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日経平均は3日ぶり小幅反落、「不思議の国の株高」との付き合い模索中?

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 日経平均は3日ぶり小幅反落。4.94円安の21266.23円(出来高概算8億2000万株)で前場の取引を終えている。

 連休明けとなった26日の米株式市場でNYダウは529ドル高と大幅に反発し、終値でおよそ2カ月半ぶりの高値となった。全米で経済活動の再開が一段と拡大したほか、新型コロナウイルスワクチンの開発でも様々な企業の取り組みが発表されて投資家心理が改善した。4月の新築住宅販売件数などの経済指標が堅調だったことも好感されたが、トランプ政権が香港問題を巡り中国の高官や企業に制裁を課すことを検討しているとの報道で引けにかけて伸び悩んだ。本日の日経平均は米中対立への懸念や前日に大幅高となった反動から21円安と小安くスタート。その後出遅れ感の強い銘柄に買いが入り、21377.24円(106.07円高)まで上昇する場面もあったが、おおむね前日終値を挟みもみ合う展開だった。

 個別では、日経平均への寄与が大きいソフトバンクG<9984>やファーストリテ<9983>が軟調で、ソニー<6758>は小安い。東エレク<8035>やレーザーテック<6920>といった半導体関連株は大きく下落。出光興産<5019>は今期配当予想を未定とし、嫌気した売りがかさんだ。また、SHIFT<3697>などが東証1部下落率上位に顔を出した。一方、三菱UFJ<8306>や三井住友<8316>といったメガバンク株の堅調ぶりが目立ち、ファナック<6954>などが日経平均の下支え役となった。中小型株ではタカラバイオ<4974>が賑わい、取引時間中の年初来高値を連日で更新。一部報道で新型コロナ対応を巡る期待が再燃したようだ。また、Jリース<7187>がストップ高を付け、東証1部上昇率トップとなった。

 セクターでは、陸運業、不動産業、空運業などが下落率上位。半面、海運業、鉄鋼、証券などが上昇率上位だった。東証1部の値下がり銘柄は全体の47%、対して値上がり銘柄は49%となっている。

 連休明けの米株式相場が大きく上昇し、東京市場でも投資家心理が一段と上向くとの期待があったが、日経平均はやや上値の重い展開となっている。直近2日で900円近く上昇し、前日には節目の21000円を回復していただけに、利益確定の売りも出やすいところだろう。とはいえ21000円台をキープして推移し、底堅い印象はある。売買代金上位を見ると、日経平均への影響が大きい値がさ株が相対的に軟調。半導体関連株の下落はグロース(成長)株からバリュー(割安)株への資金シフトとともに、米通信計測機器大手キーサイト・テクノロジーズの株価急落が波及したものとみられる。反面、メガバンク株などが堅調のため、東証株価指数(TOPIX)は小幅高で前引けとなった。

 業種別騰落率を見ると、前日までの株価上昇に対する利益確定の動きと、出遅れているバリュー株への資金流入が顕著だ。ここまでの東証1部売買代金は1兆3000億円あまりと前日より増加。グロース株売りの流れから新興市場ではマザーズ指数が続落しているが、950pt手前に位置する5日移動平均線水準をキープしようとする動きになっている。

 中国・上海総合指数や香港ハンセン指数が下落し、時間外取引のNYダウ先物も弱含みと、海外市場でもやや利益確定の動きが優勢だ。後場の日経平均も上値の重い展開になるとみておきたい。

 さて、大方の海外投資家や個人投資家の懸念をよそに、日経平均は前日に21000円台を回復した。もちろん経済再開に向けたポジティブなニュースフローの影響もあるだろうが、前日の当欄で述べたとおり、外国人投資家は2月から一貫して日本株・株価指数先物を売り越しており、日銀の上場投資信託(ETF)買いや公的年金の買いがそれを吸収。需給主導の戻りとの印象は拭えない。海外からは日本の新型コロナ抑制や株高が不思議に映っているようだ。ライフスタイルや働き方の大きな変化を迫られた個人投資家も経済回復には今ひとつ自信が持てていない様子が窺える。主力大型株を敬遠し、マザーズ銘柄を買い進めていたことなどはその証左だろう。

 とはいえ、株式需給の面で見ると大きな調整はなかなか想定しにくく、投資家も「実感の伴わない株高」との付き合い方を模索しつつあるようだ。株価指数オプションの「コール(買う権利)」の上昇などはその一端だろう。株価の一段高に備える海外投資家の動きとみられる。また、ここまで株式相場全体をけん引してきた銘柄や人気化した新興株には高値警戒感が出てきたため、いったんは出遅れ銘柄に資金が向かいやすいところ。とはいえ、戻りの息の長さは個別の業況などに左右されるだろう。ここから投資利益を得るためには、より一層の熟慮が必要となりそうだ。
(小林大純)
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