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短期の資金ローテーションとその裏で進む…

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[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;22789.15;+38.91
TOPIX;1598.39;+12.43

[後場の投資戦略]

 前日の米国株はハイテク関連を中心に下落したが、米長期金利の上昇が続いたことによるバリュー(割安)株への資金流入、また為替相場の円安進行が支えとなり、本日の日経平均は一進一退の展開となっている。値がさグロース(成長)株の一角が売られているため日経平均は上値が重いが、東証株価指数(TOPIX)は前引け時点で0.78%の上昇。東証1部全体としては6割近い銘柄が上昇し、業種別騰落率でも全33業種中30業種がプラスとなっており、市場のムードは日経平均の動きほど悪くないかもしれない。

 売買代金上位ではやはり金融株を中心としたバリュー株の堅調ぶりが目立つが、直近の下落が急だった資生堂やレーザーテックといったグロース株の一角が踏ん張りを見せている点にも注目したい。ZHD<4689>も反発し、高値もち合いを維持。米国においてテスラやモデルナが時間外取引で買われていることから、グロース株の反騰に期待する向きも出てくる可能性がある。ここまでの東証1部売買代金は1兆2000億円あまりで、前日よりやや減少。とはいえお盆休みシーズンとしては上出来だろう。

 新興市場ではマザーズ指数が続落。先週の上昇が大きかっただけに目先の調整はやむを得ないところだが、25日移動平均線の位置する1000ptを割り込む場面では押し目買いも入り下げ渋っている。インターネット・IT関連株の軟調ぶりが目立つものの、直近上場のモダリス<4883>やティアンドエス<4055>が賑わっており、マザーズ指数の軟調ぶりとは裏腹に個人投資家の物色は比較的活発だろう。

 アジア株式市場では中国・上海総合指数や香港ハンセン指数が軟調で、株価指数先物に散発的な売りが出ることで日経平均の上値を抑えそうだ。ただ、市場の関心は連騰一服した米国株や債券・為替市場の動向に向かっている印象。後場の日経平均もこれらを睨み一進一退の展開が続きそうだ。

 さて、前日の当欄では日経平均が当面もち合いとなる可能性について改めて説明した。これは他の資産クラス、あるいはバリューやグロースといったファクターのパフォーマンスについても同様の傾向となるかもしれない。そもそも6月以降の金融市場を振り返ると、こうした傾向が見られる。

 現在はワクチン開発の進展期待に米7月雇用統計の予想上振れ、米経済対策への期待なども加わって、債券が売られる(金利は上昇)とともに金や米ハイテク株の価格上昇に逆回転がかかっている格好だ。反面、金利上昇が売られていたバリュー株の戻りを後押ししている。ただ、我々はこうした光景を6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)前にも見た。結局、このときも米長期金利やバリュー株の反騰は長く続かなかった。人類が新型コロナを克服する「決定的な材料」が出てこない限り、資産価格の大きな方向感は出てこず、投資資金の短期的なローテーションに振らされる展開が続きそうだ。

 但し、こうした環境下で米ナスダック総合指数や金価格が過去最高値を、また米長期金利が過去最低水準を更新してきたことも付言しておきたい。短期的な資金ローテーションの裏で、コロナ禍でのニューノーマル(新常態)は政治、経済、人々のライフスタイル等あらゆる場面でじわり進行しているのだろう。また、自動車株のようにセクター内でも市場評価に差が出てきているケースが見られるが、この話はまた次回以降としたい。
(小林大純)
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