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日経平均は2日ぶり反落、FRB議長の会見受けリスク選好がやや後退

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 日経平均は2日ぶり反落。242.67円安の22882.28円(出来高概算7億1331万株)で前場の取引を終えている。

 前日10日の米国株式相場はまちまち。ダウ平均は282.31ドル安の26989.99ドル、ナスダックは66.59ポイント高の10020.35ポイントで取引を終了した。米連邦準備制度理事会(FRB)による連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を控えて、利食い売り先行で寄り付いた。FRBが市場の予想通り政策金利を据え置き、当面実質ゼロ金利政策を据え置く方針を示すと、一時上昇に転じたものの買いは続かず、引けにかけて再び下落する展開となった。一方、ハイテク関連株は終日堅調推移となり、ナスダック総合指数は初めて1万ポイントを上回って引けた。

 引けにかけて軟調だった米国株式市場の流れを受け、東京株式市場は売り先行で始まった。FOMCで2022年末までゼロ金利政策を維持する方針が示されたことなどで、一時1ドル=106円80銭台まで円高・ドル安が進んだことも株価押し下げ要因となった。また、財務省と内閣府が取引開始前に発表した法人企業景気予測調査で、4~6月期の大企業全産業の景況判断指数(BSI)がマイナス47.6と、前回調査の1~3月期(マイナス10.1)から大幅に悪化したことも株価の重しとなったもよう。ただ、日経平均が23000円を割り込んだことで押し目買いも入り、日経平均は276円安で始まった後は大きく売り込まれることはなかった。

 個別では、20年2-4月期連結営業利益が前年同期比5.9倍となったOSGコーポレーション<6757>がストップ高買い気配。時間貸し駐車場の運営開始を発表したデュアルタップ<3469>がストップ高。今期の2ケタ増益転換見通しが好感された日東網<3524>が東証1部値上がり率トップ。また、「業務マニュアル」見直し依頼殺到とし国内証券がレーティングを引き上げたグレイス<6541>、受注残積み上がりなどが安心感となった丹青社<9743>、5月の堅調な売上動向持続を評価されたMonotaRO<3064>などが高い。

 そのほか、政府が月内に在留資格「特定技能」の取得試験を再開すると発表したことを受けて在留フィリピン人向けの人材事業を手掛けるips<4390>が大幅高。新型コロナウイルスによる肺炎患者を対象とした再生治療の治験を計画していると報じられたロート製薬<4527>、昨日の米国市場で家庭用ゲームの需要拡大を手掛かりに画像処理半導体のエヌビディアが上場来高値を更新した連想で任天堂<7974>なども堅調だった。

 一方、FOMCでの低金利長期化見通しを受けて米金融株が軟化したことから三菱UFJ<8306>が下落。21年3月期連結営業損益が16.60億円の赤字となる見通しだと発表したダスキン<4665>、決算を受けて財務面への警戒も強まったフジクラ<5803>、5月の既存店日商が前年同期比11.0%減少したと発表したファミリーマート<8028>などは下げた。

 セクターでは、その他製品、情報・通信業の2業種のみが上昇。一方、海運業、鉱業、鉄鋼、保険業、銀行業などが下落率上位だった。東証1部の値上がり銘柄は全体の20%、対して値下がり銘柄は77%となっている。

 本日の日経平均は2日ぶりに反落。前引け段階では5月14日の300円超と久々に大きな下げ幅となった。2022年末までのゼロ金利政策の維持が決まった安心感が先行して発表後にはダウ平均は一時上昇した。ただ、FOMC声明文はほぼ市場の予想通りの内容であったことに加え、FOMC後の会見で、パウエルFRB議長が雇用の回復に時間がかかると強調したことなどを受け、米国市場ではリスク選好にやや慎重になる動きが広がり、株価の押し下げ要因となった。株式市場はここ最近の株価急騰局面で、悪い経済統計は見て見ぬふり、という姿勢で臨んできた。しかし市場は今後、雇用関連の統計をはじめ、経済統計に目配りせざるを得なくなりそうだ。

 一昨日9日の米国市場では4月JOLT求人件数が2014年来で最小を記録したことが株価下落要因の一つとなり、昨日10日の東京市場では4月の機械受注統計が民間予測を下回る内容だったことが株価の重しとなった。また、前述したように、今朝の取引開始前に発表された法人企業景気予測調査の大幅な悪化も前場の東京市場での株価下押し要因になったもようだ。すでに悪い経済統計が市場に弱冠ながら影響し始めており、市場センチメントも強気一辺倒とは行かなくなってきたようすが窺える。

 ただ、大勢としては、弱気に傾く場面ではないだろう。踏み上げられてようやく買い戻しを強めてきた海外投資家は、累計ベースではまだまだ大幅なネットショートにあり、下値では買い遅れてきた投資家による押し目買いが入る良好な需給環境に変化はないとみるからだ。そのため、目先、上値が重い一方で、下値も総じて底堅い動きとなるだろう。

 さて、明日のメジャーSQを控え、売り買いとも積極的には仕掛けにくい地合いのなか、後場の日経平均はマイナス圏での往来相場となりそうだ。一方、前場にプラス圏に浮上した新興市場は引き続き底堅く推移すると予想する。東京市場では市場心理に揺れが生じ始めている状況の中、東証1部の主力株は積極的に物色しにくい。後場も新興市場のバイオ株やIT株など、景気ディフェンシブ色の強い銘柄に関心が向きそうだ。
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