店向け商品出荷額は前年同月比7.9%増と依然、好調に推移しており、テレビ番組などの取材も引き続き多く、更なる認知度の向上が期待される。消費増税の影響も見られず、当面の課題は旺盛な需要に対応するだけの生産能力の増強や物流体制の整備となる。国内グループ工場の大半はフル稼働に近い状況になってきており、今後2〜3年は年間50〜100億円程度の設備投資が続く見通しだ。また、関東・東北圏では3PLセンターを増設し、小ロット発注に対応した物流体制を整備していく計画となっている。

3. 中期経営計画について
同社は従前の中期経営計画の経営数値目標(2020年10月期に売上高2,900億円、営業利益170億円)を1年前倒しで達成したことから、新たな中期経営計画を発表した。最終年度となる2022年10月期に連結売上高で3,467億円、営業利益で230億円を目標に掲げている。年平均成長率では5%前後の増収増益となる。「業務スーパー」の店舗数は年間25店舗ペースで増やし、既存店向け商品出荷額については毎期2%台の成長を前提とした。出店に関しては既存店の収益拡大を背景にFCオーナーの投資意欲が旺盛なことから、引き続き関東、九州エリアを中心に拡大していくものと予想される。業務スーパーの強みは、良質な商品を低価格で提供できる開発力や生産技術力をグループ各社が保有し、麺類から食パン、スイーツに至るまで様々な分野でPBのヒット商品を生み出す力があること、また、これらPB商品はテレビ番組の放送やSNSで拡散されるため、広告宣伝費がほとんどかからず、結果、高い収益力を実現できることにある。当面はこうした好循環が続く見通しで、同社の業績も安定成長が続くものと弊社では予想している。

■Key Points
・テレビ番組の宣伝効果等で顧客層が広がり、直轄既存店向け商品出荷額が前期比7.1%増と好調に推移
・生産及び物流体制の強化により、業務スーパー事業の更なる成長を目指す
・2022年10月期まで年率5%前後の増収増益を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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