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為替週間見通し:米国金利の先安観後退でドル売り縮小も

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【先週の概況】
■米雇用統計の予想外の改善でドル買い強まる

先週のドル・円は堅調推移。6月1日発表の5月米ISM製造業景況指数は市場予想を下回ったことから、週前半はリスク回避的なドル売りが優勢となったが、米国における新型コロナウイルスパンデミックは一段落し、ウイルスワクチンや治療薬の開発が進展していることを意識して、リスク選好的なドル買い・円売りが次第に強まる展開となった。3日に発表された5月米ADP雇用統計で、雇用者数の減少幅は市場予想を大幅に下回る結果となったこともドル買い材料となった。

5日のニューヨーク外為市場でドル・円は、一時109円85銭まで上昇した。この日発表された5月米雇用統計は、予想外の大幅な改善を示したことから、リスク選好的なドル買いが活発となった。5月雇用統計で、非農業部門雇用者数は前月比+250.9万人と市場予想の同比-750万人程度に反して、大幅な増加に転じた。失業率は13.3%で4月の14.7%から1.4ポイント低下しており、市場関係者の間からは「5月雇用統計は米国の景気回復が始まったことを示す内容」との声が聞かれた。ドル・円は109円59銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:107円39銭−109円85銭。

【今週の見通し】
■米国金利の先安観後退でドル売り縮小も

今週のドル・円は底堅い値動きか。米雇用関連指標の予想外の改善や主要国の株高を受けてドル・円は109円台後半まで上昇した。6月9-10日に開かれる連邦公開市場委員会(FOMC)の会合では、金融政策の現状維持が確実視されている。米国金利の先安観は一段と後退しており、リスク回避的なドル売り・円買いは縮小するとみられている。
世界的に都市封鎖(ロックダウン)による制限措置が徐々に緩和され、米国経済の早期正常化への期待が広がっている。5月の失業率は4月の14.7%から13.3%に低下した。非農業部門雇用者数は予想外の大幅な増加を記録。4-6月期国内総生産(GDP)は前例のない大幅な落ち込みを示すと予想されているが、雇用情勢の大幅な改善によって米国経済の早期回復への期待が急速に広がっている。

米国株式市場は、新型コロナウイルスの影響で急落した後は徐々に持ち直し、ナスダック総合指数は史上最高値付近で推移している。株高はドル高要因になるとは言い切れないものの、株高持続を意識した円売り・米ドル買いの興味は失われていないことから、ドル・円相場が円高方向に大きく振れるような相場展開は想定しにくい。一方、米連邦準備制度理事会(FRB)は9-10日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、現行の緩和的な金融政策を維持する。焦点のマイナス金利導入に関し、パウエル議長は改めて消極的な見解を示す見通しで、FOMC終了後に金利先安観が台頭し、リスク回避的なドル売りが広がることは回避されそうだ。

【米・5月消費者物価コア指数(CPI)】(10日発表予定)
10日発表の5月消費者物価コア指数(CPI)は前年比+1.3%と予想されており、インフレ率は4月実績をやや下回る可能性がある。ただし、インフレ鈍化は世界的な傾向であり、市場予想と一致しても、ドル売り材料にはならないとみられる。

【米連邦公開市場委員会(FOMC)】(9-10日開催予定)
FRBは6月9-10日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、現行の緩和的な金融政策を維持する公算。マイナス金利導入に関しパウエル議長は否定的な見解を示すとみられ、ドルは売りづらい見通し。

予想レンジ:108円50銭−111円00銭


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