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やはり「海外勢買い戻し」シナリオ進行

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[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;22581.74;+256.13
TOPIX;1597.18;+9.50

[後場の投資戦略]

 本日の日経平均は朝方に一時500円近く上昇。米株高や円安を受け、海外投資家の買い戻しが強まったとみられる。月次データを開示したファーストリテの日経平均押し上げ効果が大きい印象で、東証1部全体としては値下がり銘柄の方が多い。とはいえ、ファーストリテだけでなく主力の自動車株や金融株も堅調なのは明るい材料で、前引け時点の上昇率は日経平均の+1.15%に対し、東証株価指数(TOPIX)も+0.60%としっかり。業種別騰落率を見ると、景気敏感株の買い戻しと内需・ディフェンシブ株の利益確定の動きが鮮明となっている。ここまでの東証1部売買代金は1兆3000億円あまりと前日より増え、徐々に売り買いが交錯してきた感がある。

 ここまで人気だった中小型株には利益確定の売りが出ており、新興市場ではマザーズ指数が4日ぶり反落。前引け時点では2%近い下落となり、節目の1000ptを下回る一方、990pt手前に位置する5日移動平均線を割り込まずにいる。世界的な株高や円安進行にもかかわらず、日米とも長期金利の上昇は限定的。さらに投資家の「ウィズコロナ」「アフターコロナ」への意識も残り、新興成長株はまだ本格調整には至らないと考えられる。

 外部環境の改善による買い戻しが一巡すると日経平均の上値は重くなっているが、このところ後場に海外投資家の取引参加で一段高となるケースが散見される。今晩の米国では5月のADP雇用統計やサプライマネジメント協会(ISM)非製造業景況指数といった経済指標の発表が予定されているが、投資家の視線は過去のデータでなく先行きに向いている。後場の日経平均は引き続き堅調に推移しそうだ。

 さて、前日の当欄では先物手口から海外投資家の動向を探り、一段の株高余地が残ると指摘した。2日の先物手口も見てみると、ゴールドマン・サックス証券(GS)がTOPIX先物を大きく買い越している。「海外投資家の更なる買い戻し」シナリオが早々に顕在化した格好だ。前日も少々触れたが、GSは直近で米国株の下落見通しを修正したという。GS経由の売買フローがリスク回避後退に傾いたのと符合する。欧米の大手証券ではマクロ経済指標の悪化などを理由に、株式が二番底を付けに行くとの見通しを示していたところが多い。今後も証券各社がこうした見通しの修正を迫られ、それとともに買い戻しが加速する場面が出てくるだろう。一部のモメンタム系を除く大半の投資家がなおネットショート(売り越し)の状態との情報もある。

 ではここまでの株高の要因は何だったのか、との質問も受けるが、3月の急落局面での新規投資家の参戦、株価急落によるリバランス(資産配分の再調整)目的の買い、また日本に関しては日銀による上場投資信託(ETF)買い入れや公的年金の買い出動などが大きかったのだろう。売りにベットしてここまで苦戦を強いられた海外ヘッジファンド等の買い戻しはなお続く可能性がある。
(小林大純)
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