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日経平均は3日続伸、やっと「政治」が話題になってきましたが…

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 日経平均は3日続伸。392.96円高の23378.47円(出来高概算6億1000万株)で前場の取引を終えている。

 週明け24日の米株式市場でNYダウは3日続伸し、378ドル高となった。トランプ政権が新型コロナウイルス治療での血漿療法を緊急承認したほか、英アストラゼネカとオックスフォード大学が開発しているワクチンを大統領選前に承認・実用化することを検討しているとの報道もあり、寄り付きから上昇。フロリダ州の感染件数が6月中旬以来の低水準に改善するなど、鎮静化の傾向が見られることも好感され、終日堅調に推移した。本日の日経平均もこうした流れを引き継いで257円高からスタート。経済活動正常化への期待から景気敏感株を中心に買いが入り、日経平均は上げ幅を広げ、この日の高値圏で前場を折り返した。

 個別では、日経平均への寄与が大きいソフトバンクG<9984>やファーストリテ<9983>、また三菱UFJ<8306>やみずほ<8411>、三井住友<8316>といったメガバンク株が3%前後の上昇となっている。米市場の流れを引き継いでJAL<9201>やANA<9202>といった空運株は大幅高。その他、ソニー<6758>、トヨタ自<7203>、ZHD<4689>などの売買代金上位は全般堅調で、ヴィッツ<4440>などが東証1部上昇率上位に顔を出している。一方、「ウィズコロナ」銘柄としてこのところ強い値動きだった任天堂<7974>やエムスリー<2413>が本日は利益確定売り優勢。ニトリHD<9843>は8月既存店売上高も引き続き堅調だったが、サプライズなしと受け止められたようで2%超下落している。

 セクターでは、空運業、繊維製品、保険業などが上昇率上位で、その他も全般堅調。その他製品と精密機器の2業種のみ小幅に下落している。東証1部の値上がり銘柄は全体の79%、対して値下がり銘柄は18%となっている。

 米国で新型コロナ治療やワクチンの開発に期待が高まり、東京株式市場でも投資家心理が上向いた。前場の日経平均は400円近く上昇し、14日の取引時間中に付けたコロナショック後の戻り高値(23338.79円)をも上回ってきている。こうした局面では、出遅れているシクリカルバリュー株(景気敏感系の割安株)、また各国の行動規制や国内での外出自粛の影響を強く受ける業種に買いが入り、「ウィズコロナ」関連のグロース(成長株)に売りが出るのはこれまでどおり。新型コロナを克服する決定的な材料が出てくるまで、こうした動きの繰り返しだろう。ここまでの東証1部売買代金は1兆円あまりで、前日までより増えたとはいえ、さほど膨らんだ印象はない。

 新興市場ではマザーズ指数が3日ぶりに反落。やはり「ウィズコロナ」関連のグロース株売りの流れが波及しているが、1130pt近辺に位置する5日移動平均線を割り込んでおらず、目先的な調整の範囲内だろう。7日上場のティアンドエス<4055>はなんとここまで負けなし、さらに本日もマザーズ売買代金トップで続伸となっており、個人投資家による中小型株の回転売買は継続中だ。本日、新規上場したインタファクトリ<4057>も多くの買い注文を集めており、初値持ち越しとなる公算が大きい。

 アジア株式市場では中国・上海総合指数や香港ハンセン指数が高安まちまち。ドル・円相場は一時1ドル=106円台に乗せてから円安進行に歯止めがかかり、足元105.90円近辺で推移している。27~28日に開催される米経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」でのパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演内容を見極めたいと考える市場関係者も依然として多いだろう。反面、日経平均の戻り高値更新に伴い、短期筋の先物買い戻しに拍車がかかる可能性もある。後場の日経平均は引き続き堅調に推移するとみておきたい。

 さて、金融市場でもやっと国内政治情勢がトピックとして浮上してきたので、本日はこれについても簡単に触れておきたい。連続在任日数で憲政史上最長となった安倍晋三首相の健康不安は海外投資家にとっても関心が高く、日本株の買い手控え、あるいは為替相場の円高要因となっているようだ。とはいえ、筆者は7月8日の当欄で「遠からず政局になる可能性」が高いと述べており、昨今の政治情勢は突然降ってわいたものではないと考えている。「安倍首相の続投」あるいは「ポスト安倍」を巡る鞘当てはかなり前から陰に陽に行われていたように見受けられるし、政府・与党内の遺恨は2019年の参院選かそれ以前まで遡ることができる。

 独自色の強いポスト安倍候補が続々と名乗りを上げているが、結論を言えば仮に安倍首相が健康問題から辞任しても、勢力図が大きく変わる可能性こそあれど、経済政策的に大きな違いのある後継首相が誕生することはないと筆者は考えている(但し、首相周辺が望む後継という意味では必ずしもない)。有力な後継候補は現時点で自ら名乗りを上げはしない。政治のトップレースにおいて先行馬は必ずしも有利でないというのは常識だ(当然、他の候補に潰される)。また、首相自身が辞意を示す前に閣僚・与党役員が後任として意欲を示すのは、いわば「主家殺し」に当たり議員内での支持を集めない。

 結局のところ、総理・総裁レースは自民党議員らがアタマを決めるものだ。与党内の勢力図や貸し借り、遺恨、さらにキーパーソンは誰か等をつぶさに見ていくと、「(安倍首相続投の可能性も含め)ポスト安倍」の行方も占うことができるだろう。
(小林大純)
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