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コラム【新潮流2.0】:自粛の理由(マネックス証券チーフ・ストラテジスト広木隆)

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◆アイドルグループNEWSのメンバーだった手越祐也氏が緊急事態宣言の最中、女性たちと飲み会をおこなっていたことが世間の批判を浴びた。芸能人であることを考えれば自覚のない行動だっただろう。では、芸能人でなかったら?やはり、自粛するべきであったろう。感染のリスクが高い状況での外出・外食は控えるべきだ。社会のためであり自分のためである。

◆芸能人であろうとなかろうと、結論は「自粛すべき」であるが、その理由が「緊急事態宣言が発令されているのに…」ということだとすると、ちょっと微妙になる。自粛すべきなのは感染拡大のリスクが高いからであって、政府の緊急事態宣言は関係ない。緊急事態宣言には法的拘束力はないのだ。日本人はいまだに「お上」からのお達しに弱いところがある。このコロナ禍で「お上」からのお達しに従わないヤツは不謹慎、という風潮が広がることは危険である。

◆某女性タレントが、届いた「アベノマスク」を下着にしたというSNSへの投稿に批判が殺到して炎上したという。本人もそんなことをSNSにあげるのは半分(というか、ほとんど)「炎上狙い」の確信犯だが、批判の多くは、「不謹慎」であった。確かに非常にくだらない、バカバカしい話である。しかし、これこそ無害な話だ。「アベノマスク」を下着にしたところでコロナの感染が拡大するわけではない。「お上」から賜ったマスクを下着にしたことを「不謹慎」と批判するなら、それこそ問題だ。 こちらから「ください」と頼んだわけでもなく、勝手に配られたマスクをどう使おうとそれこそ国民の勝手である。

◆一部のラディカルなメディアでは、昨今の風潮を戦前の空気に重ね合わせる論調も目立つ。この状況で自粛は正論なだけに誰も表立って反論できない。それが同調圧力を生む。そこまでは社会の自然現象のようなものだから仕方ない。問題はそれを政治に利用させないことだ。我が国では個人情報保護という錦の御旗が変な方向に働いて、マイナンバーの普及が進まないといった残念な事態になっているが、真に個人の権利や民主主義を信奉するなら、昨今の「奇妙な」空気には違和感を主張すべきだろう。もちろん、それはあなたの感じ方次第であるが。

マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆
(出所:6/29配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より抜粋)



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