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パウエルFRB議長の講演控え見送りムード強まる

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[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;23186.61;-104.25
TOPIX;1616.42;-8.06

[後場の投資戦略]

 市場では二人の要人の発言に対する関心が高まっている。一つはジャクソンホール会議で今晩10時過ぎ(日本時間)に予定されているパウエルFRB議長の講演。もう一つは明日28日の開催予定が伝えられている安倍首相の記者会見だ。簡単に見てみよう。

 まず、パウエルFRB議長の講演だが、読みづらい。19日に公表された7月のFOMC議事録で追加金融緩和策に踏み込んだ議論をしなかったことが明らかになったことで、追加的な金融緩和策への言及は期待できないとする向きもあれば、フォワードガイダンス(将来の政策指針)導入を示唆するとの期待もある。また、追加的な金融緩和策は示さない形で「ハト派」を演出するとの見方もある。もしフォワードガイダンス導入への言及があれば米国株式市場は好感するだろう。しかしドル相場の下落圧力が高まり、円高による東京株式市場の上値抑制要因となる可能性もある。また、昨日の当欄にあるように、講演後に材料出尽くし的な動きが広がる可能性も頭に置いておきたい。現段階では市場が想定するシナリオはまとまっておらず、講演内容を受けて株価は上にも下にも変動する可能性がありそうだ。

 次に明日の安倍首相の記者会見。実施されれば、注目されそうなのが首相の体調だろう。体調は悪くなく従来通りの政権運営が続く、または治療に専念するために麻生財務大臣を首相臨時代理とする、あるいは体調悪化で退陣する、など、様々なシナリオが取り沙汰されている。退陣となれば、次期自民党総裁を急ぎ選出しなければならない。石破氏、菅官房長官、岸田政調会長などが「ポスト安倍」として名が挙がっているが、ポスト安倍に向けた政局でのキーマンは二階幹事長となりそうだ。石破氏の強みである地方票が反映されやすい総裁選挙を行うのか、緊急の場合に行われる両院議員総会で選出するのか。そこにも幹事長である二階氏の意向が働きやすい。

 いずれにしてもポスト安倍政権は、二階氏の影響力が大きくなる可能性が高そうだ。その二階氏。かつて「媚中派」と称されたほど親中国の姿勢が強い。安倍氏退陣となれば次期政権は中国寄りとなる可能性もあり、米中対立で下げる場面があった電子部品や半導体関連株、中国関連株が注目されるかもしれないが、話は簡単ではない。11月の米大統領選挙で対中強硬策を掲げるトランプ氏が当選すれば、米国は対中強硬政権、日本は二階氏が影響力を持つ親中政権、ということにもなりかねない。明日、報道どおりに安倍首相の記者会見が行われた場合、そうした視点も必要かもしれない。

 さて、後場の東京株式市場で日経平均はもみ合いとなりそうだ。引き続きパウエルFRB議長の講演内容などを確認したいとのムードが強く、積極的な買いは手控えられそうだ。前場のTOPIXの下落率はちょうど0.5%と、日銀によるETF買いが期待できるか微妙な水準。ただ、ここから下を売り急ぐ理由も見当たらず、パウエルFRB議長講演というイベント前に引き続き方向感の定まらない相場展開となりそうだ。
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