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為替週間見通し:ドルは上げ渋りか、米失業率の大幅上昇を警戒

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【先週の概況】
■欧州復興計画への期待などで円売り強まる

先週のドル・円は強含み。日本政府が新型コロナウイルスの感染拡大に対応する今年度の第2次補正予算案を5月27日、閣議決定したことや、欧州連合(EU)が復興計画案を提示したことを好感して、ユーロ、豪ドルなどに対する円売りが活発となり、この影響でドル・円は一時107円95銭まで買われた。中国政府は28日、反体制活動を禁じる「香港国家安全法」の制定方針を全国人民代表大会(全人代)で採択したことから、米国と中国の対立は一層深まるとの懸念が高まった。一部でリスク回避的なドル売り・円買いが観測されたが、ドル・円は107円台前半で下げ渋った。

29日のニューヨーク外為市場でドル・円は下げ渋り。ドル・円は107円08銭から107円90銭まで上昇した。米国の4月個人所得は市場予想を上回ったことや、第1段階の米中貿易協定撤回は回避されたことを意識してリスク回避の円買いは後退。ドル・円は107円81銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:107円09銭−107円95銭。

【今週の見通し】
■ドルは上げ渋りか、米失業率の大幅上昇を警戒

今週のドル・円は上げ渋りか。米国と中国の対立は解消されていないものの、米中貿易協定は当面存続することから、リスクを回避するためのドル売り・円買いが大きく広がる可能性は低いとみられる。中国政府は全人代で、香港での反政府的な行動を取り締まる「国家安全法制」導入の方針を採択しており、同地域での一国二制度は維持できなくなることを米国は警戒している。米中対立が長期化した場合、安全資産であるドルの需要はやや増加する可能性は残されている。

ただ、米国の雇用情勢は大幅に悪化しており、早期景気回復への期待は後退しつつある。6月5日発表の5月雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比-800万人とさらなる減少が予想されている。失業率は20%近くまで上昇する可能性があり、4月実績の14.7%からさらに悪化する見通し。米国経済が段階的に再開されても、失業率は10%を大幅に上回る状態が続くと予想されており、安全逃避的なドル買いはやや後退しよう。

【米・5月ISM製造業景況指数】(6月1日発表予定)
6月1日発表の米5月ISM製造業景況指数は43.5と、4月の41.5から小幅に持ち直すと予想される。新型コロナウイルスの打撃を受けた製造業で回復の兆しが示された場合、景気の持ち直しを期待したドル買いに振れやすい。

【米・5月雇用統計】(6月5日発表予定)
6月5日発表の5月雇用統計は、失業率19.5%、非農業部門雇用者数は前月比-800万人、平均時給は前年比+8.9%程度と予想されている。失業率は前回を大幅に上回るものの、雇用者数の減少幅が市場予想を下回った場合、ドル売りを弱める要因になりそうだ。

予想レンジ:106円00銭−109円00銭


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