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グローセル Research Memo(7):ルネサス製半導体の拡販が成長戦略の主軸であるのは不変

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■中長期成長戦略

2. ルネサス製品の売上、デザイン-インの強化・推進
グローセル<9995>はその設立の経緯(イーストンエレクトロニクスとルネサスデバイス販売が合併して誕生)から明らかなように、ルネサスの特約店として成長を遂げてきた。現状では、売上高の約80%弱をルネサス製品が占めているが、ルネサスの側から見ても、同社は重要な特約店の1つと言えるだろう。過去数年、ルネサスは特約店の絞り込みを進めてきており、上場企業でも1次特約店から外された企業もあったが、同社は現在でもルネサスにとってトップ3に入る地位にある。そうした同社にとって、ルネサス製品の拡販を成長戦略のトップ項目として掲げるのは当然のことと言える。

売上拡大における具体的な戦略は「デザイン-イン」の強化・拡大だ。「デザイン-イン」とは、新製品への採用内定をさす。顧客が新製品開発を進める初期段階から計画に参画し、顧客ニーズを満たすようなソリューション提案を行っていく必要があるため、顧客との信頼関係が厚く、期待に応えられるだけの技術力がないと参画はできない。

(1) 2021年3月期の「デザイン-イン」目標は510億円
2020年3月期のルネサス製品のデザイン-イン金額(売上高ではなく、数年間にわたる生涯売上見込の累計額)は、514億円(自動車分野362億円、産業分野他152億円)であったが、2021年3月期は510億円(同333億円、同177億円)を目指している。

2020年3月期の主なデザイン-イン事例としては以下のようなものがあった。

(2) 主要3分野での取り組み強化
同社では、「ADAS/AD、xEV、Powertrain」「スマートファクトリー」「産業用ロボット」をデザイン-インの重要分野と定めて取り組んでいる。技術的な課題としては、「スケーラビリティ(SoC/MCU)」「センシング」「セキュリティ」「アナログパワー」がキーワードとなっている。

(3) ルネサス製品をコアにした各分野へのOne Stop Solutionを提供

(4) 次期EPS/パワトレECU総合力によるデザイン-イン案件(安全な車社会)
車載搭載技術蓄積によるOne Stop Solution提案
a) ソフトウェア開発部隊
1) 顧客駐在によるソフト開発支援(自動運転・自動駐車ソフト)
2) セキュリティ、機能安全技術支援

b) 営業/営業技術部隊
1) R-Car、RH850デバイスサポート
2) 新規ビジネス品とのキット拡販
3) 顧客密着サポート(マイコンベンチマーク対応、セキュリティ不具合対応、各種Q&A対応)

(5) 新世代モビリティに向けたソリューション提案(安全と環境規制に配慮)
車載搭載技術蓄積によるOne Stop Solution提案
a) ソフトウェア技術
1) セキュリティ、機能安全高速通信技術(車内ネットワーク)
2) 画像・物体認識(自動運転・自動駐車)
3) OTA技術(Over the Air)

b) ハードウェア技術
1) R-Car、RH850デバイスサポート
2) アナログ、カスタムIC開発支援
3) R-Car向けエンジン体制強化(前年比倍増)

(6) 新型コロナウイルスに対する支援活動(労働環境改善)
a)人口呼吸器・他に対する半導体供給支援
1) 人口呼吸器、ベッドサイドモニター増産に向けた半導体の供給支援

b) 次期医療機器に対するOne Stop Solution提案
1) ルネサスソリューションを軸に同社商材を絡めた半導体提案
2) ハード/ソフト含めたOne Stop Solution提案

3. 新規ビジネス品のシステムソリューション提案
もう1つの重要な施策として、新規ビジネス品のシステムソリューション提案力の強化を掲げている。新規ビジネス品(Consumer Satisfaction Business、CSB製品)とは、ルネサスや日立製作所グループといった同社の歴史的経緯に属さない、同社自身がサードパーティ(外部の第三者)から直接発掘してきた商材を言う。今期(2021年3月期)の新ビジネス品のデザイン-インは、353億円(2020年3月期324億円、2019年3月期329億円)が見込まれている。

特に注目されるのが、モータ制御システムに向けた提案(他分野への応用)で、以下のような事例が考えられる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)



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