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日経平均は小幅反発、やはり底堅さ発揮もFOMCには注目

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 日経平均は小幅反発。24.19円高の23115.22円(出来高概算5億8000万株)で前場の取引を終えている。

 9日の米株式市場でNYダウは7日ぶりに反落し、300ドル安となった。10日に発表される連邦公開市場委員会(FOMC)の結果が注目されており、直近で株価が大きく上昇したこともあって持ち高調整の売りが出たようだ。人種問題を巡るデモなどにより、一部の州で新型コロナウイルスの感染が再拡大していることも懸念材料となった。ただ、ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は連日で過去最高値を更新し、取引時間中には初の10000台に乗せる場面があった。本日の日経平均はNYダウが下落した流れを引き継いで152円安からスタートしたものの、その後下げ幅を縮小し、NYダウ先物の時間外取引での上昇も支援材料となってプラス圏に浮上した。

 個別では、ソニー<6758>や任天堂<7974>がしっかり。ソフトバンクG<9984>も小幅ながらプラスで前場を折り返した。前日売られたレーザーテック<6920>、東エレク<8035>、アドバンテス<6857>といった半導体関連株だが、本日は急反発。三井ハイテク<6966>が好決算を受けて急伸し、処理能力の向上したPCR検査を開発したと報じられたタカラバイオ<4974>はストップ高水準まで買い進まれた。一方、ファーストリテ<9983>やトヨタ自<7203>が小幅に下落。三菱UFJ<8306>などのメガバンク株は米長期金利の低下に伴い軟調で、大林組<1802>や清水建<1803>といった建設株の一角で下げが目立った。また、ベステラ<1433>などが東証1部下落率上位に顔を出した。

 セクターでは、サービス業、化学、医薬品などが上昇率上位。半面、鉱業、鉄鋼、不動産業などが下落率上位だった。東証1部の値上がり銘柄は全体の44%、対して値下がり銘柄は51%となっている。

 欧米株安を受けて3ケタの下落で始まった本日の日経平均だが、その後プラス圏に浮上して前場を折り返している。朝方は東京株式市場でも米国と同様、FOMCを前に持ち高調整の売りが優勢になるとの見方が多かった。東証1部全体としては値下がり銘柄の方が多く、さほど市場のムードが明るいわけではないだろうが、大方の想定以上の底堅さを見せている。前日の当欄で解説した「海外投資家の買い戻し余地の大きさ」が市場に浸透しつつあるようで、押し目らしい押し目とはなっていない。日足チャート上では23000円手前に位置する5日移動平均線を下回る場面もあったが、すかさず切り返した格好だ。

 売買代金上位では、FOMCを前に米長期金利が反落傾向にあるため、メガバンク株が軟調。対してグロース(成長)色の強い半導体関連株は切り返している。業種別騰落率はやや方向感に乏しいが、商品関連セクターが下落率上位に顔を出している。

 新興市場ではマザーズ指数が4日続伸し、連日で年初来高値を更新。前日のバイオ関連株に代わり、本日はIT・インターネット関連株が買われており、循環物色の流れが継続だ。FOMC前の金利水準の低下は追い風か。コロナ再拡大の懸念がくすぶることも「ウィズコロナ」「アフターコロナ」を睨んだ物色を活発にさせているとみられる。

 アジア株式市場は総じて小動き。前引けの東証株価指数(TOPIX)は0.07%の下落で、日銀による上場投資信託(ETF)買い入れは実施されないと考えられる。さすがにFOMCを控え積極的に上値を追う動きは期待しづらく、後場の日経平均は前日終値を挟みもみ合う展開になるとみておきたい。

 さて、直近で金利水準が上昇してきていることもあり、今回のFOMCの注目度は高いように見受けられる。政策金利の誘導目標など金融政策の大きな変更は予想されていないが、「イールドカーブ・コントロール(YCC)」導入を巡る議論、資産購入プログラムの変更有無、経済・金利見通し(ドットチャート)など金融市場に大きな影響を与えうる要因は多くある。株式市場から見ても、つまるところ、空前の金融緩和という「居心地のいい環境」がどの程度の期間続きそうかという点は大きな関心事である。

 前日に少々示唆したが、「ラリー形成」で負けを取り戻したい投資家の動きがナスダック総合指数の高値更新などから窺える。しかし、米金融政策の方向感は見極めておく必要があるだろう。
(小林大純)
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