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米国株式市場見通し:パウエルFRB議長の講演に注目

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今まで不透明性を理由に現金化を進めてきた投資家はパンデミックが蔓延し経済が封鎖される前の2月以来の「強気」に転じており、相場を一段と押し上げそうだ。バンク・オブ・アメリカが顧客の投資家を対象に8月13日までに実施した調査の中で、46%が現在の相場が「強気」だと回答。7月の40%から上昇した。「弱気相場の中の反発」と回答した投資家は全体の35%で7月の47%から大きく低下した。成長率や企業の収益率、インフレの上昇を理由に挙げている。実際、モールやアウトレットなどの客足は2月の水準近くまで戻した。経済が強まるとの期待は79%で、2009年12月以来で最高に達しており、2月以来最も楽観的な結果だ。9月には再び追加経済救済策の行方が材料となり変動率の上昇が予想されるものの、金利の急伸がない限り、相場の急落もなさそうだ。テイルリスクはやはりウイルスの第2波、米中貿易戦争、米国の選挙になる。

追加経済救済策を巡る与野党の交渉にも引き続き注目したい。民主党の穏健派が合意に向けた歩み寄りを同党のペロシ下院議長に要請したと報じられており、何らかの進展は相場のプラス材料となる。また、トランプ政権が中国で米企業がWeChatを使用することを認める姿勢を見せたことや、米中第1段階貿易協定も今のところ継続する意向が示され、米中対立リスクも緩和している。このような背景から金融各社のストラテジストは相次いでS&P500種指数の年末までの見通しを3600ポイント近くまで引き上げている。但し、パンデミックが収束せずに経済活動の再開がままならず、さらなる企業が破綻を強いられ失業者が増加するリスクは残る点には注意が必要だ。

来週はパウエルFRB議長が27日にカンザスシティ連銀が主催する年次経済政策シンポジウムで講演を予定しており、FOMC議事録で見られなかったハト派姿勢が示されると相場をさらに押し上げる要因になりそうだ。各国中銀総裁などの講演もあるFRBの年次総会は通年この時期に非公開でジャクソンホールで開催されるが、今年は初めてライブ配信で公開される予定だ。

経済指標では、7月シカゴ連銀全米活動指数(24日)、6月FHFA住宅価格指数、6月S&P住宅価格指数、8月消費者信頼感指数、7月新築住宅販売件数、8月リッチモンド連銀製造業指数(25日)、7月耐久財受注(26日)、4−6月期国内総生産(GDP)改定値、週次新規失業保険申請件数、7月中古住宅販売仮契約(27日)、PCEコアデフレーター、8月ミシガン大消費者信頼感指数(改定値)(28日)が予定されている。また、トランプ大統領が正式に共和党の大統領候補に指名される共和党大会も24日から27日まで開催される。大統領はすでに所得10万ドル以下の国民対象での税免除やキャピタルゲイン減税などの方針を発表しているが、演説内容に注目したい。
企業決算では家電小売りのベストバイ、食品のJMスマッカー、高級住宅建設のトールブラザーズ、百貨店のノードストーム、小売りのアーバン・アウト・フィッター(25日)、台所・家庭用品小売のウィリアムズ・ソノマ、スポーツ用品販売店のディックス・スポーティング(26日)、ディスカウントショップのダラー・ジェネラルやダラー・ツリー、宝飾品店のティファニー、化粧品のアルタ・ビューティ、衣料小売りギャップ、化粧品メーカーのコティ(27日)などが予定されている。営業再開でアルタ・ビューティやギャップ、中国の需要回復でティファニーの業績回復が期待される。また、景気後退時に強いダラージェネラル、ダラーツリーなども好決算が期待される。

(Horiko Capital Management LLC)


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