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リソル Research Memo(7):業績予想は未定だが、戦略はしっかり打っている

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■業績見通し

1. 2021年3月期の業績見通し
2020年4月以降も新型コロナウイルスの影響は収束しておらず、国内外の経済活動はますます不確実性を増している。リソルホールディングス<5261>も、ホテル運営事業など宿泊施設への影響が大きくなっている。このため、新型コロナウイルスの影響を現段階において適正かつ合理的に算定することが困難なことから、同社は業績予想を未定とし、業績予想の開示が可能となった時点で速やかに公表することとした。ただし、戦略に関しては、各事業でしっかり打ち出している。

ホテル運営事業では、好調な「スパ&ゴルフリゾート」で久慈のゴルフヴィラ新築3棟を4月にオープンしたほか、「ホテルリソル上野」(2020年7月予定)と「ホテルリソルトリニティ大阪」(2020年秋予定)の開業を予定するなど、積極姿勢を維持している。しかし一方で、新型コロナウイルスの影響による損失を想定し、直販率の向上やオペレーションの効率化、コストの見直しなど運営体制を見直し、特に主力である「ホテルリソル」の収益を安定させる方針である。ほかにも、独自の運営スタイルである「リソルスタイル」の徹底、「リソルカードH」会員の拡大と利用の促進、グループシナジーの活用、会員専用サイトでのお得な限定情報の発信、ホームページ内での提携法人専用コーナーの新設、さらに接客・サービス・くつろぎ品質・施設品質・口コミ評価の向上——等々、あらゆる手を尽くし、他社との差別化を強める方針である。

しかしホテル運営事業は、同社の事業分野の中で最も新型コロナウイルスの影響を受ける分野である。ピーク時に4ホテル以外を休業とするなど、2021年3月期に入っての稼働率は、業界全体よりやや良好と言える程度の10%~30%で推移している。2021年3月期オープン予定の上野と大阪も当初予定より開業を遅らせた。2020年6月以降徐々に、7月にはより多くのホテルを再開する考えだが、急速な稼働率上昇は見込めず、東京オリンピック・パラリンピックをあてにしたホテル建設ラッシュを背景とする価格競争もあり、予断は許されない。新しい生活スタイルに対応してテレワーク、長期利用、研修、福利厚生向けプランなどで対応しているようだが、いずれにしろ、新型コロナウイルスの早期収束が待たれる状況だ。

ゴルフ運営事業でも、コンペの自粛やレストランの利用減少など、新型コロナウイルスの影響が出ている。一方で、特に地方でのゴルフ需要はさほど衰えておらず、かといってバスルームやレストランなど「3密」を避ける必要があることから、18Hスループレー、風呂とレストラン利用なし(ランチBOX付等)の言わば「新しいプレースタイル」を提案した。安全対策がかえって評判にもつながり、結果的に高齢化対策にもなりそうな「地元の1人プレー」という新たなニーズを掘り当てた。とはいえ、コンペや仲間とのゴルフ、県を跨いだ利用が本来の姿であるため、ゴルフ運営事業でも新型コロナウイルスの収束が待たれる。そのときのためにも「リソルカードG」や会員制度の拡充も図っている。

CCRC事業(リソルの森事業)では、2020年4月にリニューアルオープンして各種サービスを取りそろえているところだったが、新型コロナウイルスの影響により、ホテルやスポーツクラブなど実稼働がほとんどできず、結婚式や会食のキャンセルも発生したもようである。しかし、7月には一部施設を除き再オープンする予定である。上質化を背景に宿泊料金は価格競争と一線を画している上、福利厚生施設としても使われることから、一般的な宿泊施設より戻りは早そうだ。

そのほか、再生エネルギー事業では、「福島石川太陽光発電所」の発電効率を向上させ、計画以上の売電量を確保する考えである。不動産関連事業(投資再生事業)では、新型コロナウイルスの影響を見据えながら売買のタイミング図る方針である。タイミング次第では、2021年3月期の収益を押し上げてくれる可能性もあると考える。福利厚生事業では、グループ直営施設と連携した特別企画などにより、利用者満足度向上による契約更新の循環を確立し、リピート&アクティブ率を向上させる考えである。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)



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