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クシム Research Memo(7):通期計画を上方修正、コロナ影響によるマイナス面も主力プロダクトがけん引

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■今後の見通し

1. 2020年10月期業績見通し
クシム<2345>の2020年10月期通期業績については、売上高1,880百万円、営業利益145百万円、経常利益147百万円、親会社株主に帰属する当期純利益209百万円を見込んでいる。2019年10月期は決算期変更に伴い2019年1月1日から2019年10月31日の10ヶ月間となっており、通期の対前期増減率は記載していない。重要指標として取り上げているEBITDAは230百万円を見込んでいる。なお、同社は6月10日に2020年10月期第2四半期決算と併せて通期業績予想の修正を発表しており、売上高(1,880百万円←1,871百万円)、営業利益(145百万円←144百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益(209百万円←86百万円)において上方修正している。

新型コロナウイルス感染拡大による業績への影響は、各セグメントによりプラスとマイナスの影響が混在する。アカデミー事業におけるSESビジネスは商談の延期や受注の遅延、需要の消失によるマイナス影響が見込まれる一方、eラーニング事業における同社の主力プロダクトであるLMS及びeラーニングコンテンツは新規と追加受注による需要拡大、学校教育機関への提供といった新しい需要獲得によるプラス影響がある。また、2020年5月に株式取得をしたケア・ダイナミクス及びイーフロンティアは連結対象となり、2020年第3四半期より業績に寄与する。一部のセグメントでは延期や遅延により売上高は当初計画を下回る影響はあるが、収益性の高いプロダクト及びサービスが好調に推移していること等により当初計画値を上回る見込みとなる。


経営目標の達成に向けて、自律成長とM&Aを両輪で展開。次世代型のeラーニングにおける成長、中小企業向けLMSの成長性
2. 中期経営計画(2019年10月期−2022年10月期)
同社は、働き方改革の促進、企業のテレワークへの移行や教育機関でのオンライン教育の導入など同社の事業領域での社会的ニーズが増すなか、中期経営計画(2019年10月期−2022年10月期)における「収益力の大幅向上」に向けて業態のトランスフォーム(大きく変化させる)を推進している。経営目標の達成に向けて、自律成長とM&Aを両輪で展開することを掲げており、ポートフォリオ企業の競争優位を構築し、かつ、相互シナジーを創出していく。中期経営目標については、最終年度となる2022年10月期において、売上高30億円以上、営業利益率15%以上、当期純利益率10%以上、時価総額230~300億円規模を計画している。

成長に向けた取り組みにおいては、eラーニング事業へは積極投資を継続させ、テレワーク、授業オンライン化など更なる商機を獲得していく計画である。3DグラフィックやAI×画像処理技術を有するイーフロンティアの子会社化により、3DCGや3Dキャラクターを用いたビジュアル性とゲーム性のある3D×eラーニングにおける次世代型eラーニングプロダクトの開発が加速する。多くのeラーニングコンテンツがPDFファイル等、教科書を映しているだけのものが多いなか、ビジュアル性とゲーム性のある次世代型のeラーニングコンテンツは市場のニーズを取り込む可能性が高く成長期待は大きいだろう。

また、LMSにおいては、同社が得意とする従業員数5,000名以上の企業向けのほか、これまで未着手であった従業員数5,000名未満の中小企業に対し、ストック型のID課金のビジネス体系やクラウド環境で提供するSaaS型によって新たな顧客層の獲得が見込まれる。特に政府のDX政策によるデジタル化の流れが加速するなかにおいて、今般の新型コロナウイルス感染症拡大によって、デジタル化が進んでいない企業へのデジタル化を加速させることになる。

アカデミー事業においては、介護システムや介護ロボット事業を展開するケア・ダイナミクスを介護分野のDXを推進する戦略子会社とする。ケア・ダイナミクスは自社開発の介護事業者向けASPシステムの提供を事業としており、既に400以上の介護施設に導入実績がある。さらに、CYBERDYNE<7779>の代理店として介護ロボットの導入支援やICT技術を活用したスマートな介護環境構築など、介護に関わるすべての関係者に最良のサービスを提供する「総合介護事業支援企業」への転身を図っている。要介護者増加・介護従事者不足によりITシステムやロボット等の導入により抜本的なオペレーション改善ニーズが高まる介護業界において新たな収益機会を獲得することが見込めるだろう。また、東大・松尾研究室との共同研究成果である「AI+LMS」をケア・ダイナミクスのネットワーク・顧客資産に対して優先提供することにより、プロダクトの迅速なマーケットローンチが可能となる。

インキュベーション事業においては、同社が注力するIoT、クラウド、ブロックチェーン、AIをリーディングテクノロジー分野とし、「リアルビジネス」×「投資」を推進する。更なる価値向上に向けた取り組みとして、資本業務提携も視座に、魅力的なパートナーとのアライアンスについては、引き続き推進することにより、基幹事業の強化を図る。また、同社は、業務提携パートナーであり、ブロックチェーン領域にて有望なスタートアップと評されるStake Technologiesのブロックチェーン開発パートナーシップ「Plasm Grit Partners」に選ばれた。彼らとのパートナーシップをテコに、IoT・通信・インフラ分野を主な領域として、ブロックチェーン技術を活用したPoC案件の受注や共同研究が加速することが見込まれる。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)



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