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日経平均は反発、今は「コロナショック前水準上回らず」?

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 日経平均は反発。70.48円高の23208.55円(出来高概算4億8000万株)で前場の取引を終えている。

 1日の米株式市場でNYダウは反発し、215ドル高となった。利益確定の売りが先行したものの、8月のサプライマネジメント協会(ISM)製造業景況指数が市場予想を上回り、2018年11月以来の高水準となったことが好感された。また、ウォルマートやアップルが買われたこともNYダウを押し上げた。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は連日で過去最高値を更新。本日の東京株式市場もこうした流れを引き継ぎ、日経平均は123円高からスタート。朝方には23287.40円(149.33円高)まで上昇する場面があったが、一段の上値追いの動きは乏しく、利益確定の売りも出て伸び悩む展開となった。

 個別では、任天堂<7974>、ソフトバンクG<9984>、ソニー<6758>などが堅調。ソフトバンク<9434>は日経平均構成銘柄に新規採用され、朝方高かったものの伸び悩んでいる。エムスリー<2413>は3%を超える上昇で、株式分割考慮後の上場来高値を更新。今秋発売の新型「iPhone」は堅調な需要が見込まれると伝わり、村田製<6981>なども上げが目立つ。また、ビデオ会議システムの米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズが決算を受けて株価急伸し、類似企業のブイキューブ<3681>が賑わっている。一方、KDDI<9433>が6日続落し、トヨタ自<7203>や三菱UFJ<8306>は小安い。アインHD<9627>は決算を受けて売りがかさみ、日経平均構成銘柄から除外される日化薬<4272>は東証1部下落率上位に顔を出している。

 セクターでは、電気機器、海運業、小売業などが上昇率上位。半面、鉱業、石油・石炭製品、空運業などが下落率上位だった。東証1部の値上がり銘柄数は1030、対して値下がり銘柄数は1031とほぼ拮抗している。

 本日の東京株式市場は前日の米株高を引き継いで買いが先行したものの、その後は上値の重い展開となっている。日経平均の日足チャートを見ると、23100円台に位置する5日移動平均線を上回って推移しているが、ややこう着感が強い印象。前場の上下の値幅は84円弱にとどまっており、東証1部売買代金は9000億円弱と前日よりもやや低調だ。

 米国では8月のISM製造業景況指数が良好な内容となり、景気の先行きに対する懸念が和らいだ。円相場は1ドル=106円近辺まで下落。一方で、米債券市場では雇用面が引き続き弱いことに着目した売りが出たほか、ブレイナード連邦準備理事会(FRB)理事が追加緩和の実施を示唆したことで長期金利は低下しており、株式市場にとっては比較的良好な環境に見える。国内でも、自民党総裁選で主要派閥の支持を固めた菅義偉官房長官が優勢との見方が伝わっており、政策の継続性への期待が一定の安心感につながっている。

 それでも、やはり4日の米8月雇用統計発表や14日の総裁選投開票といった国内外の重要イベントを前に、日経平均がコロナショック以前の水準を上回るとみる市場参加者は少ないのだろう。個別でも、エムスリーに代表される値がさグロース(成長)株の強い動きが相場の押し上げに寄与する一方、米長期金利の低下から金融株や自動車株といったバリュー(割安)株はややさえない。東証1部全体では値上がり銘柄数と値下がり銘柄数が拮抗しており、高安まちまちといった様相だ。

 いきおい、ブイキューブが東証1部売買代金上位にランクインしているように、個人投資家の物色は引き続き値動きの軽い中小型株に向かう。新興市場ではマザーズ指数が3日続伸し、取引時間中の年初来高値を更新している。株式分割実施を発表したラクス<3923>が急伸しているほか、直近IPO(新規株式公開)銘柄物色や「ウィズコロナ」を意識したIT・インターネット関連株物色も活発だ。

 時間外取引のNYダウ先物は上昇しているが、アジア株式市場では中国・上海総合指数や香港ハンセン指数が軟調。円相場は足元、1ドル=106円近辺で下落一服しており、後場の日経平均も上値追いの動きは乏しいだろう。引け後に発表されるファーストリテ<9983>の8月国内ユニクロ既存店売上高、米8月ADP雇用統計に注目したいところでもある。
(小林大純)
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