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前日までの下落要因を冷静に分析しよう

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[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;22244.96;+714.01
TOPIX;1574.12;+43.34

[後場の投資戦略]

 前日の日経平均はNYダウ先物の急落などから後場軟化し、700円を超える下落となっていた。しかし、NYダウはFRBによる社債買い入れ開始などを受けて切り返し。本日の日経平均も前日の下落分を取り戻そうとする動きを見せている。日足チャートを見ると、21600円近辺に位置する25日移動平均線が下値をサポートする形となり、22300円台に位置する5日移動平均線に迫る格好だ。21500円近辺までの下落なら「健全な調整」とみる市場関係者が多く、現状ではその範囲内となっている。

 売買代金上位を見ると、米長期金利の上昇を受けて金融・自動車といったシクリカルバリュー株(景気敏感系の割安株)の堅調ぶりが目立つが、米市場の流れを引き継いでハイテク関連などのグロース株(成長株)も買われている。前日から一転、全面高の展開だ。半導体関連などでは米中対立への懸念が和らいだ。業種別騰落率では、やはりシクリカルバリュー系のセクターが値上がり率上位を占めている。ここまでの東証1部売買代金は1兆円あまりとやや低調。新興市場でもマザーズ指数が4日ぶりに大幅反発し、1000pt台を回復してきている。

 アジア株式市場では香港ハンセン指数が2%を超える上昇となっており、その他も全般堅調。NYダウ先物は時間外取引で上昇している。日経平均が5日移動平均線に迫る局面では短期志向の投資家からの売りが出やすいかもしれないが、外部環境の改善を追い風に後場も堅調な展開となりそうだ。

 さて、前週末の当欄で「短期的にVIX(米株の変動性指数)急騰の影響を警戒しつつも、日経平均は最大でも21000円台までの調整にとどまる」と予想した。やはり一度高まったボラティリティー(株価変動率)は簡単に落ち着かないものの、前週末からここまでの動きはおおむね予想に沿ったものとなっている。

 一部のシステム系取引業者が米国等の新型コロナ新規感染者数を組み込んだとみられる動きもあるが、ここ数日の先物手口を見ると外資系証券は必ずしも売り一辺倒に傾いていない。商品投資顧問(CTA)の手口とみられているクレディ・スイス証券は連日で東証株価指数(TOPIX)先物の買い越し上位だ。かねて指摘しているとおり、3月以降の踏み上げ相場を経て直近で戦略転換した海外ファンドが多い。FRBの社債買い入れ開始で改めて「中央銀行に逆らうな」との教訓が意識されそうだ。

 もう一度前日の先物手口を見ると、野村證券による日経平均先物の売り越しが大きく、相場全体の下落を主導したとみられる。後場からの下げ加速という点も踏まえると、前週末までの日経レバETF<1570>や日経ダブルイン<1357>の動向が気になるところだ。それぞれ12日時点の純資産総額を見ると、レバが2382.8億円(前日比-6.0%、基準価額-1.5%)、ダブルインが3239.5億円(+2.8%、基準価額+1.5%)とやはり整合的な動き。「レバを高値圏で利食い損ねた個人投資家が先週末に慌てて売り」、また「一段安に賭けた個人投資家がダブルインを買い」といった動きが前日の下げの一因と推論できる。

 但し、5月下旬まで4000億円を上回る日が散見されたレバ純資産総額は2月下旬以来の水準まで減少。一方でダブルインの方は日経平均が2万円近辺まで戻していた4月下旬の水準を上回り、過去最大規模となっている。これ以上傾く余地は小さくなってきているとみてよいだろう。11日に急騰したVIXもその後緩やかに低下しつつある。日経平均は目先荒い値動きが続くだろうが、本格的な調整までには至らないとの見方を維持したい。
(小林大純)
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