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日経平均は3日ぶり小幅反発、中長期リスクあれど需給要因が目先支え

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 日経平均は3日ぶり小幅反発。30.95円高の22386.41円(出来高概算4億6000万株)で前場の取引を終えている。

 18日の米株式市場でNYダウは小幅に続落し、39ドル安となった。週間の新規失業保険申請件数が市場予想を上回ったほか、各州で新型コロナウイルスの感染者数が連日増加しているため、大きく下落して始まった。ただ、6月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数や5月の景気先行指数が予想を上回り、景気回復への期待が相場を下支えした。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は5日続伸。また、国内でも都道府県をまたぐ移動制限が全面解除となったことから、本日の日経平均は反発期待の買いが先行し160円高でスタート。寄り付き後は時間外取引でのNYダウ先物の伸び悩みなどから上げ幅を縮め、マイナスに転じる場面もあった。

 個別では、日経平均への寄与が大きいソフトバンクG<9984>やファーストリテ<9983>が堅調。新たに開示した今期業績見通しが市場予想を上回った東エレク<8035>は5%上昇し、一部証券会社の投資判断引き上げが観測されたアドバンテス<6857>も2%超上昇するなど、半導体関連の一角で上げが目立つ。中小型株ではDLE<3686>やチェンジ<3962>が急伸し、売買代金上位にランクイン。また、一部事業の売却が報じられたペッパー<3053>や業績予想を上方修正した西松屋チェ<7545>はストップ高を付ける場面があった。一方、前日におよそ12年ぶりとなる5万円台を回復した任天堂<7974>は小反落。ソニー<6758>、レーザーテック<6920>、トヨタ自<7203>なども小安い。また、古河電池<6937>などが東証1部下落率上位に顔を出している。

 セクターでは、空運業、陸運業、精密機器などが上昇率上位。半面、鉄鋼、保険業、海運業などが下落率上位だった。東証1部の値上がり銘柄は全体の32%、対して値下がり銘柄は62%となっている。

 本日の日経平均は3ケタの上昇でスタートしたが、買いが続かず失速する展開となっている。日足チャート上では22260円近辺に位置する5日移動平均線を終始上回り、底堅い印象。米国でハイテク株が堅調な値動きを見せていることは支援材料となるが、一方で新型コロナの感染再拡大などへの警戒感からNYダウの上値は重く、週末ということもあって積極的には買い進みにくいところだろう。ここまでの東証1部売買代金は9000億円にも届いておらず、主力大型株の手控えムードが窺える。

 売買代金上位ではファーストリテなどの値がさ株が日経平均を押し上げる一方、やや利益確定売り優勢の銘柄が多く、東証株価指数(TOPIX)は小幅に3日続落。とはいえ、強気の会社計画に先行き警戒感が和らいだ東エレクは大きく上昇し、「買える銘柄は買いたい」との思惑が強いことも透けて見える。業種別騰落率では、移動制限の緩和で業績回復が期待される空運業や陸運業が上昇率上位にランクインする一方、典型的なシクリカルバリュー株(景気敏感系の割安株)である鉄鋼や海運業が下落率上位にランクイン。

 また、IT化サポートのチェンジが売買代金上位にランクインし、連日で年初来高値を更新している。企業のデジタルトランスメーション(DX)推進などを背景に、新興株への個人投資家の期待は引き続き強そうだ。新興市場ではマザーズ指数が4日続伸している。

 前引けのTOPIX下落率は0.34%にとどまり、日銀による上場投資信託(ETF)買い入れは実施されないと睨んだ短期筋の売りが出てくる可能性はある。ただ、アジア株式市場では中国・上海総合指数や香港ハンセン指数が小動き。時間外取引のNYダウ先物も大きく下押ししているわけでなく、積極的に売り込もうとする向きは限られるだろう。後場の日経平均は前日終値近辺でのもみ合いになるとみておきたい。

 さて、前日の先物手口を見ると、メリルリンチ日本証券のTOPIX先物売り越しがやや大きかったものの、日経平均先物では買い越し上位にランクイン。ほかにモルガン・スタンレーMUFG証券が日経平均先物を売り越していたが、やはり外資系証券全体として売り買い一方向に傾いている感はない。また、前日は日銀が4営業日ぶりに通常のETF買い入れを実施(1001億円)し、日経平均を下支えした。前述のとおり主力大型株の売買がやや低調となっているだけに、日銀ETF買いのインパクトは大きくなりやすい。これらを踏まえると、日経平均は当面、方向感が出にくいかもしれない。かねて当欄で述べているとおり、新型コロナ再拡大の懸念がくすぶるなかで底堅いが、上値も重いだろう。個人投資家の物色が中小型株に向く一因となりそうだ。

 なお、中長期的には日米で親ビジネス・株高志向の現政権が交代し、現在の株高の構図そのものが根底から変わる可能性もある。米国では11月に大統領選が控え、各種世論調査で民主党候補のバイデン前副大統領が現職のトランプ大統領に対するリードを広げている点が市場の注目をじわりと集めているようだ。バイデン氏による穏健路線回帰が期待される一方、党内左派を取り込むため法人税増税や大企業規制に傾く懸念もある。また、今月下旬から企業の3-5月期決算発表、来月下旬から4-6月期決算発表があり、業績面への懸念が株価の重しになると予想する市場関係者は多い。

 ただ、こうした中長期のリスク要因を抱えつつも、目先は需給要因が株価の下支えになるだろう。
(小林大純)
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