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コラム【アナリスト夜話】:コロナ猛威は欧州に。カギは金融政策(マネックス証券チーフ・アナリスト大槻奈那)

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新型コロナウィルスの影響が、韓国や欧州で拡大し、2月24日夜、欧米では、株・債券の同時安となりました。

気になるのは、影響が韓国やイタリアなど金融システムが弱い国に広がっている点です。昨日のイタリアの株価下落率は5.4%に達しました。銀行株の下げもきつく、モンテパスキは、先週の上昇の反動もあり11%下落し、ウニクレディトも4%超の下落となりました。

イタリアでは、週末に、オーストリアとの国境が一時封鎖されるなど、人の移動が制限されつつあります。欧州域内の渡航を原則自由とする「シェンゲン協定」の例外措置導入の可能性も懸念されています。イタリアは、GDPの6%を観光業に頼っているだけに、人の流れが止まることの経済への打撃は甚大です。財政に頼ろうにも、政府債務のGDP比率は132%と高く、昨年も欧州委員会と予算で揉めた経緯もありますので、かなり難しいでしょう。

そうなると、経済を支える頼みの綱は金融政策です。ところが、イタリアの金融機関は、まだ不良債権比率が8%台に留まるなど脆弱です。資金が相対的に企業や個人に流れにくく、一層の金融緩和が必要になる可能性があります。

昨年就任したラガルドECB新総裁は、昨日、一般市民への説明会を始め、じっくり政策の方向性を決める方向と報じられたばかりですが、とりあえず、早急な対応を迫られるかもしれません。先週ユーロは反転しましたが、まだしばらくは、欧州の金融情勢を注視する必要がありそうです。

マネックス証券 チーフ・アナリスト 大槻 奈那
(出所:2/25配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋)



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