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為替週間見通し:ドルは上げ渋りか、米国経済の早期回復は実現困難との見方も

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【今週の概況】
■米国金利の先高観後退、ドル・円は一時104円19銭まで下落

今週のドル・円は弱含み。7月の米消費者信頼感指数は市場予想を下回ったことや、米国における失業者向けの特別給付措置は7月末で失効することから、景気見通しの悪化を懸念したドル売りが優勢となった。7月28-29日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合では、景気回復に自信が戻るまで低金利を維持する方針が提示された。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は会見で「経済を支援するため全手段を用いる」との方針を改めて表明したこともドル売り材料となり、ドル・円は一時、3月12日以来となる104円19銭まで下落した。

7月31日のニューヨーク外為市場でドル・円は、104円85銭から106円05銭まで上昇した。この日発表された7月シカゴ購買部協会景気指数(PMI)は活動拡大を示す50を超えたことから、景気の先行きについての悲観的な見方はやや後退し、ドルを買い戻す動きが広がった。ドル・円は105円86銭でこの週の取引を終えた。取引レンジ:104円19銭−106円16銭。

【来週の見通し】
■ドルは上げ渋りか、米国経済の早期回復は実現困難との見方も

来週のドル・円は上げ渋りか。7月米雇用統計などが手掛かり材料となりそうだが、早期回復への期待は後退しつつあり、7月雇用統計が市場予想を下回り、米国株式が再びさえない動きを見せた場合、株安を手がかりにドルの上値は再び重くなりそうだ。米国内での新型コロナウイルスの感染再拡大を懸念して、景気の先行き不安は払拭されていない。7月30日に発表された4-6月期国内総生産(GDP)は-32.9%と、前例のない大幅な落ち込みを記録しており、米国経済の早期回復は実現困難との見方が広がっている。

31日発表された7月シカゴ購買部協会景気指数(PMI)は、予想以上に改善したが、雇用情勢のさらなる改善への期待は低下している。8月7日発表予定の7月雇用統計では、失業率は小幅に低下するものの、非農業部門雇用者数の増加幅は前月から大幅に縮小する見通し。リスク資産を整理する動きは一巡したようだが、7月雇用統計が市場予想を下回った場合、米国株式は下落し、リスク回避的なドル売りが強まる可能性は残されている。

米国金利の先高観は後退していることも、ドルの上昇を抑える要因となる。7月28-29日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、市場の予想通り政策金利の据え置きを決定した。声明で新型コロナウイルスの感染再拡大を受け、経済を支えるためにあらゆる手段を活用するとの見解が表明されており、将来的に追加緩和措置が導入されるとの思惑は消えていない。また、米中対立の先鋭化、トランプ政権の追加支援策に関する与野党間の協議難航、米大統領選が予定通りに行われる保証はないとの見方など、ドル売りにつながる材料は多い。

【米・7月ISM製造業景況指数】(8月3日発表予定)
8月3日発表予定の7月ISM製造業景況指数は53.5と、6月の52.6を上回る見通し。製造業は回復傾向がみられるものの、そのペースは緩慢。市場予想と一致しても米国経済の早期正常化を期待したドル買いが大きく広がる可能性は低い。

【米・7月雇用統計】(8月7日発表予定)
8月7日発表予定の7月雇用統計は、失業率10.5%(前回11.1%)、非農業部門雇用者数は前月比+163.5万人(同+480.0万人)、平均時給は前年比+4.2%(同+5.0%)と予想される。雇用者増加数の鈍化で景気回復期待は弱まり、ドルは買いづらい展開に。

予想レンジ:104円00銭−107円00銭


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