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新興市場見通し:成長株リバウンドもなお不安定感、IPO異例の撤退ラッシュ

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先週の新興市場では、日経平均とともにマザーズ指数も下落した。新型コロナウイルスの感染拡大などによる金融市場の混乱を受け、前の週にはリスク回避目的で買い持ち高を解消する売りが強まったが、先週は成長期待の高い銘柄を中心に押し目買いが入った。ただ、マザーズ指数への寄与が大きいメルカリ<4385>などは戻りが鈍く、3連休前には手仕舞い売りがかさんだ。一方、日経ジャスダック平均はほぼ横ばいとなった。なお、週間の騰落率は、日経平均が-5.0%であったのに対して、マザーズ指数は-1.3%、日経ジャスダック平均は+0.0%だった。

個別では、前述のメルカリが週間で19.6%安、ミクシィ<2121>が同11.6%安となる一方、Sansan<4443>が同31.1%高、ラクス<3923>が同31.7%高となるなど、マザーズ時価総額上位は強弱まちまちだった。成長期待の高いSaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)・プラットフォーマー企業に積極的な押し目買いが入ったとみられる。売買代金上位ではそーせいグループ<4565>やサンバイオ<4592>など、投資家心理の影響を受けやすいバイオ関連株が軟調。新型コロナ治療薬開発が期待されるアンジェス<4563>も利益確定売り優勢だった。また、ティーケーピー<3479>などが週間のマザーズ下落率上位に顔を出した。反面、Amazia<4424>などが買われ、好決算のセルソース<4880>が上昇率トップとなった。ジャスダック主力は日本マクドナルドHD<2702>が同8.9%高、ハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>が同8.0%高、セリア<2782>が同15.3%高と全般堅調。ただ、ワークマン<7564>は上値が重く同3.7%安となった。IPOでは7社が新規上場し、3月19日の関通<9326>は公開価格の約2.1倍となる初値を付けた。しかし、他の6社は全て公開価格割れで、初値後の値動きも軟調だった。

今週の新興市場は、引き続き不安定な相場展開が続くとみておいた方が良いだろう。信用評価損益の悪化などに伴う個人投資家の売りはひとまず峠を越した印象で、成長期待株を中心に強いリバウンドを見せる銘柄も少なくない。しかし、TKPのように資金流出に見舞われたファンドが買い持ち高を急速に解消する動きは中小型株にも見られ、注意する必要がある。先週末の米国株は大幅反落しており、新型コロナの影響はなお続くだろう。

Sansanなどは成長性を考慮すれば株価調整に行き過ぎの感があったため、押し目買いが入りやすいところだろう。とはいえ、当面は資金の逃げ足も速いとみられる。また、新型コロナの影響長期化でセリアなどディフェンシブ性の強い銘柄にも改めて注目したい。なお、今週は3月26日に出前館<2484>などが決算発表を予定している。出前館は外出手控えで出前需要が増えそうだが、今期は積極的な投資実行で費用が先行する見込み。

IPO関連では、4社の新規上場が予定されている。3月26日上場のアディッシュ<7093>やサイバーセキュリティクラウド<4493>は関通と同様に前評判が高く、公開規模も小さいため好発進に期待したい。また、先週はSpeee<4499>(4月20日、マザーズ)など5社の新規上場が発表されている。一方で上場取り止めの発表も4社に上った。年初来の合計では既に7社と、ITバブルが崩壊した2001年以来の水準となっている。


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