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緊急事態宣言と株式市場閉鎖の可能性【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】

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日本でも緊急事態宣言のタイミングが刻々と迫っているとの印象が強まっており、株式市場が閉鎖される可能性も意識されるようになった。フィリピン証券取引所は3月17~18日に休場を決定した。もっとも、現時点では「取引継続」の公算が大きいだろう。3月31日、日本取引所グループCEOは、ロックダウンが発令されたり緊急事態宣言が出されたりする事態となっても「取引所は原則、通常通り運営する方針」と言及した。4月3日、東京都知事も、政府が緊急事態宣言を発令した場合でも、銀行や証券取引所をはじめとする金融サービスなどは「必要な衛生管理などを確保の上で引き続き営業していただく」と述べている。

金融商品取引法では、市場の売買が「公的または投資家保護に有害」と判断される場合には、内閣総理大臣の判断で売買停止が可能とされる。東証のコンティンジェンシー・プランでは、「災害やテロ等で当社役職員が避難をすることが必要な場合など業務継続が困難となり、有価証券等の売買監理が不十分になると当社が判断した場合」には、売買を停止する措置をとるとしている。

東京証券取引上が過去1日超にわたって閉鎖されたのは、かなり昔に遡る。1945年8月10日、原子爆弾投下との情報を受けて市場は停止し、1949年の取引再開まで、3年9ヵ月の間閉鎖が続いた。1923年9月1日には関東大震災で東京株式取引所の建物が全焼し、株式の現物取引再開は10月27日からであった。1920年3月15日には大暴落を理由に、2日間立会が停止された。システム障害等を理由として、何度か取引が停止されたことがあったが、基本的には1日以内に復旧している。

米国では、ハリケーン・サンディーが接近した2012年10月29~30日、同時多発テロが発生した2001年9月11~14日、第二次世界大戦が終了した1945年8月15~16日、第一次世界大戦が勃発した1914年7月31日~11月27日に1日超の取引所閉鎖となった。第一次世界大戦の際には、欧州でも全株式市場が閉鎖された。閉鎖は長期化したが、取引所外で非公式に取引が行われていたと言われる。市場再開日には市場もダウ平均も上昇した。

ちなみに、3月23日にJPXは「業績予想及び配当予想の修正に関するお知らせ」を公表し、2020年3月期通期連結業績予想を上方修正した。1日平均の売買代金・取引高について、株券等を3兆500 億円(前回開示資料比 2,500 億円増)、長期国債先物取引を40,000 単位(同変更無し)、TOPIX 先物取引を121,000 単位(同14,000単位増)、日経平均株価先物取引を233,000単位(同32,000単位増)、日経平均株価指数オプション取引を260億円(同30億円増)に見直している。足元では売買代金がやや縮小してきたが、コロナウイルス禍によるボラティリティ拡大が恩恵をもたらしている面もある。

(株式会社フィスコ 中村孝也)

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