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豪印首脳が防衛協力拡大で合意、対中包囲網

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6月4日、オーストラリアのモリソン首相とインドのモディ首相は、テレビ会議方式の首脳会談を開き、防衛協力の拡大で合意し、共同声明を発表したと複数のメディアが報じた。
共同宣言では、従来の「戦略パートナーシップ」を「包括的戦略パートナーシップ」に格上げすることや、両国軍の相互運用能力の向上など防衛面の強力関係強化の協定の合意、外交・防衛閣僚協議(2プラス2)の隔年開催についても発表された。今後、共同して日米主導で中国に対応する「自由で開かれたインド太平洋」構想に賛同し、対中けん制の枠組みに加わることになった。さらに、「インド太平洋での航行の自由を確保し、南シナ海とインド洋を結ぶシーレーンを確保する共通利益がある」と、海上における安全保障上の共通認識を表明した。

豪州は今年4月、中国に対し、新型コロナウイルス感染拡大に関する独立調査を求め、中国の強い反発を受け、豪産の食肉や大麦の輸入に関し、停止措置や追加関税が課されている。豪州は2018年に、安全保障上の観点から華為技術(ファーウェイ)からの次世代高速通信規格「5G」技術の導入を拒否している。
一方、インドはインド東北部のラダック地域の国境を挟んで中国軍と対峙しており、軍事衝突の緊張が高まっている。中国軍は5月下旬に中国国境側に5,000人の兵士と装甲車を配備し、さらに砲兵部隊も増強している。インド側も北部国境に軍を集結させており、双方で10,000人の兵がにらみ合っている格好だ。インド側は外交的な努力による解決を望んでいるが、中国は欧米から批判を受けている新型コロナウイルス感染発生時の初動対応への批判に加え、香港への「国家安全法」制定問題から関心をそらすため、挑発を続けているという指摘もみられる。

両首脳は、海軍間の相互運用能力向上のため情報交換を推進することも確認した。具体的には、米印海軍と日本の海上自衛隊による「国際共同演習マラバール」への豪州の参加も協議されたようだ。今後は、豪州が主体となって隔年ごと豪州で実施している「多国間軍事演習カカドゥ」や米海軍がハワイ沖等で実施している環太平洋海軍軍事演習(RIMPAC)等の機会をとらえて緊密な連携が図られていくことになろう。

アメリカのトランプ大統領が表明した9月以降に開催予定の先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)の枠組み拡大について、豪印両首脳は招待を歓迎する意向を示している。インドが拡大G7に加わることでさらに中国をけん制し、対中包囲網を築いていくことになる。
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